医学生のうつ

日本の各大学医学部でも休学者の増加は非常に大きな問題になっていると思いますが,全国医学部長病院長会議のワーキンググループのようなところで,取り上げられ,問題意識が共有されているんでしょうか・・国家試験の合格率を上げるのに四苦八苦するばかりで,とてもじゃないが,そこまで手が回らないっていうのが現状なのでしょうね.きっと.

各大学でも,自分の病院での研修医のうつ,ドロップアウトへの対応だけでも大変なのに,学生のことまで心配していられないというのが正直なところなのでしょう.そしてこの問題に本気で取り組もうとすれば,大学精神科だけに過大な負担がかかるのは目に見えていますから,そこまで考えて対処しなければならないし・・・

しかし,学生時代から「医者になりたくない病」を発症していた私としては,学生時代からの「早めのお手当」で,卒後研修でのうつ,ドロップアウトのリスクが低減できるのではないかと思うのです.少なくとも私の場合,学生時代に認知行動療法を知っていれば,卒後2年間,医者辞めたい,病院へ行きたくない()と毎日思い続けたのが,1週間に一度ぐらいになったのではないかと思うのです.自分でできることとして,医学部での講義の時には,必ず,自分の辛い思い出のことを紹介するようにしています.どれも公開情報ですから,よろしかったら,どうぞ皆様も使ってください.

*一度だけですが,研修医当直を完全にすっぽかしたことがあります.もちろん指導医からおしかりを受けましたが,「ああ,自分にも現場から逃げるだけの度胸があったんだ.これなら過労死しないで済みそうだ」とほっとしたものでした.そんなエピソードでさえ,気軽に話せない業界に我々は生きています.

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医学生の4人に1人以上がうつで、治療に臨んだ割合は僅か16%  BioTodayニュースレター 2016年12月8日
世界43か国での約180試験の12万人超の医学生のデータをメタ解析したところ、27%がうつやうつ症状を有しており、その有病率は1982〜2015年のあいだ概ね一定でした。うつの医学生がその治療に臨んだ割合は僅か16%であり、11%は自殺念慮がありました。
Study Finds High Rate of Depression, Suicidal Ideation among Medical Students
Over 1 in 4 Medical Students Are Depressed
Medical Student Mental Health: Culture, Environment, and the Need for Change. JAMA. 2016;316(21):2195-2196. doi:10.1001/jama.2016.16396
Prevalence of Depression, Depressive Symptoms, and Suicidal Ideation Among Medical Students: A Systematic Review and Meta-Analysis. JAMA.2016;316(21):2214-2236. doi:10.1001/jama.2016.17324
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