ジャーナル倶楽部

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小児関連英語論文


第1回 2022年4月18日月曜日18時(オンライン)

Noten S, Troenosemito LAA, Limsakul C, Selb M, de Groot V, Konijnenbelt M, et al. Development of an ICF Core Set for adults with cerebral palsy: capturing their perspective on functioning. Dev Med Child Neurol. 2021;63(7):846-52.

脳性麻痺を持ち成人に達した人のICFコアセットの開発 :機能予後を追う

成人脳性麻痺ICFコアセット作成グループによる論文。脳性麻痺を持つ人とその保護者、介護者へのインタビューから、会話中に出た言葉(例:膝が痛い、薬を飲む)をICFの分類、心身機能、心身構造、活動と参加、環境因子に当てはめて、コアセットに採用すべき項目を提示した。


第2回 2022年5月23日月曜日18時(オンライン)

Abdel Ghafar MA, Abdelraouf OR, Abdelgalil AA, Seyam MK, Radwan RE, El-Bagalaty AE. Quantitative Assessment of Sensory Integration and Balance in Children with Autism Spectrum Disorders: Cross-Sectional Study. Children (Basel). 2022;9(3).

ASD児の客観的感覚・バランス評価 :横断研究

BIODEXバランス評価機を使って、ASD児38名、健常児36名の静止立位バランス能力を比較している。重心動揺の大きさは、これまでの報告と同様、ASD児で大きかった。健常児は年齢が上がると重心動揺が縮小していたが、ASD児は学齢期前半(6歳から9歳)と後半(10歳から14歳)で閉眼立位重心動揺の大きさは変わらなかった。


第3回 2022年6月20日月曜日18時(オンライン)

O'Sullivan R, Leonard J, Quinn A, Kiernan D. The short-term effects of selective dorsal rhizotomy on gait compared to matched cerebral palsy control groups. PLoS One. 2019;14(7):e0220119.

選択的脊髄後根切除術の有無でみる脳性麻痺児の歩行への効果

選択的後根切除術(SDR)は下肢の痙縮を軽減させるが、動作の改善についての見解は一致しない。著者らは脳性麻痺児で、選択的後根切除術SDRを行ったかどうかで対象群を分け、歩行機能を比較した。SDRを行った29人中13人は、他の筋に対する手術(アキレス腱延長術など)を実施しており、これらはSDRを行っていない18人より歩行機能は高かった。【コメント:SDR単独とSDR+他の手術で対象者を分けての比較は不十分であり、著者らの主張はあまり裏付けられていないように感じる。】


第4回 2022年8月8日月曜日18時(オンライン)

Cloodt E, Lindgren A, Lauge-Pedersen H, Rodby-Bousquet E (2022) Sequence of flexion contracture development in the lower limb: a longitudinal analysis of 1,071 children with cerebral palsy. BMC Musculoskelet Disord 23:629. https://doi.org/10.1186/s12891-022-05548-7

下肢関節に生じる屈曲拘縮の発生順序:脳性麻痺児1071人の縦断調査から

スウェーデンの大規模疫学調査データを使い、1990年以降、5歳未満から追跡調査し、最初の拘縮が発見された関節と次に発見された関節の関連性を調べている。股関節の屈曲拘縮が発見されれば、次には膝関節が、足関節なら膝関節が、膝関節なら股関節か足関節のどちらか、というように、隣接する関節の拘縮が進むことが確認されている。程度の差こそあれ、障害の重さには関係ないというのも興味深い。

 

第5回 2022年9月26日月曜日18時(オンライン)

Hewitt, L., Kerr, E., Stanley, R. M., & Okely, A. D. (2020). Tummy Time and Infant Health Outcomes: A Systematic Review. Pediatrics, 145(6). doi:10.1542/peds.2019-2168

うつ伏せ遊びがもたらす乳児の健康:システマティックレビュー

1日30分のうつぶせ遊びは運動発達を促し、頭の形もよくなると、WHOでも推奨されているが、その効果のほどは明らかでない。このレビューではうつぶせ遊びに関する研究結果を調べ上げた。無作為化試験の結果はないものの、その多くが、推奨通りの効果を認めている。一方、コミュニケーションや巧緻動作へ好影響を与えるという結果は見られなかったようだ。

 

第6回 2022年10月24日月曜日18時(オンライン)

Wood, N., & Brown, S. (2022). An exploratory study: The effects of sleep systems on sleep quality, pain and carer goals for non-ambulant children and young people with cerebral palsy. J Rehabil Assist Technol Eng, 9, 20556683211070729. doi:10.1177/20556683211070729

スリープシステムが寝たきりの重度脳性麻痺児の睡眠の質、痛み、介護者の希望に与える影響:予備的研究

夜間姿勢ケアの重要性が叫ばれているものの、それが重度の脳性麻痺児の睡眠の質や痛みなどを軽減するかはしっかり確かめられていない。この研究では、6か月もの長期にわたりスリープシステムを使い、睡眠の質や痛みに変化があるかを調査した。被験者は4名と限られているが、夜に起きることがなくなった、ぐっすり眠れているようだとの親の声が聞かれたことを報告している。 


第7回 2022年11月29日火曜日18時30分(オンライン)

Lust JM, Steenbergen B, Diepstraten J, Wilson PH, Schoemaker MM, Poelma MJ (2022) The subtypes of developmental coordination disorder. Dev Med Child Neurol 64:1366-1374

発達性協調運動障害のサブタイプ

発達生協調運動障害(DCD)と診断された児童の認知、視覚、運動機能評価データをクラスター分析し、4つのサブタイプに分類した。グループ1はほぼ健常に近いグループ、グループ2は認知に優れているがボールの扱いが苦手なグループ、グループ3は認知も視覚も運動機能も劣るグループ、グループ4はだいたいは劣るが、ボールの扱いは極端に上手なグループであった。 



第8回 2022年12月20日火曜日18時30分(オンライン)

Hulst RY, Gorter JW, Voorman JM et al (2021) Sleep problems in children with cerebral palsy and their parents. Dev Med Child Neurol 63:1344-1350.

脳性麻痺児とその親の睡眠問題

脳性麻痺児の睡眠の問題はあまり関心が持たれていないが、睡眠障害は確実に存在する。この研究では調査表を用いた親へのアンケートから睡眠の質と量を、90名の脳性麻痺児、157名の定型発達児、そして、その両親について調査した。脳性麻痺児の睡眠障害は、運動障害が重度な児ほど、入眠が困難で、夜間に目を覚まし、朝ゆっくり寝ていられず、睡眠中の痛みや不快感に悩まされ、悪夢を見て、日中に眠気をもよおすことを示した。親も睡眠の問題を抱えているが、それは脳性麻痺児の親も、定型発達児の親も変わらなかった。 


第9回 2023年1月24日火曜日18時30分(オンライン)

Wehrle, F. M., Bartal, T., Adams, M., Bassler, D., Hagmann, C. F., Kretschmar, O., . . . Latal, B. (2022). Similarities and Differences in the Neurodevelopmental Outcome of Children with Congenital Heart Disease and Children Born Very Preterm at School Entry. J Pediatr, 250, 29-37 e21.

就学直前の先天性心疾患を持つ子の神経発達における超早産児との類似性と違い

先天性心疾患を持つ子が成長につれ、認知、運動の発達に遅れが見られるとの報告が散見されているが、同じように遅れが指摘される超早産児との違いや類似性は明確となっていない。この研究では、知的、運動、行動の発達において、先天性心疾患を持つ子の運動発達が超早産児と同じくらい遅れること、対して療育的な支援があまり届いていないことを明らかにした。

第10回 2023年2月28日火曜日18時30分(オンライン)

Hua, J., Barnett, A. L., Williams, G. J., Dai, X., Sun, Y., Li, H., . . . Du, W. (2021). Association of Gestational Age at Birth With Subsequent Suspected Developmental Coordination Disorder in Early Childhood in China. JAMA Netw Open, 4(12), e2137581.

中国における在胎週数と幼児期の発達性協調運動障害の疑いとの関係

日本の国勢調査にも似た大規模人口調査データを後方視的に調べ、約15万人の在胎週数と発達性協調運動障害との関係を見た研究である。正期産(40週)を基準にすると、早産でも晩産でも発達性協調性運動障害が疑われる児が多くなることを示した。ただ、幼児さんで発達性協調運動障害かどうかを見るのはやや乱暴なように感じる。


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