これぞChoosing Wisely
ランダム化試験が不可能という現実的な研究の限界を踏まえると、これが我々が手にできる中で最強のエビデンスである。コロナ禍という未曾有の困難の中でも患者は冷静に適切な選択できた
健保連がそう主張したら、あなたはどう反論するだろうか?(中医協で)日医はどう反論(できればの話だが)するだろうか? そして、(日医はともかく)あなたは、より内的妥当性の高い研究をどうデザインするだろうか?これだけ面白い問題提起に対して、もし魅力的な対案を出せないのなら、臨床研究なんて諦めた方がいい。なお、この健保連による調査が査読誌に投稿された場合には、査読者として必ず指摘しなければならない重大な問題点、つまり論文の手直しやデータの追加などでは補えないflaw/limitationsは以下の2点である。
●patient reported outcomeであること
●支払基金側という利益相反が内包されていること

また、 健保連の調査は患者側からの受診抑制という介入のアウトカム評価だが、伝統的に関心を引く論題である、医師のストライキのアウトカム評価については、以下のページを参考にされたい。
英NHS勤務医,政府との交渉決裂で初のストライキへ (Medical Tribune 2016.01.07)
医者のストライキのアウトカム研究
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コロナ禍の受診控え、持病あっても「体調悪化せず」7割 朝日新聞 2020年11月6日
https://www.asahi.com/articles/ASNC56CRPNC5UTFL002.html
 新型コロナウイルスの感染が拡大していた今年4〜5月に、持病があって通院を控えた人の7割が「体調が悪くなったとは感じない」と考えていることが、健康保険組合連合会(健保連)のアンケート結果から明らかになった。感染をおそれた「受診控え」によって、体調が悪化する人が増えることが懸念されていたが、体調悪化を感じたとの回答は1割ほどだった。
 健保連は、大企業などがつくる健康保険組合の全国組織。全国の20〜70代の男女を対象にオンラインで調査した。高血圧症や脂質異常症といった持病がある3500人のうち、865人(24・7%)が通院の頻度を少なくしたり、取りやめたりして受診を抑制していた。
 ただ、受診抑制をした持病のある人の69・4%は「体調が悪くなったとは感じない」と回答。10・7%は「体調が少し悪くなったと感じる」、1・5%は「体調がとても悪くなったと感じる」と答えた一方、「体調が回復した」とする人も7・3%いた。
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