潮田道夫氏の論説

下記は2004年8月13日毎日新聞 に掲載された論説である

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医療と市場主義 潮田道夫(論説室)

 アメリカの民主党はおせっかい集団だから好みでない。しかし、クリントン前大統領の夫人であるヒラリー上院議員は素晴らしい。テキパキとして歯切れがいい。次の大統領選にはぜひ、出てもらいたいものだ。それはともかく、クリントン政権はその初期に、国民皆保険制度の導入をぶちあげ、彼女を軸に案をまとめた。ところがそれを、アメリカ人は拒否してしまった。

国家が介入するとろくなことがない。それが理由だ。では、現状でうまくいっているのか。そんなことはない。金持ちは世界一の医療を享受しているが、貧乏人は置き去りだ。民間の医療保険を買うシステムだから、7人に1人が保険料を払えずに無保険のままである。それが最大の問題だ。国家介入を嫌って医療を市場メカニズムにまかせたのはいいが、「神の手」は働いてくれないのだ。

 日本でも医療制度改革の議論が始まった。争点のひとつが保険診療と自由診療の組み合わせ、つまり混合診療の解禁だ。現在は保険外の薬を少しでも使うと、診療全体が自己負担になる。解禁派は、医療の財政負担を減らしながら、患者の選択も広がるいいことずくめの改革だ、という。しかし、米国のように貧乏人は高度医療を受けられない世の中になるのではないか、という懸念もある。

 厚生労働省や医師会は反対だ。反対論にも聞くべき点があるように思われるが、彼らが言うとまゆにツバしたくなる。過去の振る舞いを見れば国民の味方かどうか疑問だからだ。医療改革と同時に、これも何とかしてもらいたい。
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日本医師会の人々は,こういう論説を読んで,何を考えるのだろうか.ただ,”だからマスコミは馬鹿なんだ”と,反感を抱くだけでは,この先も,100年たっても,一般市民の支持は得られないだろう.

これがまともな一般市民の気持ちなのだ.こういう人々を味方につけなければ,一体誰が味方になってくれるというのか.ではどうすればいいのかって?それを私に聞かなきゃわからないようじゃ,まだまだ,メディカル二条河原の読み込みが足りないようだね.

彼らは迷っている.情報が錯綜して判断をつけかねている.非難しないで,そこを助けてあげるのが,専門家の役目じゃないのかね.

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