人のふり見て

下記の記事を読んで、思わず吹き出してしまう方も多いと思います。ところが韓国では、この記者さんの記事の影響で、当局に対する激しい攻撃がまた新たに生まれるに違いありません。そんな韓国のお隣の国で、「欧米の」医療見聞記に影響されて、当局に対する同じような激しい攻撃が盛んに行われているのは何故でしょう?当局を攻撃する自分たちの姿を鏡に映して、吹き出さないのは何故でしょう?自分自身の外在化とは斯くも難しいものなのでしょうか?

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【コラム】日本で見た本当の救急病院の姿
朝鮮日報 2010/9/7
http://www.chosunonline.com/news/20100907000062

少し前に、札幌でアジア・太平洋災難・緊急治療学会が開かれた。災害で大量の死傷者が発生した際、病院がどのように対処すべきかを議論する場だった。学会の期間中、札幌市立病院の救急センターを訪れる機会があった。
そこは札幌で2番目に大きい病院で、救急センターも当然、患者で混み合っているだろうと予想していた。しかし、病院の玄関を入った瞬間、その予想は外れだったことが分かった。センターには患者が一人もおらず、静まり返っていた。どういうことなのかと尋ねた。医療陣は、救急患者は1日に3、4人ほど来ると説明した。韓国の大病院の救急センターには、毎日150人から250人の患者が押し寄せ、市場のにぎわいを思わせるほどだが、この病院にはなぜ患者がこれほど少ないのか理解ができなかった。
そのわけは、次の通りだった。ここは、徹底して重症の緊急患者だけを受け入れるという。交通事故で大けがをしたり、心筋梗塞(こうそく)を起こしたり、脳出血で倒れた場合など、命の危険にさらされている患者だけが運ばれるというわけだ。どうしてこのようなことが可能なのか疑問だった。答えは、
119救急隊による適切な統制だった。119番に要請が入ると、救急隊統制センターで、患者の状態を判断する。重傷だと思われる場合、患者はすぐにここに運ばれる。そうでない場合、周辺の中小病院へ患者を移送する。救急隊員が現場へ到着したときも、このような指針に従って判断する。ここは徹底的に「超救急」患者のためだけの救急センターというわけだ。この病院でがんの手術を受けた患者が、夜間に風邪の症状が出て治療が必要な場合も、ひとまず中小病院の救急センターに行く。医療陣が、軽傷救急患者の処置に時間を取られてはいけないという論理だ。
病院側は、およそ20人の専門医を救急センターに常勤の医療陣として配置した。救急医学科、胸部外科、神経外科、外科、整形外科、心臓内科、麻酔科の専門医などが24時間待機し、患者が運ばれると、すぐに駆け付ける。救急センター内に別途重患者室があるため、いつでも重症患者の手術が可能だ。救急センターのすぐ横には、救急隊と救急車が準備されている。救急隊員が医療陣と共に勤務し、専門的な応急処置技術を学べるようになっている。重症患者の発生時、彼らを直ちに現場へ投入するためだ。まさに「本当の緊急患者」のための「本当の準備」だった。
病院は15年前から、このような重症患者に常時備える体制を取ってきた。医療陣の話では、札幌市民はこのような制度の必要性に同意し、統制に従うという。市では毎年、救急センターの運営費の一部を支援している。住民、病院、救急隊、地方自治体が協力し、この救急センターを札幌市民の命を守るとりでとして築き上げた。日本は大都市ごとに、このような重症患者のための先端救急センターがあるという。
韓国の大病院の救急センターは、まさにもみ合い状態だ。手を切った人、熱が出た子ども、入院待ちの患者、心筋梗塞患者などが、毎日のように訪れる。医療陣は各種重症患者に対処するため、常に疲れている。患者たちは、経験を積んだベテラン医師が救急センターにいないと不満を漏らす。応急手術の体制も整ってない。中小病院の救急室は、経営難でまともに運営できていない。このような状況のため、患者たちはとにかく大病院に殺到する。救急隊は、患者が行きたいという所に運ぶ。このような救急治療体制を、いつまでこのままにしておくのだろうか。

金哲中(キム・チョルジュン)医学専門記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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