ACE阻害剤の腎保護作用

 ACE阻害薬は高血圧治療薬として繁用されていますが、心臓や腎臓等の「臓器保護」としての役割を期待して用いられていることもあります。ACE阻害剤の腎保護作用について解説します。
 腎機能の悪化は腎糸球体の病変と相関することが多く、腎糸球体の病変が進行する要因は糸球体内圧の上昇、メサンギウム細胞の増殖などがいわれています。ACE阻害薬の腎保護作用は大きくこの糸球体内圧と、メサンギウム細胞への作用によるものといわれています。
 腎臓の糸球体内圧は輸入細動脈と輸出細動脈が収縮、拡張することによって調節されていますが、そのバランスが崩れると糸球体内圧が上昇します。アンジオテンシンIIは腎糸球体の輸入・輸出細動脈の両方を収縮させますが、輸出細動脈の方を収縮させる作用がより強いので、ACE阻害薬を投与することにより輸出細動脈の方がより拡張し、糸球体内圧の上昇が抑えられ、腎障害の進行を抑えます。(図)
 また一方でアンジオテンシンIIは、組織が損傷を受けた時などに増殖・修復させる機能を促進する働きをもつ「成長因子」のひとつであるTGFβ(transforming growth factor β:トランスフォーミング成長因子)やPDGF(platelet derived growth factor:血小板由来増殖因子)などの産生を刺激することにより、腎糸球体のメサンギウム細胞の過剰増殖や糸球体の硬化をもたらすといわれており、ACE阻害薬は、これらの作用を抑制することが示唆されています。