リテラシーを蝕むもの

いわゆる最新医療は、機械信仰・新薬真理教によって、医者の腕前を萎えさせるのと同様に、患者・一般市民のリテラシーも蝕む。患者が「お前の診察なんか要らないから、MRIを撮ってくれ」という人間不信は、医者のMRI信仰が感染したものだ。MRIは素晴らしい→人間はMRIには敵わない→自分はMRI大明神様の下僕です。医者ではなくGEのセールスマンです というわけだ。

多くの医者は、何かというと馬鹿の一つ覚えで、「マスコミが悪い」と繰り返して、自分達の身から出た錆だということに気づかない。モンスター患者を生む原動力となっているのは、自分達が展開する最新医療キャンペーンによる機械信仰・新薬真理教だ。メディアはそのキャンペーンのお先棒を担いでいるに過ぎない。

医療機器や新薬ばかりじゃない。「ITの活用による絶えざる知識のアップデートがリスクマネジメントの基本」とかいう先進国特有のドグマが、医者の、そして患者の思考を停止させる。「新しい」というだけで、何か大切なものが担保されたような妄想に陥り、最も厳格な審判員である「時」の試練を受けていない物にも人にも、いとも簡単に信頼を寄せてしまう。

「今どきの若い医者は」という、これも馬鹿の一つ覚えみたいに繰り返すしかない老いぼれどもが、夢の新薬、最新の医療機器を崇拝するというのは、一体全体どういうメンタリティなのだろうか?

参考

医者のいないところで

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