Movement analysis for rehabilitation

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歩行を測る 

歩行速度は第6のバイタルサイン

歩行(矢状面)

歩行速度はその人の身体機能を如実に表す指標と捉えられています。虚弱な高齢者は「フレイル」と呼ばれますが、その基準にも歩行速度が使われています。歩行速度が健康寿命や寿命と関連するという報告もあります。このようなことから、歩行速度は血圧、脈拍、呼吸数、体温、疼痛に続く、第6のバイタルサインだとの声も聞かれます。歩行速度を測ることは、臨床的にも意味のあることです。

では、どのように歩行速度を測ったらよいでしょうか?まずは歩く道を設定します。速度を計算するため、距離を測っておきます。この時の距離は、スタートとゴールだけでなく、スタートとゴール、それぞれの位置から助走路、減速路を設けます。2メートルくらいあればよいでしょう。ですので、10メートルの歩行時間を計測したい場合は、スタートとゴールに2メートルの余裕を設けて14メートルの直線距離、10メートルの歩行路の場合は、中央6メートルの距離で時間を測ります。目安の位置に足が通過した時にストップウォッチをスタート、ストップさせます。

歩行路

今、6メートルの距離を5秒で歩いたとします。歩数は8歩でした。この時の歩行速度は、6m÷×5秒=1.2メートル毎秒と計算できます。先ほど、歩行速度は身体機能のバイタルサインなら、平均よりもこれが遅いのか、早いのかが気になります。歩行速度の平均は、男女の身長差も影響し
成人男性:1.37m/秒 82m/分
成人女性:1.30m/秒 78m/分
調査によって若干の差があるとはいえ、およそ男性1.4m毎秒、女性1.3m毎秒で、1分間では男女とも80メートルだと覚えておいて差し支えないでしょう。ちなみに、駅徒歩〇分と不動産広告で見かけますが、あれも1分間80メートルとして求めているようです。

歩行の時間変数、距離変数

歩行速度は、時間と距離の両方から求めるので、歩行の距離-時間因子(距離-時間変数)です。さて、歩行の時間変数ですが、先ほどの6メートルの距離が歩く時間を測った「5秒」が時間変数です。ただ、この時間は、距離が変わると変わってくるので、標準的には、ケイデンスが時間変数として重用されます。ケイデンスとは、1分間の歩数のことです。先ほどの例では、6メートルのががが8歩でした(図の足跡の数)。5秒で8歩だから、一分間では、106歩です。これも、平均値を示しておきます。
成人男性:108歩/分
成人女性:118歩/分
女性の方がケイデンスが10歩ほど大きいです。ケイデンスは歩くリズムとも言えますので、女性の方が若干早いペースで歩く傾向があるようです。

歩行の距離変数はステップ長(歩幅)、ストライド長と呼ばれるものです。聞きなじんだ言葉ですが、ここでしっかしと定義を確認します。

歩幅歩隔

歩幅は図ではステップ長とも示していますが、着地した足の踵から次の着地した足の踵までの距離です。ストライド長は着地した足の踵から、同じ足が再び着地した時の踵までの距離です。ステップ2歩分ということもあり、重複歩距離とも呼ばれます。先ほどの例では、6メートルを8歩(ステップ)で歩いていました。1歩あたりの距離は、6m÷8歩=0.75mです。ステップ長(歩幅)が0.75メートル、ストライド長が1.5メートルです。こちらも、成人のストライド長の平均値を示しておきます。
成人男性:1.51 m
成人女性:1.32 m
図では歩隔(ほかく)も示しています。歩隔は左右踵を結んだ側方距離のことです。こちらは成人も小児もおよそ8㎝から10㎝が平均です。男女差もないようです。
図では距離因子としてステップ長、ストライド時間を示しましたが、それぞれの時間を測れば、ステップ時間やストライド時間も求められます。こちらは歩行の時間変数として扱われます。

歩行を測るまとめ

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