人間というシステムのエラー

何が過失なのか。考えれば考えるほど、私は最近分からなくなってきました。(安福謙二 医療事故と刑事裁判― 県立大野病院事件の法廷で考えたこと

 医療も裁判も「人間というシステム」で成り立っています.そしてTo err is human  つまり,人間というシステムは必ず過ちを犯します.それがヒューマンエラーです.機械も所詮人間というシステムが作り出した道具ですから,機械にもエラー が生じます.その機械のエラーをエラーとして捉え,そのエラーの生み出す悪い結果を未然に防止することは人間にしかできません.ヒューマンエラーとシステ ムエラーを明確に区別できると考える時点ですでに思考停止に陥っているのです.

ヒューマンエラーのように見えたエラーも,人間というシステムのエラーとして捉えて初めて,失敗知識データベース20053月から科学技術振興機構が,20114月より畑村創造工学研究所で公開)ができます.医療事故調査制度は,医療事故をこの失敗知識データベース仲間入りさせるための大切な出発点です.

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