一宿も要らない

“This study should be another nail in the coffin of the argument that there is no association between industry marketing to physicians ― even meals worth as little as $20 ― and wasteful physician prescribing practices,” (Aaron Kesselheim, Doctors who accepted meals from drug makers prescribed more of their pills) 

一飯でいい。
---------------------------------------------
薬剤経済学 プロモーションとブランド処方確率の相関 医薬経済2017年01月01日号

 ランチボックスを持参して、忙しい医師に自社ブランド製剤の活用を働きかける製薬会社MRの伝統的、代表的なプロモーション活動は制約が強まっている。もちろん、ここには機会さえ得ればジェネリック製剤を押しのけてブランド処方率を上げようという関係≠ェある。
 MRから食事提供を受けた医師の比率に関しては、スタチン剤処方医師の12%が最も高い。1回平均18ドル相当の食事でも、提供を受けなかった医師と比 べ「クレストール」(ロスバスタチン)の処方確率は1.18になった。もともと処方シェアが8.8%と大きい。一方、シェア0.2%と苦戦する抗うつ剤 「プリスティーク」(デスベンラファキシン)は接触できた医師(主に精神科医)こそ2%と低いものの、処方確率は2倍を超えた。
 βブロッカー、ACE/ARBを含め、有力製剤がジェネリック化した4つの主要な薬効群で、ブランド製剤プロモーション効果を測っている。
 サンシャイン法に基づいて、製薬・医療機器会社が医師への支払いを報告・開示する連邦オープン・ペイメント・プログラムの最初の報告、2013年 8〜12月の5ヵ月間の状況と、メディケア薬剤給付の処方データを個々の医師別に照合、食事の提供と処方行動の関係が分析された。(DeJong C et al.Pharmaceutical Industry–Sponsored Meals and Physician Prescribing Patterns for Medicare Beneficiaries. JAMA Intern Med. 2016;176(8):1114-10. doi:10.1001/jamainternmed.2016.2765) この研究から、以下の状況が明らかになった。

・4薬効群の処方医師数は12〜13万人
・食事のほか、ギフト、娯楽、旅費・宿泊費、顧問料、講演料などの提供総額は、抗うつ剤で約3.54万ドル、スタチン剤で91.57万ドルと大きな格差があった
・提供を受けた医師1人当たり価値も、抗うつ剤18ドルからスタチン剤58ドルと違いがある
・βブロッカーの66%以外(教育目的が32%)、3剤は99%以上が食事の提供だった
・提供された食事の平均価値は12〜18ドル

 食事回数が増えるにつれて、ブランド処方確率も高くなる(表)。しかし、5ヵ月で3回以上の医師は2%足らずである。20ドルを超える食事も確率を高める。
 規模の大きな施設の医師はブランド処方率が低く、MRとの個別接触を禁じる施設が多い。企業によるプロモーションに批判的な環境下で育った若い医師も少 ないが、もともとのブランド処方率が強く影響している。一方で、地域特性は認められた。貧しい地域で診療する医師の処方確率は低く、貧困患者比率が高い医 師に影響はなかった。相関は確認されたものの、因果関係は定かでない。正しい情報提供による変化なのか、プロモーションの影響なのかも判断できない。
 研究では、医師の処方傾向が支払いとの関係で個々に多角的に分析されており、サンシャイン法によるデータ開示が与える影響も今後のテーマだ。
---------------------------------------------
参考:Kesselheim AS et al. 10.1001/jamainternmed.2016.1688.Prevalence and Predictors of Generic Drug Skepticism Among Physicians: Results of a National Survey. JAMA Intern Med. 2016 Jun 1;176(6):845-7. doi:

目次へ戻る