ホモシスチン尿症患者へのL-シスチン、ベタインの投与

 ホモシスチン尿症患者へ処方されるシスチン、ベタインについて解説します。
 ホモシスチン尿症は先天性アミノ酸代謝異常症のひとつで、血中にホモシステイン、ホモシスチン、尿中にホモシスチンが増加する疾患です。この原因には、シスタチオニン合成酵素欠損症、ビタミンB12代謝異常症、葉酸代謝異常症等が知られていますが、シスタチオニン合成酵素欠損症が最も発生頻度の高い原因です。シスタチオニン合成酵素は、ピリドキサール-5'-リン酸を補酵素とする酵素なので、ホモシスチン尿症ではビタミンB6の投与に反応するB6反応型と反応しないB6不応型とに分けられます。
 シスタチオニン合成酵素欠損症により障害される器官は大きく分けて、1)眼、2)骨格、3)中枢神経、4)血管系の4つです。1)水晶体脱臼(水晶体の位置異常;前房内、硝子体内に脱臼する場合や結膜下、結膜外に脱臼する場合)や近視などの眼症状、2)骨粗鬆症や骨格の配置や成熟度の異常などの骨格の異常、3)精神運動発達遅延や精神学的異常などの中枢神経系の異常、4)冠動脈血栓、肺塞栓、脳血栓塞栓症などの血管系の異常があり、血管系の異常に関しては死亡例も報告されています。眼症状や骨格の異常には、フィブリリンというタンパク質の構造異常によると推測されています。フィブリリンはホモシスチン尿症で不足するシスチンに富んだタンパク質で、シスチンの不足により構造維持に重要なS-S結合が形成されないためにフィブリリンの構造異常が起こり、眼症状や骨格の異常を発現するものと考えられています。血栓症の原因は、血中ホモシステイン、ホモシスチンの増加により、トロンボキサンA2の上昇などのアラキドン酸代謝の異常に基づく血小板凝集の亢進が推測されています。
 B6反応型の患者にはビタミンB6大量療法が効果的です。またこれに低メチオニンミルクや低蛋白食にシスチンを添加する組み合わせもあります。食事療法のみで治療が困難な症例ではベタイン投与を併用します。シスタチオニン合成酵素が欠損すると、ホモシステインからシスタチオニン、システインへの転換がたたれてしまい、シスチンが不足します。シスチンが不足すると上述のように眼症状や骨格の異常を来す可能性がありますので、血中シスチンの測定値が低下した場合にL-シスチンが投与されます。この酵素が欠損するとホモシスチン、ホモシステインが血中に蓄積されます。ホモシスチンが血中に多く存在するため、様々な症候が現れます。ベタインを投与することで、ホモシステインをメチオニンに転換させる作用を利用し、ホモシステインを減少させることができます。B6不応型の患者には、低メチオニン食+シスチン添加、あるいはベタインを併用します。