歌って踊って

今日は重症心身障害者病棟のクリスマス会だった.例年通りサンタ役を演じた上に,今年は,サンタの衣装のまま,余興番組,懐かしいピンクレディの”UFO”を,セーラー服コスプレの看護師たちと一緒に歌って踊って改めて感じたのは,仕事でもボランティアでも,まず自分が楽しくないと続けられないし,相手を幸せにすることもできないということだ.

普段は,病歴を聴き,診察し,診断を考え,文献を検索し,問題点を議論し,処方を検討し,診療録に記入する.そういう地道な積み重ねが,患者さんの幸せにつながると信じて,仕事をしている.もちろんそれは正しい道で,これまでその道を歩んできて,裏切られたことは一度もない.私はこの道は自分に似合っていると思っているし,実際に好きだ.

でも,今日,いささか齢が不適切な女子高生に混じって,サンタのコスプレでピンクレディを歌って,踊って,感じたのは,サービス業は,まず自分が楽しくないとできないし,やってはいけないということだ.

今日は,予定外だったが,なんだか面白そうだと思って踊りの輪に入って,歌いながら自分の体を動かして,患者さんや家族が,げたげた笑うのを見て,心底楽しいと感じた.もちろん相手が喜んでくれるから自分も楽しくなるわけだが,少なくとも私にとっては,報酬としては,相手が楽しいことより,まず,自分が楽しい方が大切である.他人が儲かっても楽しくないが,自分の懐にお金が入れば嬉しいとの同じだ.

仕事であろうとボランティアであろうと,福祉活動は,まず,自分が楽しくなければ続かない.何しろ人間同士の接触が基本の仕事である.相手のために尽くすのだから,嫌なことも我慢しなければならないなんて,もしあなたが思っているとしたら,相手もすぐにそれを察するだろう.そんな関係から喜びが生まれるわけがない.

今年は振り付けの練習をさぼってしまったが,来年は本番に備えて,練習を怠らないようにしよう.今年はナツメロだったから飛び入りできたが,来年もそうとは限らないから.

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