公募研究

新学術領域研究(研究領域提案型)の研究概要

34 グリアアセンブリによる脳機能発現の制御と病態
領域略称名:グリアアセンブリ
領域番号:3507
設定期間:平成25年度~平成29年度
領域代表者:池中 一裕
所属機関:自然科学研究機構生理学研究所

グリアアセンブリとはグリア細胞の巨大なネットワークである。グリア細胞は互いに連絡するが、神経細胞間連絡と比し緩慢で、アナログ的交信を用いる。また、その交信範囲は、脳の特定領域全体に及ぶ広範囲なものであり、神経回路と連絡を取りながらも、神経回路とは異なる様式で、(しかも神経回路とは独立して)相互連絡していると考えられる。

本研究領域ではグリア細胞がグリアアセンブリを形成し、神経回路の動的特性、ひいては高次機能を含む多様な脳活動そのものを主体的にコントロールしている可能性を追求する。また脳の発達と成熟に伴い、グリアアセンブリと神経回路の間の密接な相互作用がどのように起こるのか、そしてそのような相互作用の結果として脳機能が発現していくメカニズムについて調べる。さらに、精神・神経疾患の病因に関与するグリア機能分子を探索・同定し、精神・神経疾患の病因及び病態進行過程におけるグリアの役割を解き明かす。多様な背景を持つ研究者が従来の概念に捉われない新しい視点から参画し、他分野融合的な学問としてグリア研究が発展することを本領域は期待している。
このため、以下の研究項目について、「計画研究」により重点的に研究を推進するとともに、これらに関連する2年間の研究を公募する。1年間の研究は公募の対象としない。また、研究分担者を置くことはできない。

公募研究の採択目安件数は、単年度当たりの応募額400万円を上限とする研究を15件程度予定している。
特に、神経栄養因子などの液性因子を介したグリアーニューロンのコミュニケーション、グリアアセンブリの進化に関する研究及び遺伝子改変サルを用いた提案を期待する。また、将来性の高い斬新な研究を提案する若手研究者からの積極的な応募を期待する。

A01:グリアアセンブリによる脳機能制御

正常時におけるアストロサイト・オリゴデンドロサイト・ミクログリアのクロストークの分子実体を明らかにし、その集合体としてグリアアセンブリがどのように脳神経回路と相互作用するのか解明します。グリア細胞はグリオトランスミッター(ATP、グルタミン酸、D-セリンなど)を放出して神経回路に影響を与える他、種々の液性因子(神経栄養因子など)も放出してコミュニケーションを取っています。このような液性因子によるグリアアセンブリ機能制御について明らかにすることを期待しています。また、グリア細胞の機能を進化的に解析することにより、グリアアセンブリが進化的にどのように形成されたか理解する研究も歓迎します。

A01(H26,27):研究者紹介

A01(H28,29):研究者紹介

A02:グリアアセンブリによる脳機能成熟

A02では脳の発達と成熟に伴い、グリアアセンブリと神経回路の間の密接な相互作用がどのように起こるのか、そしてそのような相互作用の結果として脳の機能が発現していくメカニズムについて調べていきます。特にグリア・神経細胞間の相互作用の個体レベルでの解析、相互作用を司る分子の同定と分子機構の解明、発達障害との関連の検証、などをテーマとした意欲的な研究を展開する研究者が公募班員として加わることを期待しています。

A02(H26,27):研究者紹介

A02(H28,29):研究者紹介

A03:グリア病:グリアアセンブリ破綻による精神・神経疾患

A03では、病因・病態が不明で、その結果、診断・治療面で解決すべき問題の多い、統合失調症、発達障害、疼痛性障害、脱髄性疾患など、精神神経疾患の病因に関与するグリア機能分子を探索します。さらに、精神神経疾患の病因および病態進行過程におけるグリアの役割を解き明かすことを企図します。いずれもA01、A02で得られた知見を活かし、連携をとりながら実施します。特に、疾患患者由来試料や疾患モデル細胞・動物などを用いて、病因に関わるグリア分子の同定、病因と病態進行過程におけるグリアの果たす役割の解明に関わる研究を、意欲的に展開する研究者が公募班員として加わることを期待しています。

A03(H26,27):研究者紹介

A03(H28,29):研究者紹介

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