既に死んでるランセット

ランセットが,”北斗の拳”状態であることを示すエビデンスには,もう,事欠かなくなってきた.ランセットは世界最大の生命科学系出版社エルゼビアの看板雑誌である(基礎系雑誌の有名どころでは,CellやTrends in シリーズがやはりエルゼビア).つまり,典型的な商業誌だ.掲載の優先順位が金に左右される危険性は常にあるので,ランセットが自ら墓穴を掘って死亡宣告を下したからといって何ら驚くにはあたらない.

その墓標に2007年に追加された論文は,ろくろくランセットを読んでいない私がちょっと考えただけでもこれだけある.

Lancet. 2007; 370: 1687-97:焼き直しFIELD study 主要評価項目でプラセボと差がつかなかったという結果がすでに2年も前に出ている(Lancet. 2005; 366: 1849-61)FIELD study の三次評価項目の後付け層別解析.こんなみっともない論文の掲載は,六条河原の晒し首と同じ扱い.

Lancet 2007; 370: 591-603:全くの根拠無しにARBは最善の降圧剤と賞賛する,製薬企業の宣伝ビラ顔負けの降圧薬の提灯持ち総説.

Lancet. 2007 370: 221-9. 降圧剤を重ねたら,重ねた方がより血圧が下がったという,小学生にもよくわかる試験結果を紹介しただけの論文

Lancet. 2007; 369: 1431-9.:Jikei Heart Study. 事実上のオープン試験で,バルサルタンの有効性を主張.primary endopointを試験の途中ですり替えるという,前代未聞の裏技もランセットは見逃してくれることを証明した点で画期的な論文

いずれも,たった一つだけでも,ランセットに死亡宣告を与えるに十分な”インパクト”を持った論文である。2008年は,ランセットにどんなに質の悪い論文が載っても,誰も驚かなくなる年になるだろう.
(2007/12/31)

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