Movement analysis for rehabilitation

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歩行分析(運動の見方)

動作分析はどのようにすすめればよいのか

観察による歩行分析

歩く様子を観察して、「右下肢の支持性が弱い」とか、「大殿筋が使えていない」とか、「重心が足にのらない」とか、一目で問題点がわかってしまうような人を見ると、すごいなあ、と思いませんか?また、一方で、何を言っているのかわからない、という思いを抱くことがあるかもしれません。歩行分析がわかるためには、何を見て、どう判断(解釈)しているのか、そのプロセスを理解することに他なりません。「右下肢の支持性が弱い」と判断する根拠には、立脚中期の膝折れ、もしくは膝伸展不十分という現象を観察したのかもしれませんし、「大殿筋が使えていない」という裏には、「蹴り出し期の股関節伸展不十分」という観察結果があったのかもしれません。歩行分析に限らず、動作分析は運動の記述と解釈を分けて考える必要があります。歩行分析ができない、という人の多くは、観察と解釈をごっちゃにしたり、解釈が先立ち、運動を見ていない(記述していない)ことが挙げられます。まずは運動を記述できるようにすることから始めていきましょう。

観察による歩行の記述

運動を記述することは、自分の理解のためでもありますが、他の人にも伝えられる形にする必要があります。まずは、運動のどこからどこまでを記述するのか、開始と終わりを明確にします。歩行は一定の動作が繰り返される運動です。歩行周期と呼ばれるものです。歩行周期のスタートは足が着地した時、終わりは同じ足が再び着地した時です。秒数で言うと1秒弱ですが、この間に複数の関節が広い範囲で動きます。運動をもう少し細かく見るためには、さらに歩行周期を区切っていきます。

歩行周期

まずは大きく、脚が床に着地している立脚期と、脚が床から離れている遊脚期に分けます。正常歩行では立脚期が長く、一歩行周期の約60%です。

立脚期・遊脚期

ここからさらに細分化します。区切りで着目しているのは、足が床についているか、立脚足と遊脚足の関係、さらに、下腿の傾斜角度です。細かい区分ですが、重要なので詳しくみていきます。

歩行周期の細分化

荷重反応期(0から10%):初期接地から反対側下肢の離地まで
立脚中期(10から30%):離地した反対側下肢の前足部が立脚下肢を超えるまで
立脚終期(30から50%):反対側下肢が着地するまで
前遊脚期(50から60%):足が離れる(離地)まで
遊脚初期(60から75%):反対側の下肢を超えるまで
遊脚中期(75から85%):振り出した下肢の下腿が床と垂直になるまで
遊脚終期(85から100%):着地(初期接地)まで
とても細かい区分ですが、このように時期を区切ることで、「全遊脚期に股関節が十分に伸展しない」とか、「初期接地に足底全部が着地する」など、いつ、どんな動きが見られたのかが明確になります。細分化の仕方は他にもありますが、このようにおおよそ10%から20%づつ区切って「いつ」を定めています。

関節運動の記述

観察で運動を記述するなら、どこを観察するのか、的を絞る必要があります。「なんだか歩き方がおかしい」と思うのはどうしてか、まずは一つ一つの関節の動きに着目して見ていきます。私たちは解剖学で関節の表し方を学んでいるので、その定義にそう形で、矢状面(屈曲伸展方向)の運動、前額面(内転・外転方向の運動)を見ていきます。ただ、「見る」といってもどう見たらよいのかまだイメージしにくいと思います。
まずは正常歩行関節運動を知ることから始めましょう。正常はどんな動きかわかれば、正常よりも大きい、あるいは、小さい、と表現できます。観察による分析では、「着地の時、膝関節の屈曲角度は10度だった」と言い当てることは難しいことです。それより、「正常は伸展0度だけどそれより曲がっているように見える」とか、異常性に気づき記述することを目指します。

歩行の見方まとめ

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