T/P比とは、米国食品医薬品局(FDA)によって提唱された降圧薬の臨床的評価を行うための指標で、降圧薬服用後の降圧度の最大値(peak)と次回服用直前の降圧度の最小値(trough)との比率のことです。T/P比は携帯型自動血圧測定装置により算出されますが、測定にあたってはプラセボ投与中の降圧度との差を用いることが必要とされており、降圧薬服用時の血圧値からプラセボ服用時の血圧を引いた血圧幅に関してT/P比を求めることになります(図参照)。

降圧療法の最大の目的は、降圧による心・血管合併症の予防と進展阻止にありますが、携帯型自動血圧測定装置の普及に伴い血圧の日内変動が大きいほど臓器障害の発症頻度が高いことが明らかになってきました。したがって、単に降圧度が高いだけの薬剤ではなく、T/P比の高い24時間を通じて安定持続的降圧効果が得られる薬剤が求められてきています。
T/P比の目標値は 50 %以上ですが、 peak 時の降圧度が小さい場合(例えば、拡張期血圧で -5 mmHg 程度)には 66 %以上が望ましいとされています。
T/P比の最大の問題点は、標準化された算定方法がないために、同一薬剤であっても投与量、投与間隔、測定条件などによって様々な値が出されうることです。また、β遮断剤やα遮断剤はその peak 効果や trough 効果が内因性交感神経活性に強く影響されるため、単に薬物動態のみでは判定し得ない要素があります。このほか、解決されるべきいくつかの問題点が残されており、降圧療法の指標として確立するには今後さらに検討を重ねてゆく必要があります。
表に主な Ca 拮抗薬及び ACE 阻害薬の平均T/P比を示します。
| Ca 拮抗薬 | T/P比(%) 平均値(範囲) |
ACE 阻害薬 | T/P比(%) 平均値(範囲) |
|---|---|---|---|
| アムロジピン(ノルバスク) |
|
ベナゼプリル(チバセン) |
|
| ニトレンジピン(バイロテンシン) | 47(10 〜 80) | カプトプリル(カプトリル) | 25(25) |
| フェロジピン*(スプレンジール) | 53(50 〜 60) | エナラプリル(レニベース) | 51(40 〜 64) |
| ベラパミル*(ワソラン) | 75(60 〜 100) | リシノプリル(ゼストリル) | 48(30 〜 70) |
| ジルチアゼム*(ヘルベッサー) | 51(20 〜 80) | キナプリル(コナン) | 27(10 〜 40) |