| １０ 東京ムツゴロウ動物王国開設に伴う対エキノコックス症動物検疫 |
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佐藤 克 1），村中志朗 1），辻 弘一 1），石井 悟 2），石田 陽 2），榮山信一
2），長崎幸司 2） |
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1）東京都獣医師会危機管理室
2）東京都獣医師会立川支部 |
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北海道は全道にわたり、エキノコックスの蔓延が認められた地域である。平成14年12月には札幌市内の室内飼育犬から虫卵が検出された。北海道においてはもはや山に分け入らなくとも住民にエキノコックスの脅威が迫っていることを示している。一方、幸いにして本州以南においてはエキノコックスの感染環が成立し、汚染が定着したという報告はない。今回、汚染地域である北海道から100頭以上のエキノコックス感受性動物が一挙に移動するという前代未聞の出来事に遭遇した。（社）東京都獣医師会（以下、本会と称する）は今回の移送計画に伴い設置された「東京ムツゴロウ動物王国開設対策委員会（あきる野市）」（以下、委員会と称する）においてムツゴロウ動物王国移転の是非（安全性の確認）に関する論議を踏まえたうえで、移送動物の受け入れ側検疫に対し、組織的に対応して来たので、これを報告する。 |
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移送動物の搬入条件は北海道内においてマイクロチップ注入による個体識別をした後､プラジクアンテル10mg/kgを経口投与し､96時間後検査を実施して陰性確認ができた個体からシャンプーを施して移送体制に入ることとした。 |
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検疫環境および飼育管理などについては本会で策定した「エキノコックス症検疫マニュアル（飼育管理者向け）」に基づくものとした。 |
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動物の移送および検疫は平成16年4月28日から平成16年6月24日の期間であり3つのグループに分けて実施した。この期間の検疫対象動物はイヌ84頭、ネコ25頭計109頭であった。検疫の流れは、動物搬入時の立会い、個体識別確認、健康チェック、経過観察、駆虫（プラジクアンテル10mg/kg）採便・便検査依頼、虫卵および便中抗原陰性の確認、シャンプー後解放指示などであり、これら一連の検疫業務は本会策定の「検疫マニュアル（担当獣医師遵守事項）」に基づいて行われた。検疫実施動物は全て虫卵および便中抗原陰性が確認され、検疫結果を委員会に報告した。 |
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最後に、この一連の移送・検疫行程における関係行政、関係機関、有識者らのご指導および多大なるご協力に深謝するとともに、今回の本会検疫業務に対しその公益性を鑑み、駆虫薬プラジクアンテルを提供していただいたバイエルメディカル社および、MCリーダーを提供していただいた（株）共立商会に衷心よりお礼申し上げる。 |
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