グリアアセンブリによる脳機能発現の制御と病態
2018年10月19日
A02計画研究分担者 榎戸靖室長(愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所)とA02計画研究班員 竹林浩秀教授(新潟大学)・名古屋市立大学・川崎医科大学の共同研究グループは、小児期早期に発症する指定難病の一つであるクラッベ病※1の病態メカニズムとその治療標的となる候補分子を特定しました。この成果は、これまで有効な治療法のなかった小児脱髄疾患の原因解明と治療法開発に新たな手掛かりを与えるものとして、国際科学誌Neurobiology of Diseaseに掲載されました。
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愛知県プレスリリース
2018年8月2日
A02計画研究班員 橋本浩一教授(広島大学)と新潟大学・東京大学の共同研究グループは、脳の免疫細胞であるミクログリアが、小脳皮質の神経回路の生後発達に重要な働きをすることを明らかにしました。本研究成果はイギリス時間の7月19日付で英国科学誌Nature Communicationsオンライン版に掲載されました。
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広島大学プレスリリース
2017年9月28日
A03公募研究代表者 宝田剛志准教授(岡山大学)と金沢大学・日本大学の共同研究グループは、体内時計システムの構成因子の欠失が、脳血管周囲に存在するペリサイトの機能破綻を起こすことで、血液脳関門の恒常性維持機能を減弱させることを見出しました。本研究成果は9月14日付で国際科学誌Journal of Neuroscience誌に掲載されました。
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岡山大学プレスリリース
2017年9月19日
A03公募研究代表者 中西博教授(九州大学)らの研究グループは、歯周病原因菌であるジンジバリス(Pg)菌の出す歯周組織破壊酵素ジンジパインが、ミクログリアの移動ならびに炎症反応を引き起こすことを突止めました。本研究成果は、2017年9月18日(月)午前10時(英国夏時間)にScientific Reports誌にオンライン掲載されました。
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九州大学プレスリリース
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外部メディア(日刊工業新聞)
2017年8月25日
A03計画研究代表者である尾崎紀夫教授(名古屋大学)らの研究グループは、統合失調症発症の最大のリスクである 22q11.2欠失領域に存在するReticulon 4 receptor(RTN4R)遺伝子内に、統合失調症病態に強い関連を示すアミノ酸配列変異(RTN4R-R292H)が存在することを、世界で初めて同定しました。本研究成果は、2017年8月22日付でTranslational Psychiatry誌の電子版に掲載されました。
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名古屋大学プレスリリース
2017年8月1日
A03計画研究代表者である尾崎紀夫教授(名古屋大学)らの研究グループは、脳内免疫細胞ミクログリアにおいて特異的に発現するCX3CR1をコードする遺伝子上のアミノ酸置換変異が統合失調症・自閉スペクトラム症の発症リスクに関与しうることを世界で初めて示しました。本研究成果は2017年8月1日15時(英国時間)に、英国のオンライン科学誌Translational Psychiatryに掲載されました。
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日本医療研究開発機構(AMED)
2017年6月28日
A01計画研究代表者 小泉修一教授と森澤陽介研究員(山梨大学)、A02計画研究代表者 竹林浩秀教授らの共同研究グループは、脳卒中後のペナンブラ領域に貪食能を獲得したアストロサイトが出現することを見出しました。この「貪食性アストロサイト」は、これまで脳の貪食細胞として良く知られていたミクログリアとは異なり、主に傷ついた神経細胞の断片を貪食により除去することで、ペナンブラ領域脳の修復及び再構築と深く関係していることが示唆されました。本研究成果は2017年6月22日付でNature Communications誌に掲載されました。
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山梨大学プレスリリース
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外部メディア(山梨日日新聞)
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外部メディア(毎日新聞)
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外部メディア(信濃毎日新聞)
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外部メディア(読売新聞)
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外部メディア(Yahooニュース)
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外部メディア(日刊工業新聞)
2017年5月13日
A01計画研究代表研究者小泉修一教授と篠崎陽一講師(山梨大学)、池中一裕教授(生理学研究所)、田中謙二准教授(慶應義塾大学)らの共同研究グループは、外傷性脳損傷(TBI)のグリア性制御の分子メカニズムを明らかにしました。最初にTBIを感知したミクログリアがその情報をアストロサイトに送り、両者の連係プレーにより脳を傷害から防いでいることが明らかとなりました。本研究成果は2017年5月10日(日本時間)にCell Reports誌の電子版に掲載されました。
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外部メディア(山梨日日新聞)
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外部メディア(信濃毎日新聞)
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外部メディア(日本経済新聞)
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外部メディア(毎日新聞)
2017年2月10日
A01計画研究代表者である池中一裕教授(生理学研究所)と吉村武助教(研究当時 生理学研究所、現 大阪大学助教)らは、末梢神経系の髄鞘のタンパク質が硫酸化された糖鎖を持ち、それが髄鞘の形成に必要であることを明らかにしました。指定難病のシャルコー・マリー・トゥース病の発症メカニズムの解明とその治療に繋がることが期待される成果であり、その研究結果をScientific Reports誌で発表しました。
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生理学研究所プレスリリース
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外部メディア(日本経済新聞)
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外部メディア(日経産業新聞)
2016年12月26日
A03 計画研究代表者である吉良潤一教授、山﨑亮准教授(九州大学)らの研究グループは、気管支喘息モデルマウスにおいて、アレルギー炎症が中枢神経グリア細胞を活性化し、神経因性疼痛を引き起こしていることを明らかにしました。今後、アトピー性脊髄炎や神経因性疼痛の治療開発が進む事が期待される成果であり、その研究結果を2016年11月23日付けでThe Journal of Neuroscience誌に発表しました。
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九州大学プレスリリース
2016年12月19日
A03計画研究代表者である神庭重信教授(九州大学)らは、うつ病の重症度に関連する血中代謝物を発見し、さらに罪悪感、自殺念慮などそれぞれの症状ごとに関連する代謝物が異なることを発見し、その結果をPLOS ONE誌で発表しました。
2016年12月8日
自然科学研究機構 生理学研究所の清水健史助教、池中一裕教授、慶應義塾大学医学部の田中謙二准教授、新潟大学脳研究所の﨑村建司教授らの共同研究グループは、地球の重力や、生体の運動に伴う進展・圧縮刺激など、我々地球上のすべての生物に対し日常的に影響を与える機械刺激(メカニカルストレス)に着目。メカニカルストレスが脳内のグリア細胞の一種であるオリゴデンドロサイトにどのような影響を与えるかを詳細に調べました。結果、オリゴデンドロサイトがメカニカルストレスに応答し、YAPとよばれる因子を活性化し、オリゴデンドロサイトの形態と成熟過程を制御していることを解明しました。本研究結果は、日本時間2016年11月3日にGLIA誌のHPに英文原著論文が掲載されました。
2016年10月19日
A01計画研究代表者である池中一裕教授(生理学研究所)らは、オリゴデンドロサイトを可視化する新手法を開発し、オリゴデンドロサイトが特定の機能を持つ神経細胞に対して選択的に髄鞘を形成していることを明らかにし、Glia誌で発表しました。
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生理学研究所プレスリリース
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外部メディア
2016年7月22日
A03公募研究代表者 中西博教授(九州大学)らの研究グループは、脳内で免疫防御を担うミクログリアによる、脳内感染した歯周病菌に対する防御反応の分子メカニズムを明らかにしました。今後、アルツハイマー病モデルマウスにおけるミクログリア分子時計の変容が、歯周病菌に対するミクログリアの過剰な炎症反応を引き起こす可能性について解析を進めます。本研究成果は、Scientific Reports誌の電子版に掲載されました。
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九州大学プレスリリース
2016年7月13日
A02計画研究班員 橋本浩一教授と大学院生の槇殿佳子(広島大学)の研究グループは、北海道大学、福島県立医科大学、東京大学、新潟大学との共同研究により、オシレーションの基盤と考えられている、細胞膜の電気的特性である「resonance特性」に関与するイオンチャネルを解析した。その結果、神経細胞膜のresonance特性にhyperpolarization-activated cyclic nucleotide gated channel 1(HCN1)と、電位依存性Ca2+チャネルの一種であるCav3.1チャネルが共同的に働くことが必須であることを明らかにした。
2016年7月6日
A01 公募研究代表者の平瀬肇博士(理化学研究所)らの共同研究グループは、マウス脳内のグリコーゲンを正確に可視化する新しい手法を開発し、加齢に伴う脳グリコーゲンの分布変化の可視化に成功しました。本成果は、Glia誌に掲載されました。
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理化学研究所プレスリリース
2016年7月6日
A01公募研究代表者の平瀬肇博士(理化学研究所)らは、加齢に伴うグリコーゲンの脳内分布変化を可視化する新しい手法を開発し、Glia誌で発表しました。
2016年6月8日
A03計画研究代表者である尾崎紀夫教授(名古屋大学)らは、統合失調症の発症に関与するゲノムコピー数変異(CNV)を複数固定し、さらにゲノムデータを詳しく解析することで統合失調症の病因についての理解を一層深め、その結果をMolecular Psychiatry誌で発表しました。
2016年4月13日
A01計画研究代表者である小泉修一教授(山梨大学)らは、大脳皮質体性感覚野アストロサイトがシナプス再編による感覚情報回路の混線を引き起こすことが、慢性疼痛の原因であることを明らかにし、Journal of Clinical Investigation誌に発表しました。
2016年3月23日
A01公募研究代表者の平瀬肇博士(理化学研究所)らは、経頭蓋直流電気刺激がマウス脳機能に及ぼす影響とその作用メカニズムを明らかにし、Nature Communications誌で発表しました。
2015年11月27日
A01 柴崎貢志准教授(群馬大学)らのグループは、海馬における温度センサー・TRPV4は脳内温度により恒常的に活性化し、神経細胞が興奮しやすい土台環境を産み出していることを突き止めました。本研究成果は、Pflügers Archiv誌に掲載されました。
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群馬大学プレスリリース
2015年10月14日
A03公募研究代表者の今井啓雄准教授(京都大学)らは、紀伊半島のニホンザルにおいて、苦味感覚の退化が特定の環境下で個体生存にとって有利に働くという一見逆説的な現象を発見し、PLoS One誌で発表しました。
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京都大学プレスリリース
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外部メディア
2015年4月15日
A01計画研究(研究代表者小泉修一山梨大学教授)の連携研究者である繁冨英治博士(山梨大学)が、平成27年度科学技術分野の文部科学大臣表彰若手科学研究者賞を受賞しました。受賞課題は、「脳機能制御におけるアストロサイトのCa2+シグナルの研究」です。
2015年3月16日
A01計画研究代表者である小泉修一教授(山梨大学)らは、アストロサイトがP2X7受容体を発現し、転写因子HIF1aを介して種々の脳保護分子を産生することにより、虚血耐性獲得に必須の役割を果たすことを示し、Journal of Neuroscience誌で発表しました。
2015年1月15日
A03公募研究代表者の北爪(川口)しのぶ博士(理化学研究所)らは、バイセクト糖鎖と呼ばれる糖鎖がアルツハイマー病を進行させることを見出し、EMBO Molecular Medicine誌で発表しました。
2014年10月27日
統合失調症発症に強い影響を及ぼす遺伝子変異を、神経発達関連遺伝子のNDE1内に同定した. A03計画研究代表研究者 尾崎紀夫教授らの共同研究グループは、貝淵弘三教授らの研究グループとの共同研究により、統合失調症発症に関連 していると考えられている染色体上 16p13.11 領域のゲノムコピー数変異(copy number variant: CNV)内に存在する神経発達関連遺伝子である Nuclear Distribution E Homolog 1(NDE1)を標的として、頻度の低い稀な遺伝子変異の探 索を実施し、同定した変異の機能解析を通じて、統合失調症病態に強い関連を示すアミノ酸配列変異、S214を同定しました。本研究により同定された変異は、統合失調症の疾患モデルを説明する上で有望であり、同変異を有する細胞や動物モデルは、統合失調症の病態解明だけで なく、新規の治療薬や診断方法の開発に役立つことが期待されます。本成果は、米国精神保健研究所発行誌「Schizophrenia Bulletin」(2014 年 10 月 20 日付の電子版)に掲載されました。
2014年8月21日
A02計画研究代表者である岡部繁男教授(東京大学)らは、自閉症モデルマウスの脳内では神経細胞同士のつながりが過剰にできては消失していることをイメージングにより示し、Nature Communications誌で発表しました。
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