情 けない選択、面白いゲーム

医学部5年生の悩みを受けて

> 私自身は、あまりどこかに定住するのではなく、一種旅人のようでありたいと思うのと同時にどこに自分の足場を築くかを日々悩んでいる

たとえば、総合診療が専門診療か 若い人がこういうハムレット型の悩みを口にすると、多くの年寄りは、そんなことで悩む必要は全くないとシニカルに笑うば かりです。これはどうしてだと思いますか?年寄りも、おそらく若い時は同様に悩んだはずなのに、それを忘れてしまったからでしょうか?確かにそういう例も 多いでしょうが、一方で、悩んでも無駄だということがわかったからでもあるのです。

自分の将来について悩めるのは、同じように魅力的な選択肢が複数あって、自分の意志でそれを決めなければならない時です。しかし、実際には、そんな贅沢な 状況に自分が置かれたことはほとんどなかった、せいぜい、あそこだけには勤めたくないから、どうやって逃れられるかという算段に苦しんだだけ、という経験 論と、未来のことがコントロール可能と考えられる若さへの嫉妬から、シニカルな笑いが発生します。

私がこれまで転々としてきたいずれの職場も、その選択の理由が、恩師への義理を果たすため仕方なくとか、タコ部屋労働からの逃亡先はそこしかなかったと か、中高年の再就職が難しくて雇ってくれるところがそこしかなかったとか いずれも情けないものばかりです。

大切なのは、場所はそこしかなかったという状況で、どうやって仕事のネタを見つけ、その仕事で自分が評価され、自分も周囲の人も、よりハッピーになれるか を考え、試行することを、面白いゲームと考えられるどうかでしょう。

二条河原へ戻る