医療崩壊の悪夢よもう一度?
ー医者を刑務所に送る意義を考える


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「医療行為と刑事責任」、17年度に研究へ  厚労省が10日に準備会 Medifax digest 2017/3/10

 厚生労働省が、「医療行為と刑事責任」の関係について医療や司法の専門家で論点を整理する場を2017年度中に設置するため、学識経験者で構成する「準備会」を10日に開き、過去の議論や判例の収集に着手することが分かった。準備会は厚生労働科学研究として3月中に1〜2回開催。集めた資料をベースに、医療事故における過失とは、落ち度とは、不注意とは何かといった本質的な課題を17年度以降に議論する構えだ。
 14年に公布された医療介護総合確保推進法の付則では、医療事故調査制度について、必要な見直しを含めた検討をすることが盛り込まれていた。これを踏ま え自民党は15年5月「医療事故調査制度の見直し等に関するワーキングチーム(WT、後藤茂之座長)」を設置。WTは昨年6月9日に一定の取りまとめをし た。取りまとめでは、医療事故調査制度の見直しに関し「医師法第21条の見直し、医療行為と刑事責任との関係等について一体として検討を進め、成案を得るべき」という意見が出たことが書き込まれ、医療行為と刑事責任の関係について、根本論の取り扱いを含め議論することが盛り込まれた。
 これを受け厚労省は17年度、医療行為と刑事責任の関係を学術的な観点で研究する場を設ける。異状死体の届け出義務に関する医師法21条ではなく、刑法の本質的な議論を行う。具体的には、どのような医療事故が刑法第211条の業務上過失致死罪に当たるのかといった点が、中心的な論点になりそうだ。ただ、医療事故にはさまざまな類型があるため「こうしたケースは業務上過失致死罪」といった明確な基準を出すのは難しく、どのようなまとめ方になるかは未定だ。結論が出る時期や構成メンバーも現時点で決まっていない。

●「準備会」、日医・今村常任理事や東大・樋口教授が参加
 17年度の議論に向け、10日に開かれる厚労科研の準備会は、医療行為と刑事責任について、過去にどのような議論がされているのか、何件の刑事処分が出されているのか、どのような判例があるのかといった、来年度以降の議論のベースとなるデータ収集が目的だ。
 メンバーは、主に▽法学者▽実務家▽医療現場―の代表で構成し、東京大法学部の樋口範雄教授を中心に検討する方針。実務家の立場では、裁判官や検察庁の OBなどが参画する。医療現場からは、日本医師会の今村定臣常任理事や、虎の門病院顧問の山口徹氏が加わる。厚労省医政局、法務省刑事局、警察庁刑事局が オブザーバーとなり、会合をサポートする。
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萎縮するほど馬鹿じゃない
「萎縮」云々を持ち出すのは, 絶対に刑務所には入らない,「準備会」の委員を務めるような、お気楽なお偉いさん方だけである.我々は吊されるのがわかっていながらも”萎縮して”仕事を 続けるほど馬鹿じゃない.問題は医療が萎縮するかどうかではない.そんなところには問題はない.医療者を刑務所送りにする意義こそが問題の本質である.医 療者を刑務所送りにして事故原因を究明し事故リスク低減ができるのか?である.それが「被害者」やその家族が望むことだったのではないか? しかし,裁判 は逆に事故原因を隠蔽する事故再生産装置北陵クリニック事件のような冤罪生産装置と,若い医療者の口封じの道具になっている.

起こるのは萎縮ではなく逃散
真相究明とか事故防止なんかかどうでもいいから,裁判には真相究明能力も事故防止能力も全く期待していないから,どんなに冤罪が生まれてもいいから,医療 者の再教育なんてどうでもいいから ”四の五の言わずに,とにかく奴らを高く吊せ!業過罪は全部無期懲役にしろ”ってことなのだろう。そうすれば国民の皆 様の「気が晴れる」から” という意味なのだろう。

だとしたら嘘をつかずにそういう看板を堂々と掲げたらよかろう.何しろ国民の皆様の血税を使って「研究」するのだから.それならそれで結構だ.ただし,医 療者は逃げる.吊されるのが,無期懲役にされるのがわかっていながらも”萎縮して”仕事を続けるほどお人好しじゃない.そして,”偏在”がおこる.誰だっ て自分を大切にしてくれないところからは逃げるから.いつか来た道である.「医師法21条は扱わず」なんてペテンはとっくの昔に見透かされている.

業過罪の医療者は全て死刑という結論が必然となる
刑務所の本来の役割は教育である.もちろん現状は本来の意味での教育とはほど遠い.しかし,国民の皆様の血税は,再犯防止のために使われているのは紛れもない現実である.だから,医療者を刑務所送りにする必須要件は,塀の中に臨床研修施設を創設することである.

ところが現実にはそんなものは存在しないから,業過罪で有罪となった医療者が受けるのは,禁錮であって懲役ではない.禁錮は血税と人材の浪費である.医療者に再教育を受けさせずに、何年も塀の中に餌をやるだけで閉じ込めておけばどういう結末を迎えるか?ムショ勤めが終わって外へ出れば、事故リスクが一層高くなった人間を野放しにするだけ,事故再発リスクを高くするだけである.

ゆえに業過罪で有罪になった医者は全て無期禁錮,いや事故を起こした奴に無駄な餌をやるのは国民の皆様の血税が無駄になるだけだから全員死刑にするのが一 番効率がいい税金の使い方だし、国民の皆様の安全も図れる.国民の皆様がそう考えれば,厚労省の「研究」の結論もその通りになるだろう.

再教育システムはおろか懲戒制度もすっ飛ばして懲役ですか?
事故に関わった医療者の再教育システム厚労省の本来の仕事である。法務省に医師の教育ができるわけがない。懲戒制度については、弁護士では現行の懲戒制度が機能していないという皮肉(当てつけ)だろうか?あるいは日本医師会の組織率が7割にも満たないからという謙虚さだろうか.

医者を吊せと結論づける前に必要な教育とは?
嘘をつく科捜研,騙し討ち棄却決定を出す裁判官,それを黙認する裁判所,神経難病患者の人権を蹂躙しながら平気な顔をして矯正医官を藪医者呼ばわりする検察官.これらの現実をまずは直視することをお勧めする。そうすればやるべきことが見えてくる。
●まず、「準備会」とやらの先生方が、拘置所・刑務所にお勤めすること。逃走防止のために便所サンダルを履かされ、名前ではなく称呼番号で呼ばれてみること。堀江貴文さんは泣かなかったようだが、大坪弘道大先生は、拘置所で泣き暮らしておられたそうだ。
●警察官・検察官・裁判官の教育:倫理教育医療教育の両面で

医療者に対する法教育・法的リテラシー人生と命を守る被疑者ノート
業過罪の医療者は全て死刑という結論に至るのが目に見えているとなれば,医療者はそれなりの自衛策を講じざるを得ない.医療者に対する法教育・法的リテラシーの育成と聞くと,とてもじゃないが,そんな難しいこと と尻込みする御仁が多い.しかし,命あっての物種である.せめて,ミランダルールぐらい心得ていてもらいたい.しかし,中にはそんな外国人の名前がついた規則なんて覚えるのも嫌だという御仁さえいるかもしれない.ではミランダルールも知らない医療者は,代用監獄で死を待つのみなのか?被疑者ノートはそういう贅沢な奴のためにある.被疑者ノートはあなたの命を救う.嘘だと思うのなら読んでみるがいい.下記は被疑者ノートから抜粋したほんの一部である.
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警察(に対する苦情申出
被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則」という国家公安委員会規則が定められています。この規則は,次に掲げる@からFの行為を,不適正な取調べにつながるおそれがある「監督対象行為」として定めています。

@ やむを得ない場合を除いて,身体に触れること
A 暴力をふるったり,机を叩いたりすること
B 殊更に不安を覚えさせたり,又は困惑させるような言動をすること
C 一定の姿勢又は動作をとるよう不当に要求すること
D 便宜をはかったり,又は便宜をはかることを申し出たり,約束したりすること
E 人の尊厳を著しく害するような言動をすること
F 警視総監, 道府県警察本部長若しくは方面本部長又は警察署長の事前の承認を受けずに,次のいずれかに当たる取調べを行うこと
イ 一日につき8時間を超えて被疑者取調べを行うこと
ア 午後10時から翌日の午前5時までの間に被疑者取調べを行うこと
ここに挙げられている行為 が存在すると取調べ監督官が認めたときは,取調べの中止等を求めることができる,と定めています。

また,警察職員は,弁護人等から取調べについての苦情の申出を受けたときは,速やかに取調べ監督官にこのことを通知しなければならず,「監督対象行為」が行われたと疑うに足りる相当の事由があるときは,警察本部長は,取調べ調査官を指名して,「監督対象行為」があったかどうかを調査させなければならない,と定めています。ここに挙げられている行為以外にも,苦情を申し入れることはできます。弁護人に相談してください。

検察に対する苦情申入れ
最高検察庁も,検察官の取調べに関し,「取調べに関する不満等の把握とこれに対する対応について」という通達を公表し,被疑者・弁護人から検察官による被疑者の取調べに関して申入れがなされたときには対応することを定めています。

秘密交通権〜弁護人との接見内容を話すべきではありません〜
「被疑者ノート」を留置担当者や取調官に見 せるべきではありません
ずっと黙っていることができます 〜黙秘権〜
供述調書
 取調官 の作文を許さない
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一般市民としての医師と法