サウサンプトンでの華麗な生活

イングランドはサウサンプトンにお住まいのMさんから,典型的な英国生活のお便りを頂いたので紹介する.

8 June 2001

さて、銀行の件ですがその後四苦八苦しています。無事口座を開設し、その後小切手帳、振り込み帳は無事届いたのですが、肝心のカードで手こずっています。一度送られたようなのですが、寮におらず(平日の昼間ですので当たり前ですが)受け取れず、電話をしてもう一度送ってもらうことに。でも、officeに送ってくれと言ってもセキュリティー上それはできないと言う。そして2回目の受け取りも時間が合わず失敗。しょうがないので支店に取りに行くからそこに廻してくれと言い、やっと無事回収。ここまでで1ヶ月。ところが、そのカードをいざ使おうとしたら、PIN numberが合わずいきなりATMでお預かり。2回目の配送までは、受け取りに先立ち PIN numberの通知がその都度来ていたのですが、3度目はなし。これがいけなかったようで、2回目の PIN numberで通用すると思って入力したらこの始末です。まったく、この国の仕事は何かにつけて中途半端ですね。構想はしっかりしているのですがそれ自体練るのにものすごく時間をかけ、実行するのは更に時間がかかるし不正確。おかげで更に1週間待ちとなりました。家探しも、看板や広告は決まってもいつまでも出しっぱなしだから、これ良さそう、と思って電話すると、数週間前に決まったとかもうないって言われます。lettinglistなんて全然あてになりません。なんだか不思議な国に来てしまいまいした。楽しくて楽しくて...(ーー#

池田からの返事
典型的英国生活を楽しんでいらっしゃるようで.”おまえら,誰のおかげで飯が食えると思ってるんだ!!”って怒鳴りたくなる毎日ですね.宅急便の時間指定配達なんて,別の惑星の出来事のようでしょう.トップが凡庸でも平社員一人一人が優秀だからはじめてできるシステムなんです.やっぱり日本という国は恐ろしい国です.裏を返せば全体主義.自分一人がせかせかしたって,システムがうまく働くわけじゃなし,とんでもないヘマさえしなけりゃ,給料が下がるわけでもなし.適当に働いて,仕事が終わったらパブで一杯ひっかけて,テレビでフットボール見て,夏の休暇にディスカウントツアーでテネリフェあたりに行って楽しく過ごせりゃ最高じゃん.そんな人が現場の最前線にいれば,当然システムは働きません.

お返事:
まったくこれぞ醍醐味というのでしょうか。話せばネタは尽きませんよ。バスや電車などの基本的なシステムを見てもそうですが、何か’機能すればいい’とか、’大問題ではない’というのがこの国の判断基準のようですね。

バスは時間どおりにこないのが当たり前。時刻表すらないバス停が多いのですから、時間を気にするのはやめました。たまに運転手が道を間違えてバス停をskipすることもあるようですので(当然戻りません)、1時間こなくてもイライラしちゃいけません。>自分

この病院はエレベーターがたくさんあるのですが、これは、どれかが壊れていても不自由しないようにですね、絶対。だって必ずどこかのエレベーターが壊れていますから。一度、動くのだけど電気がつかず真っ暗というのがありました。怖かった。研究室の機材も、企業にいたころは年度末に予算調整とかで新しい機械をぽんぽん買ったりしていたのですが、ここの研究室は動くのだから問題ないと20年くらい前のものじゃないかというような恒温槽等が油ぎれでものすごい音を立てて現役です。遠心機は10回中7回はimbalanceで回りません。一発で動くと今日はなにかいいことあるかもとウキウキしてきます。当然ながらふたもきちんと閉まらず、どうしてもロックがかからないときは危ないから上に重石を乗せています。日本人はその方が危ないと思うのですが、いまは気にしなくなりました。いいんです、回れば。

外に目を向ければ、この敷地に寮がたくさんあるのですが(9階建て)、どれも外側に足場(良く建築現場で見るような)が組んであります。少なくとも一年以上前からその状態とのことなのですが、最近やっとなんのためか判明しました。窓拭きをするそうです。1年前から足場を組んでいるのですから、”窓拭きをするから窓を閉めて出かけるように”という告知がでてから10日間なんの動きがなくても、気にしない気にしない。この国に2年住んでadaptしてしまったら、日本で生きていけるか心配です。確実なのは、宅急便の時間指定は’便利’でも’必要ない’と思うでしょうね。

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