感染症発生動向調査週報 (IDWR)2001 年第14 週(4 月2 日~4 月8 日):通巻第3 巻第14 号からの引用

●読者のコーナー
Q. 最近、ヨーロッパで口蹄疫の流行があり、家畜が大量に処分されたというニュースを見ました。あまり耳慣れない病気ですが、どんな病気でしょうか。人への影響はあるのでしょうか。(栃木県W生)

●口蹄疫について  口蹄疫とは、口蹄疫ウイルス(ピコルナウイルス科アフトウイルス属に分類されるFoot-and-mouth disease virus)の感染によって主に家畜(偶蹄類;ウシ、ブタ)の口や蹄に潰瘍が生ずる病気です。英語名ではFoot-and-mouth disease といわれ、ウシやブタがこのウイルスの感染を受けると、口や蹄にできた潰瘍によって摂食・歩行が困難になり痩せていき、商品価値が著しく低下してしまいます。家畜類の間での伝搬力は非常に強く、一度発生すると爆発的に広がることが知られており、畜産関係者にとっては恐ろしい病気として知られていますが、人に対する健康上の問題は通常ないと考えられています。 仮に感染した家畜の肉が食用に供されたとしても人に健康上の危険性が及ぶということは全くありませんが、感染家畜が他の家畜への感染源となり、また感染肉が流通することによってウイルス自体が拡散しさらに家畜に影響が及ぶことを恐れるため、ほとんどの場合感染動物は処分されます。英国での発生時にこのウイルスに感染した動物が大量に処分されたのはそのためです。 主に小児の間で流行する手足口病(Hand, Foot and Mouth Disease:HFMD)と英語名が似ていますが、HFMDはエンテロウイルス71、コクサッキーウイルスA16などの、口蹄疫ウイルスとは異なったウイルスによる異なった病気です。

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