ヒヤリ・ハット分析の責任は?(2019/09/03)

両方とも古く(私の研修医時代から?)からある薬なので,ここへ来て取り違えが急増するというのはおかしな話だ.ただ,どの記事にもその点に関する考察がどこにもない.本来ならばデータの提供元である,日本医療機能評価機構 薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業の責任においてなされるべき考察であり,全くやっていないわけではないようだが,各事例についてその都度リアルタイムで考察していくには人手(というより人材か)不足でとてもじゃないが,ということなのだろうか.でも公表データなんだから議論の場はいくらでも設けられると思うのだが.

ということで勝手に原因を考えてみた.ここへ来て全国的にシステムがおかしくなるというのは考えにくいし,もしシステムの障害ならば,必ず原因として早期に特定できるはず.だったら目に見える形で捉えにくいヒューマンファクターではないか.例えば,薬局の間で,口コミで両者の取り違えが事例が広まって,「あっ,うちでも!」ということで,報告に上げる率が上昇するとか.PMDA時代,この種のreporting biasはしばしば経験した.
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鎮咳薬アスベリンと不整脈用薬アスペノン 販売名類似による処方誤りで注意喚起 ミクスオンライン 2019/09/03 03:52

ニプロESファーマとバイエル薬品は、ニプロが製造販売している鎮咳薬アスベリン錠(一般名:チペピジンヒベンズ酸塩)とバイエルが製造販売している不整脈治療薬アスペノンカプセル(同アプリンジン塩酸塩)について、販売名類似による処方誤りが急増しているとして、医療機関に対し注意喚起している。この情報は9月2日に医薬品医療機器総合機構(PMDA)から配信された。両社による注意喚起の文書によると、両剤の販売名類似による処方誤りのヒヤリ・ハット事例の報告は年1件程度だったが、18年以降は22件(19年8月5日時点)に急増しているという。

具体的なヒヤリ・ハット事例としては、例えば、▽風邪薬の処方の中にアスペノンの処方があり、処方ミスの疑いを持ち疑義照会したところ、処方せん発行元の入力ミスであることが判明。正しい薬(アスベリン)に変更となった▽患者に新しくアスベリン錠10mgが出ており、患者から話を聞いてみると特に咳は出ておらず、不整脈であることを確認。疑義照会したところ、アスベリン錠10mgではなくアスペノンカプセル10mgであることが発覚した――というものだった。

両社は「処方誤りは健康被害を引き起こすリスクがある」として、アスベリンまたはアスペノンを処方・調剤する際には、いま一度、販売名と効能・効果を確認してもらいたいとしている。処方時に薬剤オーダリングシステムなどを使用している場合は、名称の前に薬効分類名を記載する、再確認を徹底するといった予防策を実施するなどし、誤処方防止につなげてもらたいとしている。
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