業平に及ばず

月やあらぬ春や昔の春ならぬ. わが身ひとつはもとの身にして

この時は,我が身は変わっていないことを嘆いている.つまり我が身もまた滅び行く身であることに気づいていない.

ついに行く道とはかねて聞きしかど昨日今日とは思はざりしを

ようやく死ぬ間際になって,ここに気づく.死が日常的だった時代でさえこうなのだから,ましてやお医者さん達が不老不死を請け負うような風潮の時代に,一休禅師と同様に,「死にとうない」と言ったところで,誰もあなたを責めやしない.

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