治験に補助金

> 正しく見られる先生がこのチームから抜けることになると、本当にどの方向を向いてい
> くのか、糸の切れた凧のようになりそうで、私、個人的には怖いです。

大丈夫だよ.現に僕が来る前の2年間だって,「治験」をキーワードに補助金を出していたんでしょ?だったら,たった半年間,天から降ってきた余所者の僕が抜けても何も変わらないよ。みんな、当初は深刻な顔をしているけど、そのうちにそれも忘れてしまうよ。

だって、みんな何も考えず、何もやっていなかったのだから。それに対して僕が何を言っても,事務局長は何も学習せず(理解が足りなかったとか反省していますとか言うばかりで,その実,何も理解できていないし,何も反省できていない),その学習障害者が出すアウトプットを誰も修正しようとしない.でも,それでこれまでやってきた.赤信号,みんなで渡れば怖くないというが,信号そのものがないんだよ.

僕がプロジェクトを降りたのは,事務局長個人の責任じゃない.治験ネットワークなんていかがわしい組織を作って,そこに彼のような学習障害者を据えて4年間.彼の教育もしなければ,人事交代も行わない.箱物だけ作って,誰も仕事の品質管理や人材育成・教育といった本質的な仕事をしない.そういう「文化」が問題なんだ.でも,それはここだけじゃない.ムラ社会の組織って,どこでもそういうものだよ.

よく知られている例では,銚子市立病院に代表されるような地方自治体病院がそれ.事務部門がムラ社会そのもので機能が廃絶していても,補助金があった時期は箱物は維持で来ていたし,現業部門の人間も事務局機能に大いに不満を持ちながらも,人数が確保できていれば,労働負荷も我慢の範囲だった.ところが,労働負荷に耐えられない現業部門の人間が一部でも逃散すれば,残った人間の負荷増大→さらなる逃散者の負荷増大→組織崩壊.人材育成をせずに補助金・箱物のステレオタイプ事業の決まりきった末路だ.

補助金が続く限り,組織は続く.補助金が途切れればそれでおしまい.そういう事業の末路を嫌というほど見ているから,実は,みんなそう割り切ってやっている.僕はほんのちょっと早めに抜けただけ.ただそれだけだ.

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