●理事長挨拶  
 
   口唇裂・口蓋裂の発生頻度についてはいろいろ議論はあるもののわが国では心臓先天異常に次いで高く、さらに外表に現れる先天異常としては最も多く、おおよそ500人に一人と考えられています。我が国の人口が1億2500万人とすると単純計算で約25万人近い患者数となります。日本口蓋裂学会は口唇裂・口蓋裂の治療・予防に係わる者の資質の向上,医療の進歩発展,教育並びに研究の促進を図り, もって国民医療の向上に資することを目的とし,事業を行っております。本疾患は新生児の吸啜・哺乳障害に始まり審美・言語・咀嚼障害・中耳炎等‥治療対象の分野は診療科の領域を超えて広い範囲に及びます。本疾患にかかわる学際的高めを目指すため、音声言語・矯正歯科・形成外科・口腔外科・歯科補綴・耳鼻咽喉科・小児歯科(五十音順)などのほか、看護を含めた多診療科・多職種合同の活動を行っています。本年度から各分野での専門家養成という意味で認定師制度を開始いたします。
 本学会の歴史を振り返ると、昭和37年の口蓋裂治療談話会にはじまり、昭和45年口蓋裂研究会 昭和51年日本口蓋裂学会と徐々に発展し、現在では会員3200名を超える医療者の学会となっています。まもなく60年を迎える本学会の歴史とともに我が国の口蓋裂治療における医学的・社会的意義と責任は重大となっています。認定師という専門家養成は本会の重要な仕事と考えております。手術・歯列矯正・言語治療・歯科治療等、本疾患がかかわる出生直後から成人に至る長期の治療をより患者・家族の望まれる方向に進むよう努力してまいります。
 最後になりましたが学会の発展のためには国際的な交流などの活動も重要です。2025年に国際口蓋裂学会を招致いたします。招致出来ましたのは我が国の口唇裂・口蓋裂治療が高く評価された結果であります。会を成功に導き、本学会がさらに発展できますようご支援をお願いしたく存じます。
令和元年6月
 
 
  一般社団法人 日本口蓋裂学会 理事長
大阪大学大学院歯学研究科口腔外科学第一教室・教授
古郷 幹彦