キャバレーでの麻雀

以下は鉄火場に出入りするのが生業の,ある患者さんからの手紙である.

問題は会計です。先月から2割負担になったのは承知していたつもりですが、総医療費10850円に対して支払ったのが3070円、なんでこれで2割なんじゃ?3割じゃないかと思ったら、薬剤一部負担金と云う項目があってここに900円計上されているんです。薬局に貼ってある「負担額改訂」の説明を改めてよく読みましたね。この薬剤一部負担金というのは入院ではかからないようだ。そして一部の薬ではと書いてある。一部の薬とは何でしょうねぇ。そしてこれは高額医療費として扱えるんですってね。ハテ、外来でのみ処方される高額医療費となるそんな贅沢な薬ってどれなんだろう。以前は大体1000円ちょっとでしたからね。実感としては3倍になっています。この「薬剤一部負担金」というのはもっと明朗会計にして欲しいですね。そう思われませんか?

重症心身障害児(者)施設という閉鎖的な場所にいるのをいいことに,私は勉強をさぼっていたが,このようなお手紙をいただいたので,今回の料金値上げの核となる外来薬剤一部負担金について医事課の職員に聞いてみた.説明のはじめの1分間を聞いただけで,その内容たるや,司法書士,生命保険のセールスマン,宅建業者,税務署員の4人がキャバレーの中で麻雀をやった時みたいに複雑怪奇,不明朗極まりないことがわかった.複雑さがわかった2分目以降は内容を理解するのをあきらめた.

相手に都合の悪いことを受け入れさせるために,”できるだけ複雑な内容にして理解させない”というのは役人の使う常套手段だが,鉄火場の人が言うには,この手の面子は鉄火場の荒っぽいお兄さんが来て卓をひっくり返せばすぐに大人しくなるもんだそうな.要は,あきらめない,執念深いことが肝心で,そうすれば今度は彼等がそれに合わせて見事な理論を考えてくれると.

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