新人セミナーPart
 核医学検査の実際

          東邦大学附属大橋病院  浜崎千裕

脳シンチグラム&RIアンギオ
�. 放射性医薬品
 1)99mTc-DTPA     2)99mTcO4-(パーテクネテート)
�. 前処置
 1)パーテクネテイト使用の場合には検査1時間前に過塩素酸カリ200~400�Jを経口投与して脈絡叢をブロックする
�. 検査方法
 1)RIを静脈内にボーラス注入し頭部前面像をRIアンギオにてダイナッミク収集する。
 2)early dinamic scan 前面像 後面像 両側面像を撮像する。
 3)2~3時間後に delay scan する。
�. 臨床への適用
 1)脳梗塞の診断と経過観察
 2)脳挫傷の診断
 3)脳動静脈奇形、硬膜下血腫など脳血管障害の診断
 4)脳腫瘍の診断
 5)脳膿瘍、脳炎などの炎症性疾患の診断


脳血流シンチグラム
�. 放射性医薬品
 1)123I-IMP
�. 前処置
 1) ルゴール、又はKL末を検査2日前より経口投与し甲状腺ブロックする。
�. 検査方法
 1)安静閉眼にてI-IMP静注15~30分後より early SPECT収集
 2)場合によって3~4時間後 delay SPECTを 収集する
�. 臨床への適用
 1)脳梗塞(急性期、慢性期)の診断
 2)一過性脳虚血発作(TAI)の診断
 3)脳動脈閉鎖および狭窄の診断
 4)クモ膜下出血の診断
 5)アルツハイマー型痴呆と血管性痴呆との鑑別

脳血流シンチグラム
�. 放射性医薬品
 1)99m Tc - ECD     2)99mTc - HM-PAO
�. 前処置
 1) 特になし
�. 検査方法
 1)Patlak法にて定量評価する場合、右手静脈よりRIをボーラス注入して頭頂部から大動脈弓まで視野に入れてdinamic収集する
 2)安静閉眼にて静注後5~15分より SPECT収集
�. 臨床への適用
 1)脳梗塞(急性期、慢性期)の診断
 2)一過性脳虚血発作(TAI)の診断
 3)脳動脈閉鎖および狭窄の診断
 4)クモ膜下出血の診断
 5)モヤモヤ病の診断


脳腫瘍シンチグラム
�. 放射性医薬品
 1)201Tlcl
�. 前処置
 1) 特になし
�. 検査方法
 1)タリウム静注10分後 early SPECT収集
 2)2~3時間後 delay SPECT 収集
�. 臨床への適用
 1)脳腫瘍の治療効果と経過観察
 2)良性と悪性腫瘍の鑑別
 3)放射線治療後の放射線壊死と残存・再発との鑑別


唾液腺シンチグラム
�. 放射性医薬品
 1 )99mTcO4-
�. 前処置
 1) 特になし
�. 検査方法
 1)静注直後より30分DINAMIC収集する。25分目にシナール錠を口に含ませ刺激する。
 2)データ収集後動態曲線を書かせる。
�. 臨床への適用
 1)シェーグレン症候群の診断
 2)ワルテイン腫瘍の診断
 3)唾液腺腫瘍、脳瘍、欠損
 4)放射線治療による炎症


甲状腺シンチグラム
�. 放射性医薬品
 1 )99mTcO4-    2)201Tlcl    3)123I-Cap
�. 前処置
 1) Tc.Tlclは特になし。
 2)I-capを使用するときには,1~2週間ヨード制限する。
�. 検査方法
 1)Tc.Tlclは静注10分後より撮像する。
 2)ヨードカプセルは経口投与する前、3時間後、24時間後撮像して摂取率を測定する。


腎シンチグラム
�. 放射性医薬品
 1 )99mTc-DMSA
�. 前処置
 1) 特になし
�. 検査方法
 1)静注後2~3時間後に背面像、両斜位背面像を収集する。
�. 臨床への適用
 1)腎奇形、腎腫瘍、腎膿砲、急性腎梗塞などの評価。


レノグラム
�. 放射性医薬品
 1 )99mTc-DTPA 2)99mTc-MAGシンチ
�. 前処置
 1) 検査30分前に排尿後、200~300�Nのの水負荷を行う。
�. 検査方法
 1)静注直後より背面から20分dynamic収集する。
 2)左右腎にROIをとりTACを作成
 3)DTPAはGFR(腎糸球体濾過率)MAG はRPF(腎血漿流量)を測定する。


心筋シンチグラム
�. 放射性医薬品
 1)Tlcl (血流製材)
 2)Tc-MIBI(血流製材)
 3)Tc-Tetrfosmin(血流製材)
 4) I-MIBG(交感神経機能)
 5)I-BMIPP(脂肪酸代謝)
 6)Tc-PYP(心筋梗塞)
�. 前処置
 1) 絶食が好ましい
�. 検査方法
 1)Tlcl安静は静注10分後より、負荷は5分後と3~4時間後に撮像  
 2)MIBI.Tetrfosminは30分後より撮像可
 3)MIBGは15~30分後と3~4時間後に撮像
 4)BMIPPは20~60分後より撮像
 5)PYPは静注後2~3時間後に撮像
�. 臨床への適用
 1)心筋梗塞の診断
 2)虚血性病変部位の鑑別
 3)PTCAなど治療効果の判定
 4)心機能障害の程度、心筋Viabilityの把握
 5)交換神経機能、脂肪酸代謝の評価


肺換気シンチグラム
�. 放射性医薬品
 1)133Xeガス  2)81mKrガス  3)99mTcガス
�. 前処置
 1) 特になし。
�. 検査方法
 1)1回吸入像/1回の最大吸気後15秒間のち呼吸停止時肺胞内分布像
 2)平衡像/閉鎖回路にて5分間収集
 3)洗いだし像/閉鎖回路を開いて2~3分収集
 4)換気、血流比像/MAAを静注して血流像を撮像、換気血流比を出す。


肺血流シンチグラム
�. 放射性医薬品
 1)99mTcーMAA
�. 前処置
 1) 特になし。
�. 検査方法
 1)静注2~3分後より撮像する。
�. 臨床への適用
 1)肺梗塞の早期診断や治療効果の判定
 2)左右短絡の診断(肺循環を行わず直接大循環系に 入り脳、肝、腎へ分布する。
 3)肺高血圧性の診断


肝・脾シンチグラム
�. 放射性医薬品
 1)99mTc-フチン酸
�. 前処置
 1)特になし。
�. 検査方法
 1)静注後15~20分より正面、右斜位45度、右側面、後面像を撮像する。
�. 臨床への適用
 1)原発性肝細胞癌の診断
 2)上腹部腫瘤の鑑別診断


肝・胆道シンチグラム
�. 放射性医薬品
 1)99mTc-PMT
�. 前処置
 1)食止め。
�. 検査方法
 1)静注直後より1時間dynamic収集する。
 2)胆嚢、総胆管、肝臓にROIをとりTACを作成する。
�. 臨床への適用
 1)胆汁排出機能の診断


骨シンチグラム
�. 放射性医薬品
 1)99mTcークリアボーン 2) 99mTcーMDP
�. 前処置
 1)検査前に排尿させる。
�. 検査方法
 1)静注2~4時間後より撮像する。
�. 臨床への適用
 1)原発性骨腫瘍、転移性骨腫瘍の診断
 2)骨折の診断
 3)関節炎の診断


腫瘍シンチグラム
�. 放射性医薬品
 1)67Ga-citrate 2) 201Tlcl
�. 前処置
 1) 検査当日に浣腸  Tlclは特になし。
�. 検査方法
 1)ガリウムは静注48~72時間後より撮像する。
 2)タリウムは静注10分後と2~3時間後に撮像。
�. 臨床への適用
 1)原発性肝癌、悪性リンパ腫、悪性黒色腫
 2)甲状腺未分化癌、上顎癌
 3)良性腫瘍の診断、肺炎、膿瘍、サイコイドーシス
 4)不明熱


消化管出血巣シンチグラム
�. 放射性医薬品
 1)99mTc-プールシンチ  2) 99mTc-RBC
�. 前処置
 1)特になし。
�. 検査方法
 1)静注後、30分・2時間・6時間・24時間後を経時的に撮像する。
�. 臨床への適用
 1)消化管出血の腱索
 2)蛋白漏出性胃腸症の診断


メッケル憩室
�. 放射性医薬品
 1 ) 99mTcO4-
�. 前処置
 1)空腹時に行う。
�. 検査方法
  1)静注後、15・30・45・60分後を経時的に撮像する。
�. 臨床への適用
 1)メッケル憩室の診断
 2)異所性胃粘膜の鑑別


リンパ管シンチグラム
�. 放射性医薬品
 1) 99mTc-HSA    99mTc-MDP
�. 前処置
 1)特に無し
�. 検査方法
 1)皮下注射直後から30分dynamic収集し1時間後に撮像
�. 臨床への適用
 1)悪性腫瘍の悪性リンパ説への転移の状態
 2)リンパ浮腫の診断
 3)静脈の閉塞性疾患とリンパ浮腫の鑑別


放射性廃棄物について
 日本アイソトープ協会 萩田忠美氏
・廃棄物とは
占有者自らが利用し、また他人に有償で売却や再利用ができないために不要となったもの
・廃棄物に関係する主な法律と廃棄物
  廃棄物処理法   :一般廃棄物、産業廃棄物など
  海洋汚染防止法  :船舶からの廃棄物など
  鉱山法      :鉱搾、鉱山からのばい煙など
  下水道法     :下水
  水質汚染防止法  :河川などへの排水
  大気汚染防止法  :ばい煙、粉じん、排ガスなど
  原子炉規制法   :放射性廃棄物
  放射線障害防止法 :放射性廃棄物
  医療法      :放射性廃棄物
  薬事法      :放射性廃棄物
  臨床検査技師法  :放射性廃棄物
・放射性廃棄物
 1.核原料、核燃料および原子炉など規制に関する法律
    核燃料物質または核燃料物質に汚染されたもの
    原子炉廃棄物
    再処理廃棄物
 2.放射性同位元素等による放射線障害に関する法律
    放射性同位元素または放射性同位元素によって汚染されたもの
 3.医療法
 4.薬事法:RI製造業者から規制する
 5.臨床検査技師、衛生検査技師などに関する
 * 診療放射線技師は3.5.に関わり仕事をしている
・アイソトープ協会への引き渡し
  事業者の登録       ---RIの使用を開始する前
     �
  容器の貸与申込      ---RIの使用を開始する前、容器が必要な都度
     �
  RI廃棄物の集荷申込   ---RI廃棄物の引き渡しを希望する都度
     �
  RI産業廃棄物の引き渡し ---集荷の立会い、必要書類の確認

 アイソトープ廃棄業を許可され行っているのはアイソトープ協会のみである
 2600の事業所と契約をしており、年間に計画的に集荷している
 昨今廃棄物の取り締まりが厳しくなっている
 放射性廃棄物も放射性物質として取り扱わねばならない
・放射性廃棄物の分類
  分類      容量    放射能制限値 線量当量率制限値
 可燃物      50L    3H、14C、125I、131I≦40MBq
                その他の核種(α核種を含まないもの)≦400MBq
                5μSv/h以下(容器表面の線量当量率)
 難燃物      50L       同上
 不燃物      50L       同上
 非圧縮性不燃物  50L       同上
 動物       50L       同上
 無機液体     25L    3H、14C、125I、131I≦2kBq
                その他の核種(α核種を含まないもの)≦20kBq
                5μSv/h以下(容器表面の線量当量率)
 焼却型フィルター 50L    3H、14C、125I、131I≦40MBq
                その他の核種(α核種を含まないもの)≦400MBq
                5μSv/h以下(梱包表面の線量当量率)
 通常型フィルター 50L       同上
 通常型チャコールフィルター 50L       同上
 *動物は主に研究施設より廃棄される
 *無機液体は25Lのポリタンクを用いそれをドラム缶に入れて保管する
・年間集荷予定
 集荷地区・期間を年間を通して計画的に決めている
 関東は年間を通して集荷の受け付けをしている。それ以外の地区はその都度連絡を受け対応をしているがトラックなどの運搬費がかさみ廃棄依頼者の負担となるのでできるだけ集荷予定期間に廃棄した方がよい

・協会に廃棄を委託できないもの
 1.核燃料物質、核原料物質 ---障害防止法からはずれるため
 2.85Kr、3Hガスなどの気体状のもの ---取り扱いが難しいため
 3.揮発油、アルコール、二硫化炭素等の可燃性液体
 4.トルエン、ジオキサン等の有機溶媒
 5.人体からの排泄物、血液、血性および病原体の付着したもの
 6.毒劇物、爆発物および自然発火する恐れのあるもの
 7.腐敗するもの、または多量の気体を発生するもの
 8.破砕、焼却等の減容処理を行ったもの
 9.その他の法律により禁止されているもの
 * 施設が整備された折には4.5.の処理をしていきたい


・焼却処理装置
  医療系の廃棄物は岩手県の滝沢村に設置している
  焼却装置、圧縮装置、濃縮装置の3つの施設を持つ
 1.焼却装置 焼却炉で焼却し排ガスはフィルターで浄化する。
        処理は放射能測定をしながら行う
    燃焼(600~900度) 
      � 発生したガスをセラミックフィルター(500~600度)
        � 空気を混合して高性能フィルター(200度) 
 医療系廃棄物は分別(特に塩素系)がきちんとされており、ダイオキシンの発生は0.4ng/m3と非常に少なくなっている。りんやアルミはセラミックフィルターの表面に蒸着し水飴状になりフィルターの目詰まりとなってしまう、鉛はセラミックフィルターを通過し、高性能フィルター上に金属となって固まってしまうので分別には特に注意してもらいたい。
 2.圧縮装置 不燃物(ガラス、シャーレ、注射針など)
   第1軸シリンダー(50t圧)、第2軸シリンダー(50t圧)、
   第3軸シリンダー(250t圧)でプレスし、圧縮して減容する 
 3.濃縮装置 現在は洗濯廃水を主に処理している
   加熱してボイラーで濃縮し、その後、乾燥して粉体、固体にする。ガスは回収してコンデンサーで冷却して水に溶かし放射能測定をして基準値以下の場合は排水する。
   *かなり気をつけながら処理をしているが一部の方から批判を受けている

・集荷廃棄物本数
 産業廃棄物(40000万t) 一般家庭廃棄物(5000万t) 合計45000万t
 放射性廃棄物 2000~3000t 
医療廃棄物は数年200Lドラム缶8000本/年(50Lドラム缶32000本/年)で推移しており、協会の施設は医療廃棄物のみを処理する場合、今後10~20年の保管能力を有しているが、研究RI廃棄物が9000本/年(一部2500本/年を日本原子力研究所で処理をしてもらっている。残りの6500本を協会が処理をしている)あり、平成12年には貯蔵が一杯になると予測されている。現在、医療用廃棄物をメインとした候補地(千葉、東北で)を探しているが、放射性廃棄物ということで理解がなかなか得られなく土地の所有にいたっていない。

・平成8年度RI廃棄物事業所数
  総数   1350
  医療機関 675
  教育機関 245
  研究機関 356
  民間機関 68
  その他  6

Q 針などの専用容器は?
A ポリスチレンの専用容器はあるが、普通の缶に入れてくれればよい
(文責 上原 晋)



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