昭和の一つ覚えとの訣別

「新たな薬害を招く要因となる」というだけじゃあ、規制当局に対しても製薬企業に対しても脅しが利かない。だって「薬害」が出なければ、「安全な薬でよかったね」で「めでたし、めでたし」となるだけじゃないか。
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「条件付き」法制化に反対、広告規制の対象にも注文  薬害オンブズパースン会議  日刊薬業 2019/3/12 21:35 
 薬害オンブズパースン会議は12日、厚生労働省が今国会への法案提出を目指している医薬品医療機器等法(薬機法)改正に関する意見書を公表した。条件付 き早期承認制度の法制化に反対を唱えるととともに、広告規制の対象を「医薬品等広告の3要件」に該当するものに限定している状況を見直すべきと訴えてい る。
 条件付き早期承認制度については「承認条件とされる市販後の調査について、リアルワールドデータを活用した調査を利用することを可能とし、検証的臨床試 験を必要としないとしている点はきわめて問題」と指摘。こうした点について厚生科学審議会・医薬品医療機器制度部会では十分な検討が行われていないとした 上で、「このような問題点を抱えたままの条件付き早期承認制度の固定化は、新たな薬害を招く要因となる。法制化に強く反対する」としている。
(後略)
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もう昭和の遺産とは訣別すべき時なのだ。「薬害」という名の,昭和の馬鹿の一つ覚えにこだわり続ける限り、安全性で立派にプラセボ非劣勢,有効性ではプラセボに勝てないイカサマでぼろ儲けする連中の跳梁跋扈は止められない。実際、ディオバン「事件」では、薬害オンブズパースン会議の刑事告発は却下され、手も足も出なかったじゃないか。これからは厚労省をいじめるなんて効率の悪い事業は止めて,財務省と組む時代だ。そうすれば、ギリアードみたいなメガファーマだって訴えることができる。→Gilead accused of funneling kickbacks to providers to boost sales

条件付き早期承認制度で言えば、下記のよぅな事例は,「薬害と」いう看板を下ろしたオンブズパーソン会議にとってカモネギになる。結果が出た(出した?)のが特許期間が過ぎてからってのが笑っちゃうんだが,それでも真面目に(?)試験をやっただけ偉い(?).いずれにせよ,承認したFDAがペナルティを課すことはないだろう。だって承認自体はFDAが出したんだからね.

しかし,CMS (Centers for Medicare & Medicaid Services Medicare/Medicadeの支払基金)が、「効果のない薬を法外な値段に売りつけ、公的保険制度に損害を与えた」として損害賠償訴訟を起こす可能性は十分ある.日本では支払基金がそのような訴訟を起こすとは考えにくいが、それこそ、そこは「イカサマ薬オンブズパースン会議」の出番で、患者に対する詐欺で刑事告発すれば、国民の皆様は勧善懲悪ドラマに大喜び、ディオバン「事件」の轍を踏むことなく、「イカサマ薬オンブズパースン会議」は新たな時代のヒーローになれるというわけだ。
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AMAG 8年前の承認時に約束した早産薬の試験で早産予防効果示せず BioTodayニュースレター 2019年3月11日
今はAMAG Pharmaceuticals社の手にあって同社の昨年売り上げ第一位の早産予防薬Makena (hydroxyprogesterone caproate)の8年前の迅速承認時の約束に基づいて実施されたプラセボ対照試験(PROLONG)の結果が特許期間もすぎた今になってようやく発表され、あろうことか承認用途の効果が示せませんでした。

単生児の早産を過去に1度経験した女性の35週未満の早産率はMakena群では11%、プラセボ群では11.5%でした(p=.72)。AMAG社からの更なる情報や解析結果を得てデータを隈なく検討して今後の方針を決めると米国FDAの広報担当社は製薬ニュースEndpointに話しています。Makenaの昨年の売り上げは3億2200万ドルでした。

AMAG Pharmaceuticals Announces Topline Results From the PROLONG Trial Evaluating Makena? (hydroxyprogesterone caproate injection)
Years after it was OK’d, AMAG’s drug for preventing preterm births fails badly in long-awaited confirmatory trial
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参考→人民の敵No.1は実は鼠小僧だった?

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