ヤマカガシ咬傷によるDIC?
→マムシ咬傷による著明な血小板減少
北九州総合病院 救命救急センター です。
ヘビ咬傷の症例に関して、このホームページを立ち上げて、ご意見をいただいた皆さまに感謝いたします。
このヘビの正体はマムシであることが判明いたしました。
日本蛇族学術研究所 所長 鳥羽通久氏より、この写真を見て間違いなくマムシという意見をいただき、北九州自然史博物館の方に現物を見ていただき4/14、14時頃、マムシであるということを最終確認いたしました。
今までの経過と状況について報告させていただきます。
ヘビの写真1
ヘビの写真2
臨床経過
58歳女性。4/13、20:30頃、自宅の台所の勝手口でヘビに咬まれる。2ヶ所の内科医院を受診後、21:30頃、八屋第一診療所受診。局所処置、まむし抗毒素血清3000単位を筋注されるが、採血部の出血、吐血、眼瞼結膜の点状出血など出血傾向が認められるために、22:53当院へ転院となる。
搬入時、意識レベルは清明、血圧110/60、心拍数105、呼吸正常。局所の切開部や、消化管からの出血が続いており、緊急検査で血小板が1000と著明に低下していました。
局所の写真
| 搬入時の検査結果 |
23:13 |
| WBC |
15100 |
| RBC |
324万 |
| Hb |
10.1 |
| Ht |
30.7 |
| Plt |
1000 |
DICに対する治療を開始、血液、血小板を準備。臨床症状から、ヤマカガシ咬傷が強く疑われたため、中毒情報センターにコンサルト、日本蛇族学術研究所の連絡先を教えていただく。電話で問い合わせたところ、ヤマカガシ咬傷も否定できないと言うことで、ヤマカガシ抗毒素血清の輸送を考える。
自衛隊築城基地に連絡、群馬県の日本蛇族学術研究所、桐生市消防局、群馬県警、埼玉県入間基地と連絡を取り。搬送を決定、4/14、8:30当院へ到着。
4/14、9:00ヘビの同定をするために、ホームページを立ち上げる。
日本蛇族学術研究所より、マムシが疑わしいという連絡をうけ、マムシ抗毒素血清3000単位の追加投与(静注)を開始。症状が激烈なため、ヤマカガシ咬傷も否定できないため、家族の了承を得て、ヤマカガシ抗毒素血清の投与も行う。
その後、凝固系の検査結果が到着。
| PT |
83% |
| APTT |
24.4sec |
| トロンボテスト |
83% |
| ヘパプラスチン |
92% |
| Fib |
176 |
| FDP |
10.4 |
| AT-III |
95 |
と、血小板減少以外の異常がないことが判明。DICは否定的となる。
輸血、血小板輸血も行ったが、その後は、血小板も増加傾向です。
| 最新の検査結果 |
14:55 |
| WBC |
17500 |
| RBC |
297万 |
| Hb |
8.8 |
| Ht |
26.1 |
| Plt |
201000 |
現在、肉眼的血尿等続いていますが、その他、急性腎不全などの合併症に注意すれば、充分救命可能と考えています。
ご協力いただきました皆さまに感謝いたします。
参考文献:受傷後早期にショック・出血傾向・大量吐血を呈したマムシ咬傷の1例
日本救急医学会雑誌、6:362-365、1995
(非常に良く似た症例です)
ご意見などありましたら、nishioka-ind@umin.ac.jpまでお願いします。
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