Research2 of System Physiology, Graduate School of Medicine, University of Tokyo

2. Shear stressによる細胞の分化誘導

血管内皮前駆細胞(EPC)や胚性幹(ES)細胞が血行力学因子である shear stress や cyclic strain に反応して血管細胞へ分化することを明らかにした。

Shear stress による細胞の分化誘導

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ヒトの末梢血を流れる EPC が shear stress に応答して増殖能が亢進し、内皮細胞への分化と管腔形成が促進することを観察した(J Appl Physiol 2003)。また、shear stress が血管内皮増殖因子受容体を活性化して、マウスの ES 細胞を内皮細胞へ分化誘導する効果があった(Am J Physiol 2005)。

さらに、shear stressがEPCやES細胞において動脈内皮のマーカーである ephrinB2 の発現を増加させる反面、静脈内皮マーカーである EphB4 の発現を抑制することから、shear stress が内皮の動静脈分化にも影響を及ぼすことを示し(J Appl Physiol 2009, Arterioscler Thromb Vasc Biol 2009)、胚の発生時における血管形成に shear stress が重要な役割を果たしていることを示唆した。

Cyclic strain による細胞の分化誘導

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一方、cyclic strain 刺激がES細胞を平滑筋細胞へ分化誘導し、その効果に血小板由来増殖因子受容体のリン酸化が関わっていることを明らかにした(J Appl Physiol 2008)。

ハイブリッド型人工血管への応用

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このことを応用し、微細孔構造を持つポリマー管にES細胞を播種し、拍動性の shear stress と cyclic strain を同時に与えることで、内皮細胞と平滑筋細胞の二層構造を持つ生体の血管組織に近いハイブリッド型人工血管の開発を行うことができた(J Artif Organs 2005)。