飯田征二

一般社団法人
日本口蓋裂学会会員各位

日本口蓋裂学会ホームページをご覧の皆様、この度、日本口蓋裂学会の理事長に就任いたしました飯田と申します。本学会は1970年に開設された口蓋裂研究会を源流としますが、1976年に日本口蓋裂学会として設立されてから、本年で50年目を迎えます。学会員の数は、現在、3,000名近くの会員を有する学会で、その大きな特徴として、形成外科、口腔外科といった外科系に、矯正歯科を中心として小児歯科や補綴歯科などの歯科系、また、音声言語治療にかかわる耳鼻咽喉科並びに言語聴覚士、発達に寄り添う看護師、臨床心理士など極めて多岐にわたる医療職から構成されている学会です。様々な分野で多職種連携医療が叫ばれるようになってきた昨今ではありますが、本学会は1970年代から多職種で運営されてきた極めて先進的な学会だったと言えます。

生下時より見られる本疾患に対して、よりよい治療成果を提供するためには、専門職間で情報を共有し集学的に治療に当たらなければなりません。本学会では各専門領域での最新の情報を共有し、医療の発展に資する学術環境を提供することを大きな使命としており、この流れで本邦での口唇口蓋裂の一貫治療の早期の標準化と普及をもたらし、患児に対する医療の質向上に貢献してきたことは明らかです。また、学術大会は主要3領域から順に大会長が選任されるため、学術大会は毎年異なる観点で開催されるのも本学会の特徴といえます。また、2025年10月19日~24日に国立京都国際会館で行われた国際口蓋裂学会「CLEFT2025」では、本学会の様々な分野の先生方が一致団結して、プログラムの作成と運営を行いました。本大会は皇室のご臨席を賜り、96カ国から1,100人を超える海外の研究者や臨床の方々が参加する学会となり活発な議論と交流がおこなわれ、成功裏に終わりましたが、この成功には、阪井大会長や歴代理事長などのご功績も有りますが、50年間育まれた他領域を尊重し、交流を重んじてきた本学会の伝統的な姿勢が、実を結んだものと考えております。

前述したように、本学会は創立50周年を迎えます。この記念の年を迎えるにあたりいくつかの記念事業が行われますが、最も重大なこととして2026年度をもって学会名が変更され、「口唇裂」が学会名に加えられます。すなわち、次年度は、長年使われてきました「日本口蓋裂学会」の50周年と同時に新たな学会名「日本口唇口蓋裂学会」がスタートとなる節目となります。本学会は、当時の大きな問題であった口蓋裂による言語機能障害に重きをおいて学術的討論がおこなわれ設立されました。しかしながら口蓋裂の多くが口唇裂と合併した一連の疾患でもあり、学術活動でもこの口唇裂によって生じる問題点を避けることはできません。国民目線でも、医療や疾患に関わる情報が氾濫する現在において、あえて口蓋裂に特化したイメージで運営し続ける必要性が薄れ、より患者本位でまた疾病単位で考えた場合、口唇裂を含んだ学会名への改称が必要ではとの学会員からの意見となり、パブリックコメントを経て今回の新学会名の採用の運びとなりました。今回、単なる名称のみの変更では学会として意味がなく、これを機会に、これまでの流れ以上に整容に関わる部分も積極的に扱い、特に、患者の心理面に影響する分野であることから本学会で新たに設立されました心理分野でのさらなる、学術的探究が進んでいくことが期待されます。

学会員の皆様には、学会の歴史の転換期に入ります2026年度を次の新たな50年に向けての新たなスタート地点としてとらえていただき、より一層の学会活動へのご協力を賜りたいと思います。