トップページ > 疾患 > 診療マニュアル2020年版

診療マニュアル2020年版

目次

副腎腫瘍

1.機能評価

  • 腎臓内分泌内科に機能評価を依頼する

2.内分泌活性腫瘍

  • 周術期内分泌機能コントロールは腎臓内分泌内科にコンサルトし、その指示に従う(ステロイドカバーやカリウム補正、スピロノラクトン/ドキサゾシン投与など)
  • 原則として腹腔鏡下手術で摘出する

3.内分泌非活性腫瘍

最大径4cm未満かつ整形かつ内部均一
  • 慎重観察(6ヶ月~1年毎に画像・内分泌検査)し、異常あれば診療カンファレンスにて討議の上、摘出する
最大径4cm以上または不整形または内部不均一
  • 診療カンファレンスにて討議の上、腹腔鏡下手術(または開放性手術)で摘出する

腎癌

1.治療方針

1-1.転移なし

1)原発巣

a.
T1a
  • 腎温存手術を第一選択とする
  • 腎温存手術が困難な場合は、腹腔鏡下腎摘除術を施行する
  • 手術困難症例は生検のうえ凍結療法または監視療法も治療選択肢として提示する
b.
T1b
  • 腹腔鏡下腎摘除術または腎温存手術を行う
c.
T2以上
  • 腹腔鏡下または開放性手術による根治的腎摘除術を行う
1-2.転移あり

1)原発巣

  • Performance Status 良好で転移病変が少量の場合は腎摘除術を行う
  • IMDC高リスクの場合、Performance Status不良の場合、転移病変の腫瘍量が多い場合(RECIST 1.1におけるoverall tumor burdenに対して転移病変の割合が40%以上を目安に)や、局所進行により摘除不能の場合は、分子標的薬または癌免疫療法薬による全身療法を行う(2-3. 分子標的薬・癌免疫療法薬・サイトカインによる治療を参照)
  • 全身療法により病勢が改善すれば腎摘除術を検討してもよい

2)転移巣

  • 全身療法を行う(2-3. 分子標的薬・癌免疫療法薬・サイトカインによる治療に従う)
  • 可能ならば外科的に切除する
  • 肝転移にはラジオ波焼灼術、脳転移にはガンマナイフなども考慮する
1-3.転移・局所再発

1)上記1-2(転移あり)に準じる

2.治療方法

2-1.腎温存手術
  • 特段の理由がない限りはロボット手術で行う
  • 開放性手術では可能なかぎり無阻血・無縫合を目指す
  • 開放性手術で阻血を行う場合、想定阻血時間20分以上ではクランプ前から冷却する
  • 原則として部分切除術を行う(核出術は行わない)
  • 病理検査で断端陽性の場合には、残腎摘除を考慮する
2-2.開放性腎摘除術
  • 原則として経腹的に行う
  • 術前のCTでリンパ節転移が疑われた場合はリンパ節郭清を行う
2-3.分子標的薬・癌免疫療法薬・サイトカインによる治療

1)IMDC低リスク群の場合

  • ペンブロリズマブ+アキシチニブ併用またはアベルマブ+アキシチニブ併用を行う
  • 癌免疫療法薬の使用が困難な場合はパゾパニブまたはスニチニブを用いる

2)IMDC中リスク群または高リスク群の場合

  • ニボルマブ+イピリムマブ併用療法を第一選択として検討する
  • 患者の状態によってはIMDC低リスク群と同様の治療法としてもよい

3)その他

  • 組織型が淡明細胞型腎細胞癌ではない場合も同様の方針とするが、分子標的薬を使用する場合はスニチニブを優先する
  • 転移が肺のみかつ小径であればインターフェロンαまたはインターロイキン-2を検討してもよい
  • 分子標的薬や癌免疫療法薬が副作用で使用できない場合、インターフェロン+インターロイキン-2併用を考慮する
2-4.薬剤の投与方法など
  • 原則としてスニチニブの投与は2週間内服/1週間休薬のスケジュールとする
  • 治療開始前にB型肝炎の抗体を測定し、必要ならばB型肝炎ウイルス定量を行う
  • 開始は入院で行い、骨髄・甲状腺・心機能・間質性肺炎などの副作用をモニターする
  • インターフェロンαは週3回を、インターロイキン-2(1回70万単位より漸増)は週2回を目標とする

IMDCリスク分類

リスク因子
(1)KPS <80%
(2)診断から治療開始まで1年未満
(3)ヘモグロビン値 <基準値下限
(4)補正カルシウム値 >基準値上限
(5)好中球数 >基準値上限
(6)血小板数 >基準値上限

0項目=低リスク;1~2項目=中リスク;3項目以上=高リスク

腎盂尿管癌

1.術前検査

1-1.逆行性腎盂造影/腎盂尿管鏡・経尿道的膀胱粘膜生検の適応

1)自然尿細胞診class4/5

a.
造影CTにて上部尿路に有意な所見あり
  • 両側逆行性腎盂造影+患側腎盂尿管鏡+経尿道的膀胱粘膜生検を行う
  • 腫瘍の存在が明らかな場合には逆行性腎盂造影/腎盂尿管鏡を省略して腎尿管全摘除術をしてもよい
  • 術前補助化学療法を行う場合には病理組織型確定のために可能な限り逆行性腎盂造影/腎盂尿管鏡は省略しない
b.
造影CTにて上部尿路に有意な所見なし
  • 両側逆行性腎盂造影+経尿道的膀胱粘膜生検を行う

2)自然尿細胞診class3

a.
造影CTにて上部尿路に有意な所見あり
  • 両側逆行性腎盂造影+患側腎盂尿管鏡+経尿道的膀胱粘膜生検を行う
b.
造影CTにて上部尿路に有意な所見なし
  • 自然尿細胞診再検、複数回class3が検出されたら両側逆行性腎盂造影+経尿道的膀胱粘膜生検を行う

3)自然尿細胞診class1/2

a.
造影CTにて上部尿路に明らかな腫瘍あり
  • 両側逆行性腎盂造影+患側腎盂尿管鏡+経尿道的膀胱粘膜生検を行う
b.
造影CTにて上部尿路に尿管狭窄 or 壁肥厚あり
  • 患側逆行性腎盂造影+患側腎盂尿管鏡を行うが、経尿道的膀胱粘膜生検は不要
c.
造影CTにて上部尿路に有意な所見なし
  • 精査不要
1-2.逆行性腎盂造影/腎盂尿管鏡・経尿道的膀胱粘膜生検の結果

1)上部尿路尿細胞診class4/5 or 腎盂尿管鏡にて腫瘍あり or 腎盂尿管生検にて尿路上皮癌の病理診断が確定

a.
経尿道的膀胱粘膜生検で癌なし、pTa
  • 腎尿管全摘除術を行う
b.
経尿道的膀胱粘膜生検でpTis(上皮内癌)
  • BCG膀胱内注入療法6-8コース後に腎尿管全摘除術を行う
c.
経尿道的膀胱粘膜生検でpT1
  • 2nd TUR後に腎尿管全摘除術を行う
d.
経尿道的膀胱粘膜生検でpT2以上
  • 腎尿管膀胱全摘除術を行う

2)上部尿路尿細胞診class3 かつ 腎盂尿管鏡にて腫瘍なし かつ 腎盂尿管生検にて癌なし

a.
TURで癌なし
a-1) 自然尿細胞診class4/5 かつ 造影CTにて上部尿路に有意な所見あり
  • すみやかに逆行性腎盂造影/腎盂尿管鏡・経尿道的膀胱粘膜生検を再検する、もしくは患者に癌陰性の可能性も説明の上、腎尿管全摘除術を勧める
a-2) 自然尿細胞診class4/5 or 造影CTにて上部尿路に有意な所見あり
  • 3ヶ月後に両側逆行性腎盂造影+患側腎盂尿管鏡+経尿道的膀胱粘膜生検を再検する
a-3) 自然尿細胞診class3 かつ 造影CTにて上部尿路に有意な所見なし
  • 6ヶ月後に両側逆行性腎盂造影+患側腎盂尿管鏡+経尿道的膀胱粘膜生検を再検する
a-4) 自然尿細胞診class2以下 かつ 造影CTにて上部尿路に有意な所見なし
  • 自然尿細胞診、造影CTフォロー
b.
TURで癌あり
  • 膀胱癌の治療を優先する
  • 3-6ヶ月後に両側逆行性腎盂造影+患側腎盂尿管鏡を再検する

2.治療方針

2-1.転移なし

1)原発巣

a.
片側性腫瘍
  • 腎尿管全摘除術を行う
  • T2以上と考えられる場合はリンパ節郭清を考慮する
b.
単腎または両側性腫瘍
  • 腎温存手術の実施可能性について検討する
c.
原則として術前補助化学療法は行わない

2)術後補助療法

a.
pN+、T3以上、ly(+)、v(+) のいずれかの場合
  • ddMVAC療法6コース/ GC療法4コースを行う(腎機能低下例:クレアチニンクリアランス 30-60ではGC療法の代替としてGCa療法を行う)
b.
それ以外
  • 補助療法は行わない
2-2.転移あり

1)所属リンパ節転移のみの場合

  • ddMVAC療法6コース/ GC療法4コースを行い、根治手術が期待できる場合は腎尿管全摘除術+リンパ節郭清を行う
  • 術後に画像で残存病変がある場合にはペンブロリズマブを投与する

2)遠隔転移ありの場合

  • 原則として、原発巣は摘除しない
  • 化学療法未施行例では、一次化学療法としてddMVAC療法6コース/ GC療法4コースを行う(腎機能低下例:クレアチニンクリアランス 30-60ではGC療法の代替としてGCa療法を行う)
  • 化学療法が奏効した症例では、腎尿管全摘除術や転移巣の切除、放射線照射の追加を検討する
  • 一次化学療法終了後、画像で残存病変がある場合、または途中でもPD(腫瘍の増大や新病変の出現)が確認された場合には続けてペンブロリズマブを投与することを検討する
  • 一次化学療法(周術期化学療法を含む)が無効、または終了後再発した場合には①ペンブロリズマブ、②ddMVAC療法/GC療法(未施行の治療を選択)、③ドセタキセルの順に検討する
2-3.術後転移・局所再発
  • 上記「遠隔転移の場合」と同じ

3.治療方法

3-1.腎温存手術
  • 単腎または両側性腫瘍、小腫瘍などでは腎温存手術も考慮する
  • 経皮的または経尿道的な腎盂腫瘍切除
  • 尿管部分切除(開放性または腹腔鏡下手術)
  • 尿管ステント留置によるBCG注入療法
    事前に膀胱造影を行い、逆流を確認する
3-2.腎尿管全摘除術
  • 腹腔鏡下手術の場合やリンパ節郭清を伴う場合には経腹膜的でもよい
  • 下部尿管の剥離および腎の摘出は開放創から行う
  • 膀胱への播種予防のため、術中早期に腫瘍よりも尾側で尿管をクリッピングする
3-3.リンパ節郭清
  • 左腎盂~上部尿管癌では腎門部と傍大動脈
  • 右腎盂~上部尿管癌では腎門部と傍大静脈・大動静脈間
  • 下部尿管癌では骨盤内(片側)
3-4.化学療法
  • GC療法/GCa療法は2コース毎、ddMVAC療法は3コース毎を目安にCTなどで効果判定を行う
  • PD(腫瘍の増大や新病変の出現)の場合はペンブロリズマブに変更する
  • GC療法、GCa療法、ddMVAC療法の開始基準

    ① 白血球>3500 かつ 好中球>1500 かつ 血小板>100,000

    ② GC、ddMVACはHb>10が望ましい

  • GC療法、GCa療法、ddMVAC療法の減量基準

    ① 腎機能による減量基準(ddMVAC):Kintzel PE, Cancer Treatment Reviews, 1995による

    (ア) クレアチニンクリアランス >60 1コース目メトトレキサート75%, シスプラチン 75% dose→血液毒性G4、非血液毒性G3なければ2コース目~full dose
    (イ) 45< クレアチニンクリアランス <60 メトトレキサート65%, シスプラチン 75% dose
    (ウ) 30< クレアチニンクリアランス <45 メトトレキサート50%, シスプラチン 50% dose

    ② Day8にゲムシタビンをスキップする基準(GC、GCa):ゲムシタビンの添付文書による

    (ア) 白血球<2,000 or 好中球<1,000 or 血小板<70,000

    ③ 次コースで減量する基準(参考:Cancer Care Ontario)

    (ア) 前コースで下記のいずれかに該当するとき、全ての抗癌剤を80%に減量する
    i. 非血液毒性 Grade 3-4血液毒性
    ii. Grade 4(白血球<1,000 or 好中球<500 or 血小板<25,000)
    iii. 発熱性好中球減少症 or 出血性血小板減少症
    *前コースでDay8のゲムシタビンをスキップしても、上記がなければ減量しない
    (イ) 抗癌剤の強度を保つ必要がある場合には患者がメリット、デメリットを納得の上であれば減量しなくてもよい
  • ペンブロリズマブの投与

    ① 原則的にPS 2以下の患者に限る

    ② irAEに備え、毎月KL-6、TSH、FT3、FT4、トロポニンI、BNP、ACTHの採血、毎回胸部Xp・心電図を行う

    ③ 2コース終了後に画像検査を行い、hyper progressionを認めた場合には中止する

    その後は2-3ヶ月毎に画像フォローを行う

膀胱癌

1.治療方針

1-1.全例に共通

1)スクリーニング検査、術前検査

  • 肉眼的血尿で受診した症例は、尿検、自然尿細胞診、膀胱鏡、造影CT(不可の場合は単純CT or MR-urography)を行う
  • 顕微鏡的血尿(尿潜血含む)で受診した症例は、尿検、自然尿細胞診、エコー、造影CT(不可の場合は単純CT or MR-urography)を行う
  • 膀胱鏡にて膀胱腫瘍を認めた症例は、造影CT(不可の場合は単純CT or MR-urography)にて上部尿路の評価・転移の検索、および造影MRIにてVI-RADS評価を行う

2)経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)

  • TURの際は系統的生検も合わせて行う
  • 系統生検は癌が疑わしい箇所を避け、癌が疑わしい病変はそれぞれ別に組織を採取する
  • アラグリオ使用症例では、それぞれの検体採取部位でのアラグリオ陽性/陰性を記載する

3)筋層非浸潤癌のフォローアップ

  • リスク分類
    日本泌尿器科学会 膀胱癌診療ガイドライン2019年版 参照
  • 膀胱鏡のタイミング
    低・中リスク :術後3・6ヶ月、その後6ヶ月毎5年まで、その後1年毎10年まで
    高リスク :術後3ヶ月毎2年まで、その後6ヶ月毎5年まで、その後1年毎10年まで
  • フォローアップ中は、CT(できるだけ造影)で上部尿路を定期的に検査する
  • 病理がatypical epithelium、inverted papillomaの場合は6ヶ月毎の自然尿細胞診および1-2年毎に膀胱鏡フォローを行う
1-2.原発性上皮内癌

1)初発症例

  • BCG膀胱内注入療法を行う

2)再発症例

  • BCG膀胱内注入療法は2コースまでとする
  • 抵抗例では①膀胱全摘除術、②抗癌剤膀胱内注入療法を検討する
  • pT1へ進行した症例は膀胱全摘除術を検討する
1-3.筋層非浸潤癌
  • TUR後24時間以内にテラルビシン20mgの膀胱内注入療法を行う

1)pTa

a.
癌残存の可能性なし
  • 径3cm以上、随伴する上皮内癌ありのいずれかの場合には、術後補助療法としてBCG膀胱内注入療法を行う
  • 径3cm未満、随伴する上皮内癌がなく、アラグリオ使用して残存病変がないと考えられる場合には、再発や、多発、high-gradeであってもBCG膀胱内注入療法を行わない
b.
癌残存の可能性あり
  • Second TURBTを行う

2)pT1

a.
ly(-)かつv(-)
  • Second TURBTを行う
  • 残存癌なしあるいはTa, Tisであれば、BCG膀胱内注入療法を行う
  • T1以上の残存癌があれば、膀胱全摘除術を勧める
b.
ly(+)またはv(+)
  • 膀胱全摘除術を勧める、希望なければsecond TURBT→BCG膀胱内注入療法を行う
c.
随伴する上皮内癌がある場合
  • 膀胱全摘除術を検討する、希望なければsecond TURBT→BCG 膀胱内注入療法を行う
1-4.筋層浸潤癌 cT2-4a N0M0
  • 膀胱全摘除術を行う
  • T3以上の場合は術前補助化学療法として、ddMVAC療法6コース/ GC療法4コースを考慮する
    原則として
    ① 純粋な尿路上皮癌でないものは化学療法の効果不良のため、術前補助化学療法を施行しない
    ② 途中で腫瘍の増大が確認された場合には、即時に手術を行うことを検討する
  • pN+、pT3以上、pT2かつv(+)、pT2かつly(+)のいずれかで、術前補助化学療法が行われていない場合
    術後化学療法としてddMVAC療法6コース/ GC療法4コースを行う(腎機能低下例:クレアチニンクリアランス 30-60ではGC療法の代替としてGCa療法を行う)
  • pN+で術前補助化学療法が行われている場合は放射線照射の追加を検討する
  • 全身状態不良例では、部位的に可能かつ随伴する上皮内癌がなければ膀胱部分切除も検討する
1-5.進行癌(T4b、N+)
  • ddMVAC療法6コース/ GC療法4コースを行う
  • 化学療法が奏効し、根治手術が期待できる場合は膀胱全摘除術+リンパ節郭清を考慮する
  • 術後に画像で残存病変がある場合にはペンブロリズマブを投与する
1-6.転移・術後再発
  • 化学療法未施行例では、一次化学療法として、ddMVAC療法6コース/ GC 療法4コースを行う(腎機能低下例:クレアチニンクリアランス 30-60ではGC療法の代替としてGCa療法を行う)
  • 化学療法が奏効し、可能な症例には切除や放射線照射の追加を検討する
  • 一次化学療法終了後(または途中でもPDが確認された場合)、画像で残存病変がある場合には続けてペンブロリズマブを行うことを検討する
  • 一次化学療法(周術期化学療法を含む)が無効、または終了後再発した場合には①ペンブロリズマブ、②ddMVAC療法/GC療法(未施行の治療を選択)、③ドセタキセルの順に検討する

2.治療方法

2-1.膀胱全摘除術

1)可能であればロボット支援下手術(RARC)で行う
2)郭清範囲

  • 両側の総腸骨リンパ節、仙骨正中まで行う

3)尿路再建(腸管利用の場合は全例に大建中湯)

a.
前立腺部尿道(男性)・膀胱頸部(女性)に腫瘍、広範な上皮内癌、高齢(75歳以上)、腎機能低下例、尿道狭窄症例など
  • 回腸導管(男性で前立腺部尿道に腫瘍もしくは上皮内癌がある場合、術中迅速診断で尿道断端が陽性だった場合には尿道摘除術も行う)
b.
全身状態不良症例、腸管が利用できない症例
  • 尿管皮膚瘻
c.
それ以外
  • Studer法による回腸新膀胱(膀胱本体はUまたはN型)
  • 回腸導管
2-2.膀胱全摘除術の適応であるが不能(手術リスクが高い、患者拒否)
  • 放射線療法(+化学療法)、膀胱部分切除術などによる膀胱温存治療を考慮する
  • 動注化学療法を希望される方は他院を紹介
2-3.BCG膀胱内注入療法
  • TURBT後21日目以降よりBCG 80mgの注入を週1回で8回行う
  • 高齢・高リスク例では、40mgへの減量を検討する
  • BCG膀胱内注入療法前には、結核感染既往歴の確認、胸部XP確認を行う
  • BCG注入は2コースを限度とし、抵抗例では抗癌剤(MMC)膀胱内注入療法や膀胱全摘除術を検討する
2-4.化学療法
  • GC療法/GCa療法は2コース毎、ddMVAC療法は3コース毎を目安にCTなどで効果判定を行う
  • PDの場合はペンブロリズマブに変更する
  • GC療法、GCa療法、ddMVAC療法の開始基準

    ① 白血球>3500 かつ 好中球>1500 かつ 血小板>100,000

    ② GC、ddMVACはHb>10が望ましい

  • GC療法、GCa療法、ddMVAC療法の減量基準

    ① 腎機能による減量基準(ddMVAC):Kintzel PE, Cancer Treatment Reviews, 1995による

    (ア) クレアチニンクリアランス>60 1コース目 メトトレキサート 75%, シスプラチン 75% dose→血液毒性G4、非血液毒性G3なければ2コース目~full dose
    (イ) 45<クレアチニンクリアランス<60  メトトレキサート 65%, シスプラチン 75% dose
    (ウ) 30<クレアチニンクリアランス<45  メトトレキサート 50%, シスプラチン 50% dose

    ② Day8にゲムシタビンをスキップする基準(GC、GCa):ゲムシタビンの添付文書による
    白血球<2,000 or 好中球<1,000 or 血小板<70,000

    ③ 次コースで減量する基準(参考:Cancer Care Ontario)
    前コースで下記のいずれかに該当するとき、全ての抗癌剤を80%に減量する

    (ア) 非血液毒性 Grade 3-4
    (イ) 血液毒性 Grade 4(白血球<1,000 or 好中球<500 or 血小板<25,000)
    (ウ) 発熱性好中球減少症 or 出血性血小板減少症
    *前コースでDay8のゲムシタビンをスキップしても、上記がなければ減量しない

    ④ 抗癌剤の強度を保つ必要がある場合には患者がメリット、デメリットを納得の上であれば減量しなくてもよい

  • ペンブロリズマブの投与

    ① 原則的にPS 2以下の患者に限る

    ② irAEに備え、毎月KL-6、TSH、FT3、FT4、トロポニンI、BNP、ACTHの採血、毎回胸部Xp・心電図を行う

    ③ 2コース終了後に画像検査を行い、hyper progressionを認めた場合には中止する

    ④ その後は2-3ヶ月毎に画像フォローを行う

前立腺癌

1.治療方針

1-1.前立腺癌患者全般
  • ルーチン検査(外来前立腺癌フォローセット)
    通常の検査項目に加えて、以下の前立腺癌フォローセットを追加する
    (ホルモン治療中:6ヶ月毎、ホルモン治療中以外:1年毎)
a.
アンケート:CLSS、IPSS、IIEF5、睡眠、QOL、EORTC-PR、G8
b.
骨代謝:骨密度、P1NP、1-CTP、TRACP-5b、ucOC
c.
ホルモン:CS、ACTH、テストステロン
1-2.原発巣治療

1)cT1a

  • 無治療、経過観察とする

2)cT1b、T1c、T2、T3

a.
基本方針
  • 根治的治療(前立腺全摘除術、外照射)を勧める
  • 根治的治療が困難な場合は内分泌治療を行う
  • 監視療法は、PSA<10 ng/mL, PSAD<0.2, Positive core≦2, グリーソンスコア=3+3
    (70歳以上はグリーソンスコア≦3+4), cT1c or T2 N0 M0の場合に検討する
b.
根治的治療の選択基準
  • 原則として前立腺全摘除術を行うが、外照射も検討する
  • 期待余命が10年以上なら前立腺全摘除術を行う
  • 手術困難症例では外照射を考慮する
c.
補助療法
  • 2 治療方法の項を参照

3)T4またはN+またはM+

a.
基本方針
(ア)
内分泌治療(除睾術を含む)を行う
(イ)
グリーソンスコア8以上、3か所以上の骨転移、内臓転移のうち2つ以上を満たす場合は、ホルモンsensitiveであってもLHRHa+アビラテロン(この場合はプレドニゾロン5㎎併用)を検討する
(ウ)
M+の場合は、ビンテージ治療のほかにLHRHa+アパルタミド、LHRHa+エンザルタミドも検討する
b.
追加療法
(ア)
原発巣もしくは転移部位に外照射を考慮する
c.
Oligometastasis
(ア)
コリンPET or 全身MRI(DWIBS)を撮影する
(イ)
局所療法を考慮する

2.治療方法

2-1.前立腺全摘除術(ロボット補助腹腔鏡下前立腺摘除術;RARP)

1)術前の方針

a.
術前内分泌療法
  • 原則として行わない
  • 手術までの待機期間が3ヶ月以上と予想される場合、中リスク、高リスク症例は内分泌療法を考慮してもよい
b.
神経温存手術
  • 生検部位とMRI所見に基づき、可能な限り温存する
  • Retzius sparing RARPも検討する
c.
リンパ節郭清

2)術後の方針

a.
pT3a以下かつPSA 最下値 ≦0.2ng/mL
  • 経過観察を行う
b.
pT3a以下かつPSA 最下値 >0.2ng/mL
  • 内分泌療法 and/or 外照射を検討する
c.
pN(+)
  • 外照射を行う(前立腺床を含めない骨盤腔)
d.
pT3b(精嚢浸潤)以上
  • 経過観察を行う
e.
断端陽性(RM1)
  • 経過観察を行う

3)生化学的再発(Biochemical PSA failure)

a.
再発の定義
  • 2-4週あけて測定したPSAが2回連続して≧0.2ng/mLとなった場合
b.
再発時の検査
  • PSAの変動をこまめに(1~2ヶ月おき)にチェックする
  • 画像検索(CT、骨シンチ、全身MRI(DWIBS)など)を実施し、oligometastasis(微小転移)の検出を行い、診療カンファレンスで治療方針を決定する
c.
再発時の治療
  • PSA倍加時間<6 M:内分泌治療
  • PSA倍加時間≧6 M:PSA<0.5ng/mLまでに外照射を行う

4)臨床的再発

  • Persistent PSA elevationを見逃さないように、臨床所見、尿所見、画像所見など統合的に判断する
  • 触診、画像(CT、骨シンチ、コリンPETを含む)で再発の場合、内分泌治療と外照射を追加する
  • 全身MRI(DWIBS)を撮影する
2-2.外照射

1)内分泌治療の併用

  • グリーソンスコア4+3以上で4-6ヶ月のホルモン治療を併用する
  • 高リスク群(PSA 20ng/mL以上かグリーソンスコア8以上かT2c以上)はホルモン治療を放射線治療後2年間継続する
  • いずれも内分泌治療を先行し、PSA 1.0ng/mL前後に低下した時点で放射線治療を開始する
  • ホルモン治療は初回ゴナックス、以降は問わない(可能ならビカルタミドは併用しない)

2)生化学的再発(Biochemical PSA failure)

a.
再発の定義
  • PSAが最下値+2.0ng/mL以上
b.
再発時の治療
  • 前立腺生検を行う
  • コリンPET、CT、骨シンチ、全身MRI(DWIBS)で転移がなければ、RARPを考慮し、oligometastasis(微小転移)では局所治療を考慮する
  • 局所治療が困難な場合は内分泌治療を行う

3)臨床的再発(CTや骨シンチの異常)

  • コリンPETまたは全身MRI(DWIBS)で評価する
  • 内分泌治療を行う
  • Oligometastasis(微小転移)では局所治療を考慮する(RARP、リンパ節郭清、転移巣への放射線治療)
2-3.小線源治療
  • 東京警察病院に紹介する
2-4.重粒子線治療
  • 手術療法困難症例に限る
2-5.内分泌治療・化学療法

1)検査

  • 治療開始前にテストステロンを測定する
  • 骨密度を適宜測定する

2)内分泌治療の減量・中止

  • 抵抗性とならずに5年経過した場合、減量・中止を考慮する
  • その場合はテストステロンを3ヶ月毎に測定する
2-6.去勢抵抗性前立腺癌と治療

1)定義

a.
血清テストステロンが50ng/dL未満で、以下の①か②を満たす場合
① 4週以上あけて測定したPSA値が最低値から25%以上上昇、かつ上昇幅2.0ng/mL以上
② 画像診断上の増悪あるいは新規病変の出現

2)治療

a.
全身MRI(DWIBS)またはコリンPETでoligometastasis(微小転移)の場合は局所治療を検討する
b.
m0CRPCの場合
b-1) PSA倍加時間<10ヶ月の場合、アパルタミド、エンザルタミド、ダロルタミドを検討する
b-2) PSA倍加時間≧10ヶ月の場合、ビカルタミドを検討する
c.
mCRPCの場合
c-1) ADT奏効期間 >12ヶ月かつ無症状の場合

① アビラテロン(プレドニゾロン10㎎併用)またはエンザルタミドの投与を行う(糖尿病、重度の肝障害はエンザルタミド、てんかん既往はアビラテロンを推奨)

② ドセタキセル投与(75mg/m2 3週間毎、開始時は入院)を3コース行った後、カバジタキセル投与(3週毎)を行う
カバジタキセルの投与の際はペグフィルグラスチム併用のうえ20mg/m2で開始し、①先行のドセタキセルでGrade 4以上の血液毒性、②1クール目でGrade 3以上の有害事象、のどちらも無ければ25mg/m2に増量する

③ ①and/or②が無効になったとき、second-lineの新規AR標的薬投与(アビラテロンおよびエンザルタミドのうち①で使用していない薬剤)を検討する
いずれの治療中も骨転移があればゾメタもしくはランマーク投与を行う(Ca製剤を補充する)

c-2) ADT奏効期間<12ヶ月

① c-1)の②を行う

② アビラテロンまたはエンザルタミドの投与を行う

d.
ドセタキセル、カバジタキセル休薬基準

① PSAが50%以上低下かつ4.0ng/mL以下の場合は休薬する

② 最下値の150%以上かつ2.0ng/mL以上の場合は再開する

e.
転移が骨転移のみの場合はRa223を考慮し、放射線科に依頼する
f.
患者の希望などでエチニルエストラジオール、プロスタール、リン酸エストラムスチンの投与を行う場合は診療カンファレンスの承認を得ること

精巣癌

1.基本方針

  • 全例で高位精巣摘除術を行う
  • hCG測定は単位がmIU/mLのものを用いる
  • IGCCCの評価は高位精巣摘除術後、化学療法開始前の値で行う
  • 化学療法は治療強度を維持した3週サイクルの導入化学療法が最も重要
  • 減量は極力避ける
  • 次コース開始予定日に発熱を認める場合、好中球500未満、血小板10万未満の場合には延期を考慮する
  • 50歳以上の場合、もしくは40歳以上で下記のいずれかの条件(*)に一致する場合にはBEPに代わりEPまたはVIPをfirst-lineとする

    *4コース以上必要な場合、腎機能不良クレアチニンクリアランス<80、酸素投与、胸部への放射線照射、喫煙歴あり、進行した肺転移

  • 化学療法中は2コース毎を目安にCTで治療効果を判定するセミノーマの場合は3~6ヶ月後にFDG-PETでviabilityを確認する

2.セミノーマ

2-1.Stage I
  • 無治療経過観察を基本とする
  • 経過観察またはカルボプラチン(AUC x 7)1コースも検討する
  • 無治療経過観察の場合、1-3年目は3-6ヶ月毎のCT&1-6ヶ月毎のマーカー測定で厳重に経過観察する
2-2.StageⅡA(5㎝未満)
  • 以下のいずれかを選択する
    ① 化学療法を実施する(詳細はStageⅡBと同じ)
    ② Dog leg型の放射線治療 35Gyを照射する
2-3.StageⅡB(5cm以上)またはStageⅢ
a.
Good risk
  • BEP 3コースまたはEP 4コースを行う
b.
Intermediate risk
  • BEPを4コース(またはVIPを4コース)行う

3.非セミノーマ

3-1.Stage I
a.
脈管侵襲なし
  • 無治療経過観察する
  • 1-3年目は3-6ヶ月毎のCT&1-6ヶ月毎のマーカー測定で厳重に経過観察する
b.
脈管侵襲あり
  • BEPを2コース行う
3-2.StageⅡまたはⅢ
a.
good risk (AFP<1,000, hCG<5,000)
  • BEP3コースまたはEP4コース行い、腫瘍マーカーが正常化後にRPLNDを行う
  • 摘出標本にviable cellがあれば(pCRでない)、BEPまたはEPを2コース追加する
b.
intermediate risk (AFP<10,000, hCG<50,000)
  • BEPを4コース(またはVIPを4コース)行い、腫瘍マーカー正常化後にRPLNDを行う
  • 摘出標本にviable cellがあれば(pCRでない)、BEPまたはEPを2コース追加する
c.
poor risk(AFP>10,000 or hCG>50,000 or 肺以外臓器転移)
  • 同上
  • 末梢血幹細胞移植併用化学療法を考慮する
  • hCG著明高値を示す多発転移症例はchoriocarcinoma syndromeを発症するリスクを念頭に置く(特に多発肺転移での急性呼吸窮迫症候群の発生に注意、呼吸苦があればmodified BEPも検討する)

4.再発・不応症例

a.
セカンドライン化学療法
  • TIP療法を第一選択とする
  • TIN、VIP、DIP、CDDP+CPT11、GEMOXなど
b.
その他の治療
  • 放射線治療、外科的切除、末梢血幹細胞移植併用化学療法を検討する

陰茎癌

1.診断

  • 積極的に生検をして確定診断を得る(針生検よりパンチ生検が望ましいEAU Guidelines)
  • MRIとエコーでT stageを判断する
  • 腫瘍マーカーSCCの上昇は25%未満

2.原発巣に対する治療

2-1.Tis、Ta、T1(固有層または肉様膜まで)かつG1-2の場合
  • 腫瘍切除を行う
2-2.T2以上(海綿体や隣接臓器浸潤)またはG3以上の場合
  • 辺縁から5mmのマージンを確保して陰茎切断術を行う(J Urol 2012; 188: 803)
  • 術中の凍結標本で断端陰性を確認してよい(EAU Guidelines)

3.リンパ節転移に対する治療

1)鼠径リンパ節腫大なし

a.
原発巣がTa・Tis・T1a(脈管、神経周囲浸潤なし)かつG1-2の場合
  • 経過観察
b.
原発巣がT1b以上またはG3以上の場合
  • 浅鼠径リンパ節郭清を行い、迅速診断で陽性であれば深鼠径リンパ節郭清も行う

2)鼠径リンパ節腫大あり

a.
片側かつ最大径4㎝未満かつ可動性あり
  • 浅鼠径リンパ節郭清を行い、迅速診断で陽性であれば深鼠径リンパ節郭清も行う
  • pN2-3(pN1は鼠径部に片側2つまで)であれば、骨盤リンパ節郭清を追加する
b.
両側または最大径4㎝以上または可動性なし
  • 針生検(または切除生検)ののち、術前補助化学療法を実施する

3)骨盤内リンパ節腫大あり

  • 2)b)と同治療とする

4.浅・深鼠径リンパ節郭清

  • 縫工筋による充填を考慮する

5.骨盤リンパ節郭清

  • 総腸骨および外腸骨領域を郭清する

6.化学療法(遠隔転移例、再発例、手術困難例)

  • 一次治療をTIP、代替治療を5FU+シスプラチンとする

7.術前補助化学療法

  • TIP 4コースを考慮する

8.術後補助化学療法

  • 下記のいずれかに該当する症例に対して、TIP 4コースを考慮する
    ① 骨盤リンパ節転移
    ② 節外進展
    ③ 両側性の鼠径リンパ節転移
    ④ 4cm以上のリンパ節転移

9.放射線療法

  • 症例に応じて選択を考慮するが、化学療法との併用を基本とする
  • 総線量は原発病変に対して60-70Gy、鼠径および骨盤リンパ節に対して45-50.4Gyとする

尿路結石

1.検査

  • 血液生化学(カルシウム、リン、尿酸など)を一度は測定し、必要に応じてPTH-intactも測定する
  • 代謝性結石・複雑性尿路結石では定期的に腎機能評価する
  • 3回以上の再発は尿中シュウ酸またはクエン酸測定を考慮する
  • 尿路結石の確定診断には単純CTを用い、CT値を測定する
  • 分腎機能、閉塞の評価には腎動態シンチ(立位・ラシックス負荷)を考慮する
  • 妊婦には腹部USが第一選択、妊娠24週以降であれば必要に応じMRUも考慮する

2.治療方針

2-1.腎結石
  • 腎機能が十分にあり、耐術性があれば積極的な治療を行う
  • 10mm未満の結石ではURSを第一選択とする
  • 10mm以上20mm未満の結石では尿管鏡手術(+腎瘻造設術)もしくは内視鏡併用腎内手術を第一選択とする
  • 20mm以上の結石では内視鏡併用腎内手術または経皮的腎砕石術を第一選択とするが、腎瘻造設が好ましくない症例では尿管鏡手術も選択肢に入れてよい
  • 20mm以下の結石では体外衝撃波砕石術も考慮してよいが、肥満、水腎症、CT値≧900HU、下腎杯結石、腎盂と腎杯頚部の角度が急峻な症例では避ける
  • 内視鏡治療が奏効しないもしくは困難と考えられるケースでは開放性手術または腹腔鏡下手術を考慮してよい

参考資料:2019 EAU Guidelines
註)体外衝撃波砕石術での砕石不良因子

  1. Infundibular-pelvic angleが急峻
  2. 腎杯が長い
  3. Skin-to-stone 距離が長い
  4. Infundibulumが狭い
  5. 体外衝撃波砕石術で砕石しにくい結石成分(calcium oxalate monohydrate、brushite、cystine)
2-2.尿管結石
  • 1ヶ月以内に自然排石を認めない例では積極的治療を考慮する
  • サイズ、場所に関わらず尿管鏡手術を第一選択とする
  • 10mm以下の結石では体外衝撃波砕石術も考慮してよいが、肥満症例、嵌頓症例では不可である
  • 上記治療での難治例、長期嵌頓による癒着、結石の尾側で狭窄を認める症例は腹腔鏡下手術または開放性手術を考慮してよい

参考資料:2019 EAU Guidelines

2-3.その他
  • 尿管鏡手術の際は術後感染予防のため、砕石および抽石時間が60分以内になるように努める
  • 内視鏡併用腎内手術、経皮的腎砕石術の際は術後感染予防のため、砕石および抽石時間が120分以内になるように努める
  • 嵌頓結石、感染結石、サイズの大きな結石に対する尿管鏡手術ではpre-stentingや術中の腎瘻造設も検討する
  • 感染尿を伴う症例では術前から適切な抗生剤の投与を行う
  • 出血傾向を有する患者、抗血栓療法中の患者、動脈瘤を有する患者では体外衝撃波砕石術を避ける
  • 妊婦の結石疼痛管理にはアセトアミノフェン、麻薬(塩酸モルヒネ、コデイン、オキシコドンなど)を使用する
  • 週齢を問わず妊婦にはNSAIDsは禁忌である
  • 妊婦に体外衝撃波砕石術は禁忌である(尿管鏡手術、経皮的腎砕石術は適応がある)
  • 小児上部尿路結石には経皮的腎砕石術、体外衝撃波砕石術、尿管鏡手術はいずれも考慮されうる

3.補助療法

  • 水分摂取(2.0L/day以上)を勧める
  • 反復例・高尿酸尿例ではウラリット内服を勧める
  • ウラリット内服時は尿pH≧8.0とならないように留意する
  • 食事指導を行う

排尿障害:前立腺肥大症・過活動膀胱・神経因性膀胱・腹圧性尿失禁

初診時(またはそれに準ずる場合)における初期検査

  • IPSS、OABSS、CLSS、OSSI、OSPI、ICIQ-SF、VAS、検尿(尿定性・尿沈渣)、排尿日誌(FVC)、自然尿細胞診、尿流測定(UFM)、残尿測定、直腸診、腹部US、PSA、血清Cr、eGFR測定を行う

1.前立腺肥大症

1-1.術前検査
  • 上部尿路の評価のために腎USまたはCTを行う
  • 手術適応の有無を判断するため、可能な限り術前にビデオ尿流動態検査を行う
  • 逆行性尿道造影(RUG)は原則として行わない
  • 尿培養を行う
1-2.治療
a.
手術(経尿道的前立腺切除術、腺腫が大きい場合には開放性手術)
  • 適応症例:反復する尿閉・尿路感染症、血尿、膀胱結石、腎後性腎不全、水腎症
  • 術前ビデオ尿流動態検査の結果、明らかな膀胱出口部閉塞(BOO)がなく低活動膀胱を併発する症例では原則として経尿道的前立腺切除術を行わない
  • 患者さんの希望が強い場合は残尿量の減少や尿勢改善に乏しいこと、さらに場合によっては清潔間欠自己導尿が必要になることについても説明し、診療カンファレンスの承認も得ること
  • PSA値が基準値よりも高値の場合は、前立腺針生検を先行して実施する
  • 接触式レーザー前立腺蒸散術(CVP)の適応があれば日本赤十字社医療センター泌尿器科へ紹介する
b.
保存的治療
  • 内服薬治療(第一選択はα1遮断薬またはPDE5阻害薬)を行う
  • 蓄尿症状の改善が不十分ならβ3作動薬または抗コリン薬を併用する
  • 前立腺体積が30mL以上なら(α1遮断薬またはPDE5阻害薬)と5α還元酵素阻害薬の併用投与を検討する
  • 症状の改善不十分、合併症の恐れがあれば、手術を検討する
  • α1遮断薬を投薬する場合は副作用(射精障害、起立性低血圧など)の発現についてよく説明すること
1-3.治療後の評価
  • IPSS、OABSS、CLSS、ICIQ-SF、VAS、尿検(尿定性・尿沈渣)、FVC、UFM+残尿測定で評価/フォローを行う
  • 必要に応じて上記に加え、ビデオ尿流動態検査でも評価する
  • 術後であっても、年に1回はPSAを測定する

2.過活動膀胱

2-1.検査
a.
尿失禁を伴う症例(OAB-wet)に行う検査
  • 24時間パッドテスト
  • 女性の場合は台上診も行う(骨盤臓器脱、尿道過可動性(Q-tip test)、尿道カルンクラなどのチェック)
b.
治療不応患者への検査
  • 治療薬剤投与下での質問票(CLSS、IPSS、OABSS、ICIQ-SF)、FVC、尿流測定+残尿測定
  • 膀胱機能の検索のためにビデオ尿流動態検査も行う
2-2.治療
a.
男性患者
  • 骨盤底筋訓練
  • 内服薬治療(β3作動薬または抗コリン薬の併用)を行う
  • 前立腺肥大症を併発している場合はα1遮断剤/PDE5阻害薬を併用する
  • 尿排出障害のない症例(Qmax≧15mL/minかつ残尿量50mL以下)ではβ3作動薬または抗コリン薬単剤投与でもよい
b.
女性患者
  • 骨盤底筋訓練
  • β3作動薬または抗コリン薬の単独投与を行う
  • 単独投与に不応の場合は、β3作動薬と抗コリン薬の併用投与を行う
c.
難治性過活動膀胱
  • 定義:過活動膀胱に対して、β3作動薬、抗コリン薬(最低でも2種類以上)の単独治療、または、β3作動薬と抗コリン薬の併用療法を、合計3ヶ月以上継続しても、切迫性尿失禁が残存する病態
  • ボトックス膀胱壁内注入療法または仙骨神経刺激装置埋込術を検討する
2-3.治療後の評価
  • 質問票(CLSS、IPSS、OABSS、ICIQ-SF)、FVC、UFM+残尿測定で評価/フォローする

3.神経因性膀胱

3-1.検査
  • 共通の初期評価検査に加え、以下の検査を行う

    ① 仙髄領域の神経学的診察(肛門周囲知覚、肛門トーヌス、肛門収縮、肛門反射、球海綿体筋反射)、尿検、尿培養、UFM+残尿測定

    ② 尿路感染の反復、膀胱の変形・壁肥厚、水腎・水尿管などを認めた場合、および清潔間欠自己導尿の導入が必要と考えられた場合は、ビデオ尿流動態検査を行う

3-2.治療
  • 病歴、身体所見から神経障害の部位を同定して、3群(下記①~③)に大別する
  • 治療の優先順位は1.上部尿路機能の保持、2.尿路感染の防止、3.失禁のない良好な蓄尿機能、4.自排尿での管理の順に定めて、尿路管理を決定する
a.
保存的治療

① 橋より上位の中枢神経病変

  • 神経因性排尿筋過活動による尿失禁が主体となり、上部尿路機能障害を来すことは稀
  • 一般的な過活動膀胱治療に準じた治療を行う

② 橋~腰髄までの脊髄病変

  • 尿意の低下・消失、排尿筋過活動、排尿筋括約筋協調不全(DSD)を認めることが多いため基本的にビデオ尿流動態検査を行い、高圧蓄尿・高圧排尿など、上部尿路障害のリスクを評価した上で排尿管理法を決定する
  • 上部尿路障害の危険因子(膀胱変形、膀胱尿管逆流、DSD、低コンプライアンス膀胱(<20mL/cmH2O、DLPP>40cmH2Oなど)がある場合、自排尿を許可せず、清潔間欠自己導尿を導入する
  • 清潔間欠自己導尿は個々の膀胱容量に応じて、適切な間隔(3-6時間程度)で完全に膀胱を空にするように指導する
  • 必要に応じて、β3作動薬または抗コリン薬による薬物治療を併用する
  • 長期間の留置カテーテルによる管理は、可能な限り避ける(CAUTI Guidelines参照)

③ 仙髄病変・末梢神経障害

  • 尿意の低下・消失、排尿筋低活動・無収縮による排出障害、括約筋閉鎖機能不全による腹圧性尿失禁などを呈する
  • 残尿量が多い場合には、基本的にビデオ尿流動態検査を行い、高圧蓄尿・高圧排尿など、上部尿路障害のリスクを評価した上で排尿管理法を決定する
  • 排尿筋低活動・無収縮による排出障害はあるが、残尿量が少なく、かつ上部尿路障害のリスクがない場合は、α1遮断薬による薬物治療を行い、自排尿管理とする
  • 残尿量が多いか、もしくは上部尿路障害のリスクがある場合は清潔間欠自己導尿の導入を推奨する
  • ただし、自排尿と非常に間隔の長い清潔間欠自己導尿(1日1~2回など)を組み合わせる排尿管理は行うべきではない
  • コリン作動薬、コリンエステラーゼ阻害薬は、コリンクリーゼのリスクがあるため原則的に使用しない
b.
外科的治療
  • 保存的治療に抵抗性の症例や、何らかの理由により清潔間欠自己導尿による管理ができない症例に対して検討する

4.腹圧性尿失禁

4-1.検査
a.
全例に行う検査
  • 24時間パッドテスト
b.
手術前に行う検査
  • 上部尿路の検索のために腎USまたはCTを行う
  • 下部尿路閉塞の検索のために内視鏡およびビデオ尿流動態検査を行う
4-2.治療
a.
初期治療
  • 保存療法:骨盤底筋訓練、内服薬(クレンブテロール)内服
b.
初期治療不応例
  • (女性)TVT/TOT手術を行う
  • (男性)人工尿道括約筋AMS-800埋込術を検討する
4-3.治療後の経過
  • 質問票(CLSS、IPSS、OABSS、ICIQ-SF)、24時間パッドテスト、UFM+残尿測定で評価/フォローする
5.混合性尿失禁
  • 腹圧性/切迫性のどちらが優位かを評価する
  • 治療は優位なタイプの治療に準ずる

排尿障害:夜間頻尿・夜間多尿

1.定義

  • 夜間頻尿:夜間、排尿のために起きなければならない症状、と定義されるが、通常2回以上睡眠を妨げられると臨床的に問題とされることが多い
  • 夜間頻尿には主に3つの原因が存在すること(排尿障害、夜間多尿、睡眠障害)を念頭にいれて診療を行う
  • 夜間多尿:夜間尿量/24時間尿量が高齢者 0.33以上、若年者 0.20以上であれば夜間多尿と診断する
  • アテネ睡眠尺度(AIS)により6点以上を睡眠障害と診断し、睡眠時無呼吸症候群や精神疾患の既往を確認する

2.検査

  • 身長、体重、BMI
  • 問診 脳血管障害、甲状腺、心疾患、慢性腎臓病、糖尿病、精神疾患、いびき、夜間無呼吸症候群の有無
  • 問診票(CLSS、IPSS、OABSS、IIEF5、EHS、AIS)
  • 排尿日誌
  • 血液・尿検
    ① 血算、一般生化学(Na、K、eGFR、CRPなど)
    ② 尿検:比重、尿沈渣、尿浸透圧
    ③ ADH、血漿浸透圧
    ④ BNP、HbA1c、TSH、T3、T4、TG、LDL、HDL(男性であればPSA)
  • UFM+残尿測定、腹部US

3.治療

  • 原疾患の治療を並行して行う
  • 閉塞性疾患の要因があれば(残尿量が多ければ)α1遮断薬やデュタステリドの投与を検討する
  • 夜間多尿は生活指導(日光浴、適度な運動)、男性であればデスモプレシン、女性であれば利尿剤の投与も検討する
  • 睡眠障害による夜間頻尿は心療内科へコンサルト

排尿障害:間質性膀胱炎・膀胱痛症候群

1.診断・検査

a.
全例に行う検査

① OSSI(O’Leary and Sant’s Symptom Index)、OSPI(Problem Index)、FVC、OABSS、IPSS、VAS、(すでにIC/BPSの治療がされている場合は)GRA、UFM+残尿測定、腹部US、自然尿細胞診、尿定性・沈査、尿培養

② 下部尿路症状の有無を問わず、膀胱(下腹部)・尿道痛がある症例、抗コリン薬・β3作動薬抵抗性の過知覚膀胱症状(頻尿、尿意切迫)を有する症例で、類似症状を呈しうる疾患(消化器・婦人科疾患、膀胱結石、急性細菌性膀胱炎、膀胱癌、BCG膀胱炎、放射線性膀胱炎)が除外可能な症例ではIC/BPSを考慮する *過活動膀胱の併存はあってもよい

b.
IC/BPS疑い症例

① 外来で膀胱鏡を行ってもよいが、ハンナ病変を認めてもハンナ型IC疑いとし、最終診断は麻酔下水圧拡張後に下すこと

② 膀胱鏡でハンナ病変がなく、他の類似疾患の除外がなされている場合であっても、原則として麻酔下水圧拡張後に膀胱痛症候群(BPS)と診断すること

2.治療

a.
初期治療

① 確定診断をかねて水圧拡張を行う(外来での無麻酔水圧は行わないこと):全例入院、麻酔下(脊椎麻酔±閉鎖神経ブロック、または全身麻酔)に行う;方法の詳細は「間質性膀胱炎・膀胱痛症候群診療ガイドライン」に記載されている標準方法に従うこと

② 水圧拡張時の内視鏡所見で最終的な病型分類を行うこと(ハンナ型IC/BPS)

③ ハンナ病変を認めた場合は病変部の経尿道的電気凝固術(TUC)またはTURを同時に行い、確実に病変部を除去する:ハンナ型ICの治療第一選択

④ ハンナ病変を認めなかった場合(=BPSであった場合)は、水圧拡張後の粘膜出血(glomerulations)の有無を手術記録に記載する(手術記載の凡例は「間質性膀胱炎・膀胱痛症候群診療ガイドライン」を参照のこと

b.
二次治療:初期治療以降は、各病型を区別して治療戦略を立案する

① 水圧拡張術後に症状が残存する場合は必要に応じて対症的な内服治療を行う

  • ハンナ型IC:鎮痛剤(カロナール、NSAIDs、トラマール)
  • BPS:IPD、リリカ、サインバルタ、H1/2ブロッカー、トリプタノール、リーゼを適宜組み合わせる

② 初期治療不応例
原則:初期治療を繰り返す
1.ハンナ型IC

1)TUR/Cまたはステロイド内服

  • 明確なエビデンスはないが、初回TUR/C後の再発は再TUR/Cを第一に考慮する(ハンナ病変が残存していることが多いため)
  • TUR/Cをすでに2回以上施行している症例では、ステロイドの導入を行う;用量/用法は経口PSL 7.5mg/day(分3)から開始し、適宜減量していく
  • 理想的には水圧拡張時の膀胱生検病理で慢性炎症所見を確認してからステロイド導入の判断をするのがよい
  • 開始初期に効果が見られなくとも、7.5mg/dayのまま増量せずに継続する
  • ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療ガイドラインに従い、適宜骨折予防のための投薬を行う

2)難治例には膀胱全摘除術を考慮する

  • 適応:萎縮膀胱(麻酔下膀胱容量300mL以下、最大1回排尿量100mL以下)、膀胱尿管逆流、水腎症を認める症例
  • 術前にビデオ尿流動態検査を施行する
  • 膀胱拡大術か、膀胱全摘除術+尿路変更術にするかの明確な規定はないが、残存尿路への再発を考慮して原則的に膀胱尿道全摘除術を勧める

2.BPS

  • 初期治療の投薬を継続する
  • BPSの一部はsomatoform disorder:精神神経的問題や膀胱以外の慢性疼痛があれば、心療内科およびペインクリニックへ紹介・連携する

女性泌尿器科

1.検査

  • 内診により状態を把握する(simplified POP-Q)
  • 術前採血項目:血算、一般生化学(eGFR、CRPなど)、BNP、HbA1c
  • パッドテスト、24時間パッドテスト、UFM+残尿測定、腹部USを行い、腹圧性尿失禁の有無を評価する
  • 大腸癌(便潜血)、膀胱癌のスクリーニングも行っておく(尿検、自然尿細胞診、膀胱US)
  • 外科的治療を検討するときは、骨盤臓器脱を戻した状態での腹圧性尿失禁の有無の確認、骨盤MRIを評価し、女性外科に子宮・卵巣悪性腫瘍のスクリーニングを依頼する
  • 重度の糖尿病、易感染状態(免疫抑制剤の使用など)にある場合は基本的に行わない

2.治療

  • 軽度の場合は、減量や骨盤底筋体操の指導を行う女性外科に依頼して膣内装具の挿入も検討する
  • Stage2以上で患者の希望が強い場合、stage3以上、保存的治療で改善しない場合、希望があれば腹腔鏡下仙骨膣固定術を行う(TVM手術は連携施設で施行可能)
  • 術前に患者に合併症のリスク(出血、創部感染や髄膜炎や腹腔内膿瘍、心血管合併症、肺塞栓症、体位による神経麻痺、再発、骨盤臓器脱を修復したためにかえって尿失禁を生じる、メッシュの露出やmigration、骨盤内の別臓器癌に対して外科的切除が困難になる可能性があることなど)を説明する

小児泌尿器科

1.急性陰嚢症

  • 身体所見およびドップラーエコーにて、精巣捻転症を鑑別する
  • 判断に迷う場合は、積極的に試験切開術を行う
  • 精巣捻転症のGolden timeは6-12時間以内だが、それ以内に整復固定術を行っても、精巣萎縮が起こり得ることを説明する
  • 15才以下は小児外科が担当し、必要に応じて泌尿器科も参加する

2.性分化異常

  • 注意事項
    ① 出産時に性別の判別が困難な場合、性分化疾患対応チームが結成される
    ② 性分化疾患対応チームのカンファレンスに参加し、方針に沿って行動する
    ③ 性別を聞かれても、自分が最も可能性が高いと思う性別を告げてはならない
  • 診断のポイント
    ① 性腺を触知するか:女児の陰核肥大に注意
    ② 陰茎あるいは陰核の状態:矮小陰茎か陰核肥大か
    ③ 尿道口の開口部位:尿道下裂あるいは陰唇癒合がないか
    ④ 陰嚢あるいは陰唇の状態:陰嚢低形成あるいは大陰唇の男性化はないか
    ⑤ 膣の状態:盲端膣、泌尿生殖洞はないか
    ⑥ 色素沈着:副腎過形成を疑う所見はないか

3.二分脊椎症

  • 多職種連携による二分脊椎症診療チーム(Team SB)から患者が紹介されるが、多くは尿路機能評価および尿路管理目的である
  • 基本的には水曜日午後の二分脊椎症外来(泌尿器科)の予約をとり、その際に尿検・尿培養・腹部USをオーダーする
  • 必要な患者にはビデオ尿流動態検査を行い、小児科、小児外科にフィードバックする
  • 二分脊椎症の患者で、尿路機能以外の評価がされていない場合は、二分脊椎外来(小児科)の案内を行い、希望に応じて他科依頼を行う

4.水腎症

  • 診断・評価は腹部US、利尿レノグラフィにて行う
  • 症候性(疼痛や有熱性尿路感染症、腎機能障害・尿路結石)の場合は、腎盂形成術を考慮する
  • 腹部USによる水腎症分類(SFU, The Society for Fetal Urology)
    ・Grade 0: 腎盂拡張なし
    ・Grade 1: 腎盂のみ拡張
    ・Grade 2: 腎盂とmajorな腎杯の拡張
    ・Grade 3: 腎杯とすべての腎杯の拡張
    ・Grade 4: 腎杯の鈍化、腎実質の菲薄化
  • SFU分類 G1-2では、定期的な腹部US、尿検、尿培養、血液生化学検査でフォローする
  • SFU G3-4では、腹部USと利尿レノグラフィを行い、腎機能障害や水腎症の増悪があれば、腎盂形成術を考慮する

5.膀胱尿管逆流

  • 診断・評価は腹部US、排尿時膀胱尿道造影、99mTc-DMSA腎静態シンチグラフィにて行う
  • 併せて、下部尿路障害の評価を行う
  • 膀胱尿管逆流の分類(International Reflux Study Group)
    ・Grade I: 尿管のみ造影
    ・Grade II: 尿管腎盂腎杯が造影、拡張なし
    ・Grade III: 尿管腎盂腎杯拡張あるが尿管の屈曲蛇行なし
    ・Grade IV: 尿管の屈曲蛇行あり、腎杯の鈍化
    ・Grade V: 尿管の高度な屈曲蛇行、腎杯の著明な鈍化
  • Grade I、Grade IIの症例については、有熱性尿路感染症(fUTI)がなければ経過観察を行う
  • fUTI反復例、女児、包茎など感染リスクの高い症例では予防的持続抗菌剤投与(CAP)を行い、それでも反復する(Breakthrough UTI)場合はビデオ尿流動態検査実施の上、手術療法を検討する
  • Breakthrough UTや、99mTc-DMSA腎静態シンチグラフィでの腎瘢痕の進行があれば積極的に手術を検討する
  • 小児症例は小児科/小児外科に対応を依頼する

その他

1.加齢男性性腺機能低下症候群

1-1.診断
1)
性欲減退、勃起能の減退、疲労感、抑うつ、睡眠障害といった訴えや、筋力低下、脂肪増加、体毛変化、骨粗鬆症などが見られた場合にLOH症候群を疑う
2)
診断にはLH、FSH、遊離テストステロンの測定を行う(朝7時から11時までの間に採血されることが望ましい)
3)
加えて、BMI測定、腹囲測定、血圧測定、胸部単純写真、心電図、血算、生化学(肝機能、腎機能、脂質代謝、カルシウム、リン)、尿定性・尿沈渣、HbA1c、PSAは必須である
4)
遊離テストステロンが8.5pg/mL未満であれば、性腺機能低下に対してアンドロゲン補充を検討する
5)
遊離テストステロンが8.5pg/mL以上11.8pg/mL未満であれば、相対的にホルモン補充を検討する
6)
精巣触診、陰嚢USやorchidometerによる精巣容積測定、精索静脈瘤の有無の評価を行う
7)
質問紙としては Aging Males’ Symptoms (AMS) Score、IIEF5を用いる
8)
可能であれば、DEXA法による骨塩定量、体組成計による体脂肪率測定を行う
1-2.治療
1)
前立腺癌患者、PSA 2.0ng/mL以上、中等度以上の前立腺肥大症、乳癌、多血症、重度腎機能障害、重度肝機能障害、重度高血圧症、うっ血性心不全、夜間睡眠時無呼吸症候群、ワーファリンなどの抗凝固薬使用のいずれかの症例にはアンドロゲン補充は行わない
2)
アンドロゲン補充療法の副作用(多血症、肝毒性、睡眠時無呼吸症候群、ざ瘡)があること、心血管系疾患のリスクがcontroversialであること、前立腺癌・前立腺肥大症に関連があることを説明する
3)
エナント酸テストステロン1回125mgを2-3週間毎、あるいは1回250mgを3-4週毎に筋注し、投与後4-7日目頃に遊離テストステロンを測定する
4)
LH-FSHの低下が見られる症例についてはヒト絨毛性性腺刺激ホルモン3,000-5,000単位を週に1-2回、あるいは2週間毎に筋注する
5)
治療効果は3ヶ月毎に評価し、PSAは定期的にフォローする

2.腎盂尿管移行部狭窄症

2-1.診断
  • 造影CTもしくはMRU、腹部US、利尿レノグラフィにて行う
2-2.治療
  • 症状・腎機能障害・結石があれば開放性、腹腔鏡下(ロボット手術含む)腎盂形成術を考慮する
  • 小児例では年齢と狭窄部位などを考慮の上で手術の適応を慎重に判断する

3.尿道狭窄

3-1.非外傷性尿道狭窄
  • 尿道鏡と逆行性尿道造影±排尿時膀胱尿道造影にて診断、狭窄部位・延長の評価を行う
  • 狭窄延長2cm未満の前部尿道狭窄は、初期治療として尿道ブジー、尿道バルーン拡張術、または内視鏡切開を行う
  • 狭窄延長2cm未満での狭窄反復例、2cm以上の狭窄例では、尿道形成術を検討する
3-2.外傷性尿道狭窄
  • 逆行性尿道造影+排尿時膀胱尿道造影、順行性/逆行性尿道鏡にて診断・評価を行う
  • 尿道再建術は骨盤骨折が治癒し、安全に手術体位を取れるようになってから行う

4.尿路感染症

4-1.単純性尿路感染症(基礎疾患のない尿路感染症)
  • 治療に先立ち、原因菌の証明と薬剤感受性を調べるために尿培養を行う
  • 内服薬治療を行う
4-2.複雑性尿路感染症(基礎疾患のある尿路感染症)
  • 治療に先立ち、原因菌の証明と薬剤感受性を調べるために尿培養を行う
  • 基礎疾患の治療と内服薬治療を行う
  • 改善不十分ないし合併症の恐れあれば、点滴治療を行う
  • 常に敗血症の可能性に注意し、必要に応じて画像診断、ステント留置または腎瘻造設を行う
4-3.敗血症
  • 尿培養、血液培養と薬剤感受性試験、画像診断を必ず行う
  • 泌尿器科的ドレナージによる停滞した尿流の解除、適切な全身管理、および適切な抗菌剤を組み合わせる
  • 重症の場合は集中治療室への入室を躊躇しない

このページのトップへ戻る