161.糖尿病患者教育スタイルにおける勤務医と個人診療所医師および看護師との比較
Author:小泉順二(金沢大学附属病院 総合診療内科), 多崎恵子, 橋本麿和, 前田哲生, 尾山治, 八木邦公, 篁俊成, 稲垣美智子, 野村英樹
Source:糖尿病(0021-437X)55巻Suppl.1 PageS-211(2012.04)
論文種類:会議録
162.フットケア保湿教育が糖尿病患者の足病変への認識行動に及ぼす影響
Author:山田ルミ(金沢医科大学附属病院 看護部), 稲垣美智子, 北出優華子, 古屋圭介, 津田真一, 伊藤弘樹, 西澤誠, 中川淳, 中野茂, 古家大祐
Source:糖尿病(0021-437X)55巻6号 Page392-397(2012.06)
論文種類:原著論文
Abstract:【目的】糖尿病足壊疽などの重症足病変を予防するためには、壊疽の前駆所見のひとつである皮膚病変(乾燥や亀裂などの軽微な異常)への対策が重要である。そこで、保湿剤を自己塗布させる手法を用いたフットケア教育が患者の足に対する認識(意欲・関心)と行動を改善させることができるかどうかを検証することを目的とした。【方法】糖尿病神経障害を有する糖尿病患者を対象に清潔ケアに加え保湿剤を自己塗布する実験群と清潔ケアのみを指導する対照群に群分けした。認識と行動は、質問紙による面接を行ない、介入前と比較し3ヵ月後に改善がみられた患者を「向上」と判定し両群を比較した。【結果】両群の性別、年齢、糖尿病罹病期間に有意差はなかった。行動は実験群で有意に改善し(p<0.01)、意欲は向上傾向を示した。しかし、関心には有意差はなかった。【考察】本研究において、保湿剤を用いた教育は糖尿病患者のフットケア行動を向上させたことが示された。この結果は、保湿教育が軽微な皮膚病変を有する時期における糖尿病患者のフットケアに役立つことを示唆している。(著者抄録)
163.Failed Back Surgery Syndromeの患者の手術や痛みの体験と生活の意味づけ
Author:山口恵子(金沢看護専門学校), 稲垣美智子
Source:日本看護研究学会雑誌(0285-9262)35巻2号 Page79-90(2012.06)
論文種類:原著論文
Abstract:本研究の目的は、FBSSの患者が手術や痛みの体験と生活にどのような意味づけをしているのかを明らかにすることである。外来通院のFBSSの患者10名を対象に半構成的面接を実施し、M-GTAで分析した。その結果、手術や痛みの体験と生活の意味づけには『だましだまし付き合う』と『治療を探す』の2つがあった。『だましだまし付き合う』は、《手術が振り出し》から始まり、手術の結果を【とりあえず納める】、そして《痛みと取引しながらの生活》《痛みをもったまま生活することの弱さからの脱出》と時間の流れとともに生活の幅が広がる意味づけであった。『治療を探す』は、《手術が振り出し》の体験から始まり、痛みや症状が残ったことで【腑に落ちない】と考え、《痛みにとらわれた生活》に留まる意味づけであった。生活の知恵としてできた『だましだまし付き合う』は、今後、FBSSの患者教育の内容として重要であることが示唆された。(著者抄録)
164.高血圧症患者の日常生活行動自己管理尺度の開発 信頼性と妥当性の検討
(Development of a self-management scale for the evaluation of behavior in daily life in patients with hypertension: an investigation of reliability and validity)(英語)
Author:坪田恵子(Division of Health Sciences, Graduate School of Medical Science, Kanazawa University), 稲垣美智子
Source:金沢大学つるま保健学会誌(1346-8502)36巻1号 Page1-10(2012.07)
論文種類:原著論文
165.糖尿病腎症初期患者の診断時における身体の捉え方の様相
Author:辻口 彩乃(金沢大学附属病院 看護部), 稲垣 美智子, 多崎 恵子, 藤田 結香里
Source:日本糖尿病教育・看護学会誌(1342-8497)16巻2号 Page125-132(2012.09)
論文種類:原著論文
Abstract:糖尿病腎症初期患者の診断時における身体の捉え方を明らかにすることを目的に、研究参加者17名に半構成的面接を行い、分析を行った。その結果、【診断と実体との間に違和感を覚える】ことで身体に関心が向き、コアカテゴリー《もちこたえている身体を感じる》に始まり、この強弱により2つに分岐するプロセスで説明された。この程度が"強い"場合、【一生透析する身体や生活に不安をもち】、【糖尿病からは逃れられない】ことを再認識し、【今は腎症であることを遠ざけたい】と思い、【身体像に腎症を重ねて実体をあいまいにする】。そして、【これ以上悪くさえならなければそれでいいと思い】、【できそうな療養行動を意識する】に至っていた。一方、程度が"弱い"場合は、【知識に裏付けされた合併症のイメージをもつ】。そして、【身体像に腎症初期を加えて実体を理解し】、【今の実体を維持できるのではないかと思い】、【療養行動を構想する】に至っていた。以上より、身体の捉え方に合わせた支援を行うことが療養行動の遵守に繋がる可能性があることが示唆された。(著者抄録)
166.2型糖尿病患者の糖尿病イメージ[第1報] 2型糖尿病患者の糖尿病イメージ
Author:釜谷 友紀(金沢大学 大学院医学系研究科保健学専攻), 稲垣 美智子, 多崎 恵子, 田甫 久美子
Source:日本糖尿病教育・看護学会誌(1342-8497)16巻2号 Page155-162(2012.09)
論文種類:原著論文
Abstract:本研究は、2型糖尿病患者がもつ糖尿病イメージを明らかにすることを目的として、探索的質的研究を行った。外来通院中の2型糖尿病患者19名に個別面接を行い、質的に分析した。その結果、2型糖尿病患者の糖尿病イメージは28個抽出された。28個の糖尿病イメージは、原因に関するもの4個、予後・経過に関するもの6個、感覚に関するもの3個、規制に関するもの7個、人間性の価値に関するもの4個、対象化するもの4個であった。これらの糖尿病イメージは、自分の過去に対する思案や予後等に対する不安や恐ろしさ、自分と糖尿病との感覚的な関係、社会と病気と自分との葛藤など、2型糖尿病患者の糖尿病にまつわる体験が、患者の思考を通して表われてきた心像であるといえる。医療者は、患者がどのような糖尿病イメージをもって日常の療養生活を営んでいるのかを知ることにより、患者が糖尿病をどのように感じて病気と対峙しているかがわかり、療養指導に活用する示唆が得られると考える。(著者抄録)
167.透析室において看護師が難しい患者ととらえるしくみ
Author:犬丸 杏里(三重大学 医学部看護学科), 稲垣 美智子
Source:日本腎不全看護学会誌(1344-7327)14巻2号 Page77-84(2012.11)
論文種類:原著論文
Abstract:透析室において看護師が難しい患者と捉える現象、および看護師の対応を明らかにすることを目的に、2病院の透析室に勤務する看護師20名を対象に、透析室における看護師と患者の関わりを参加観察するとともに、看護師が捉える「難しい患者」について半構成的面接を行った。内容分析の結果、透析室において看護師が難しい患者と捉える仕組みは、「独特の環境」「長い関わり」「プライベートな話を聞かれる」「親しさの中での患者との距離」からなる【透析室の特殊性の知覚】を基盤に、穿刺に関する場面と言動に関する場面において、看護師個々がもつ許容範囲を超えた【ある出来事に遭遇する】ことにより生じていた。透析室看護師が看護を続けていくためには、穿刺できる看護師が行うという暗黙の了解、患者への思いや対応の仕方を看護師間で共有する「語り場」の存在などが重要であると考えた。
168.教育入院を体験した2型糖尿病患者の身体に対する感覚的な印象
Author:油野 聖子(石川県立看護大学 看護学部), 稲垣 美智子
Source:看護実践学会誌(1882-2428)25巻1号 Page16-26(2013.02)
論文種類:原著論文
Abstract:本研究は、教育入院を体験した糖尿病患者の身体に対する感覚的な印象を明らかにすることを目的としている。平成19年5月から11月にかけて糖尿病教育を目的にA大学病院代謝内科病棟に入院した2型糖尿病患者9名を対象に半構成的面接を行った。得られたデータを修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを参考に分析した結果、13の概念が生成され、そのうち8つの概念から成る3つのカテゴリーが生成された。教育入院を体験した2型糖尿病患者の身体に対する感覚的な印象は、【身体が生活と近づく感】と【身体を実態のあるものとしてつかむ感】、【身体を医療者と共有する感】であった。この3つの身体に対する感覚的な印象は、入院中<医療者と対話する>ことで得ることができたことから、教育入院の効果と捉えることができ、教育入院の目的の新たな視点として見出すことができた。(著者抄録)
169.2型糖尿病患者の糖尿病イメージの形成過程
Author:釜谷 友紀(金沢大学 大学院医学系研究科保健学専攻), 稲垣 美智子, 多崎 恵子, 田甫 久美子
Source:看護実践学会誌(1882-2428)25巻1号 Page39-48(2013.02)
論文種類:原著論文
Abstract:2型糖尿病患者が糖尿病イメージを形成する過程を明らかにすることを目的として、探索的質的研究を行った。外来通院中の2型糖尿病患者19名に個別面接を行い、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した。その結果、9つのカテゴリーからなる2型糖尿病患者の糖尿病イメージの形成過程を結果図に示すことができた。それは【きっかけに遭遇する】ことで、それまでにもっていた糖尿病イメージを用いて【自分の中に糖尿病を探る】し、自分が糖尿病であるとわかる。そして、糖尿病イメージが自分のものになり、療養生活を営む中から自身の糖尿病イメージが新たにつくられていた。その中で、患者が【意識して療養を行うが糖尿病の生活が厳しいと感じる】か【糖尿病はきちんと生活することに尽きると感じる】か、療養生活の感じ方によって、糖尿病イメージは【糖尿病を疫病神とイメージする】か【糖尿病を正しい生活とイメージする】になっていた。この過程から2型糖尿病患者が糖尿病イメージを形成する過程は疾病受容に通じることが示唆され、療養生活の感じ方の違いにより、糖尿病イメージに違いが出てくることが明らかとなった。(著者抄録)
170.通院中断した2型糖尿病患者の通院再開に至るまでの体験
Author:藤田 結香里(金沢大学附属病院), 稲垣 美智子, 多崎 恵子
Source:日本糖尿病教育・看護学会誌(1342-8497)17巻1号 Page13-20(2013.03)
論文種類:原著論文
Abstract:本研究の目的は、2型糖尿病患者が治療を中断し、そして通院再開する時、それに至るまでにどのような体験をしているかについて明らかにすることである。研究対象者は、通院中断し現在通院している2型糖尿病患者15名であり、エスノグラフィーの手法を用いて行った。その結果、7つのテーマが抽出され、それらを総括し、大テーマ【通院再開は、通院中断を「後ろめたさ」、通院再開を「きっかけに依るひとつの出来事から始まるやり直し」と意味づける体験である】が導き出された。以上の結果より、通院を中断している患者には、後ろめたさの配慮をしながら、医療者からの積極的な受診勧奨が必要であること、また受診勧奨には、大きい病院への受診あるいは大きい病院とのつながりの保証を明示することの必要性があることが示唆された。また中断予防には、患者としての処遇をすること、医療者としての距離感を患者が感じてくれる態度が必要であることも示唆された。(著者抄録)