余計なお世話

FDA、医療従事者、製薬企業ともに情けない話だ。だって、麻薬取引の告発なんかじゃなくて、「広告」だろ。それも、羽布団の訪問販売じゃない。逃げも隠れもできない製薬企業が、どこでどう批判されるかわからないことを覚悟の上で流しているものだから、それでボトムラインは確保されているわけで、後はサービスプロバイダと消費者との間で、商品の質を踏まえて、「広告」の批判的吟味が行われるのが、広告改善の王道で、そうやって初めて、医療従事者、一般市民のリテラシーが高まっていく。さらに、は言語化された媒体だけが「広告」ではない。むしろ、個々のMRの営業姿勢など、「大切な広告ほど目に見えない」。そんなものを規制当局が適切に吟味できるはずがない。規制当局には、本来業務である商品そのものの質の検討に持てる資源を集中すべきであって、広告の吟味に人と金と時間を投入するぐらいの余裕はないはずだ。FDAでは人も予算も時間も余っているのだろう。羨ましい限りだ。所詮はこれも公共事業なんだが。

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米FDA  医師らに悪質広告の通報求める( 日刊薬業 2010年5月12日 )

 米FDA(食品医薬品局)は現地時間の11日、誇張や誤解などを与える恐れのある医療用医薬品の広告やプロモーションについて、主に医師を中心とする医療従事者が通報する「悪質広告プログラム」(Bad Ad Program)を立ち上げたと発表した。
 同プログラムは、医療薬の有効性や副作用に関して誇張や誤解を与えるほか、オフラベル(承認外)使用に関する情報などについて、主に医療従事者がFDAへ直接通報する仕組み。電話やファクス、電子メールなどを通じて、医療従事者以外も含めて誰でも匿名で通報することが可能。通報内容は、FDAの医薬品マーケティング・広告・コミュニケーション部門(DDMAC)が検証し、必要と判断した場合には、強制的な措置や監視活動を行う。
 FDAは、従来の医療薬のプロモーションに関する監視は、主に製薬企業が提出する資料などに依存しているとした上で、「プライベートに行われるプロモーション活動を監視する能力は限られている」と監視能力の限界を指摘している。
 一方、米国研究製薬工業協会(PhRMA)は、「本日のFDAによる発表は、医療薬の広告とプロモーションに関して、医療従事者の教育を支援し、彼らからのフィードバックを受け取るためのステップと認識している」とする声明を同日付で発表し、同プログラムを支持する姿勢を示した。
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