神様扱い

患者さんではなく,患者様だという,お客様は神様というわけである.患者様という言葉は,患者は人間扱いしないという宣言である.

かつて医者の方が人間扱いされていなかった.お医者様と呼ばれ,神様扱いだった.ところが今や業務上過失致死で片っ端からひっくくられている.神様変じて一人前の犯罪者扱いである.

一番胡散臭いのは,”患者様”という呼び名が,医療者側から,とくに役所や医療機関幹部側から提案されてきたことである.患者団体側から,自分達を様付けで呼べという要求が出てきたなんて,私は金輪際聞いていない.

様付けで呼んでもらわなくても結構,お辞儀の角度を研究する暇があったら,その分,リスクマネジメント活動に時間と労力を割いてくれ.それがまっとうな”患者様”の切なる願いだろう.

もう少し時代が進めば,お医者様という呼び名と同等に,お患者様にしろという話が出てくるかもしれない.いずれにせよ,神様扱いされるようになったら身の危険を感じるべきなのである.患者様という呼び名に,そういう警告をあなたが感じるとしたら,患者様という呼び名もそうそう悪いもんじゃない.

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