大国の病

It is hard to understand how such a scandalous situation can be tolerated in a country of such great wealth and resources.
(Where health care is not a right. Lancet 2002;359:1871)

このスキャンダルとはどんなスキャンダルだと思うか.このcountryとはどこの国だと思うか.言っておくが日本ではない.日本は国民皆保険だからだ.

このスキャンダルとは,国民の7人に一人は,まともな医療さえ受けられない状態で放置されていることを意味している.その国はアメリカ合衆国である.

無知な米国崇拝者は知るまいが,何も機密扱いの数字ではない.世界の常識である.合衆国では4000万人もの人々が健康保険なしで放置されているのだ.無保険者の8割以上ははれっきとした市民権を持った人々だ.不法移民などではない.無保険者の人たちには,保険に加入するお金がないから,当然医療機関を受診するお金もない.ゆえに当然ながら治せる病気も治せずに死んでいく.しかし,為政者は攻撃されない.

よその国にバカ高い爆弾を落として人殺しをする金はあっても,国民に十分な医療サービスを提供する金はない,そう開き直っても,為政者は攻撃されないどころか称えられる国である.なぜだろうか.全くわからないし,そんなこと,わかりたいとも思わない.上記のランセットのEditorialもIt is hard to understandと言っている.

合衆国で行なわれている臨床医学の成果とは何だろうか?無保険者を治験にリクルートした結果,言い換えれば鉄条網のないアウシュビッツから派生した成果ではないのか?このような状況で平気で医者をしていられる神経というのは,どんなもんだろうか.世界に誇るアメリカ臨床医学だって??下半身裸なのを忘れて,高価な上着を見せびらかしているようである.

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