会長挨拶

髙曽根博仁会長

第26回日本内分泌学会関東甲信越支部学術集会

会長曽根 博仁

新潟大学大学院医歯学総合研究科 血液・内分泌・代謝内科学分野 教授/新潟大学ビッグデータアクティベーション研究センター 副センター長/新潟大学健康教育イノベーションセンター センター長

 本年度の地方会を担当させていただきます新潟大学の曽根と申します。
 本会は主に、臨床最前線の症例報告や現場の臨床研究をご発表、ご議論いただく身近なプラットフォームとして、地域の専門家あるいは専門家を目指す先生方に親しまれてきました。我々の世代が専門医を志した時代は、症例報告が重視、奨励され、まず症例報告により専門医としてのセンスや論文の書き方を教わってきました。しかしその後、インパクトファクター低下の懸念などから症例報告を受け入れる国際ジャーナルが激減し、学会の症例報告発表も単なる「専門医申請のための義務要件」(あるいは教授や指導医に言われて仕方なくするもの??)と考えられがちになってしまったことは、かねがね残念に思っておりました。しかし近年、多くの有名クオリティージャーナルが、症例報告専門の姉妹ジャーナルを立ち上げ、症例報告の重要性が見直されるようになってきたことは、好ましい傾向であると思っております。

 一方、本分野に限りませんが、わが国の地域医療は大きな試練に直面しております。専門指導医不足・偏在により、地域で専門医療が十分提供できなくなりつつあり、次世代の専門医養成も困難になるという悪循環に陥っています。少子高齢化、人口減少時代における地域医療の縮小はその地域全体の衰退と直結しており、これは多くの先進国の共通課題です。その意味では、世界で最も高齢化が進むわが国の地域は、ICT技術などのイノベーションによる解決策を探るための世界最先端フィールドといえるかもしれません。

 このような背景に基づき今回のテーマは、「地域最前線に活かす内分泌代謝診療のエビデンス」といたしました。このテーマに関連して、「地域の教育基幹病院で内分泌代謝診療と研修を行う魅力」、「ビッグデータ、AI、ICTを活用した次世代の代謝内分泌研究と診療」をテーマとする2つのシンポジウムに加え、「JES We Can 企画」としては「地域の若手専門医の声を聞こう!~現場の悩みとキャリアパス~」を開催すると共に、多くの最新知識がまとめて得られるように、教育講演も9つと充実させました。その他、ランチョン、ハンズオンセミナーなども開催させていただきます。遠路にも関わらず一般演題も多くいただき、ご参加、ご協力いただく多くの先生方に、この場をお借りして深く御礼申し上げます。例年同様、多くの素晴らしい発表と熱い討論が繰り広げられる集会になりますように、当日も皆様のご指導ご協力をよろしくお願い申し上げます。

 本年は本支部の多くの皆さまにとって、「総会より地方会の方が遠い」年になってしまったかもしれません。「国境の長いトンネル」を超えた新潟は遠いイメージがありますが、新幹線で東京から約2時間の距離で、世界遺産に登録された佐渡島も近く、食と酒にも恵まれたところです。観光やグルメも兼ね、ぜひ当地までお運びいただければ幸いです。皆様を新潟でお迎えできることを一同大変楽しみにしております。