イチョウ葉エキス


 イチョウ葉エキスとは、その名の通り銀杏の実がなるイチョウの木の緑葉のエキスです。イチョウ葉エキスは、ドイツ、フランスで医薬品として認可されており、フランスでは全医薬品中の売り上げ1位となっています。また、イギリス、アメリカでは Ginko の呼び名でブレインフード(健脳食)として販売されています。ヨーロッパで作られるイチョウ葉エキスの原料はそのほとんどが日本から輸出されていて、その量は毎年 1,000 トンにも及びます。
 ヨーロッパにおいては、イチョウ葉エキスは血液循環改善剤として認可されており、脳血管障害、痴呆症患者に対して投与されています。また、ハーバード大学と UCLA の研究者が、アルツハイマー症の患者に Ginko エキスを 52 週間投与したところ、プラセボ群に比較して有意に認識力の向上が見られたと米国医学会誌(JAMA)に報告しています。また最近、勃起不全治療剤バイアグラの代替としてイチョウ葉エキスが注目されており、イチョウ葉エキスを1日600mg 摂取した患者が6〜8週間で性的機能を回復したという報告がなされています。
 イチョウ葉エキスの成分として、フラボノイドが 24 %、テルペノイドが 6 %含まれることが分かっていますが、残りの 70 %の詳細は不明です。イチョウ葉エキスには 13 種類のフラボノイドが含まれており、そのうちの 6 種類(ギンケラチンやイソギンケチン)は二つのフラボノイドが結合した二重フラボンです。これらのフラボノイドは、強力な活性酸素(フリーラジカル)消去作用と血管拡張作用をもっています。また、イチョウ葉特有の成分としてギンコライト、ギノライド、ビベライドなどがあり、ギンコライドは抗炎症作用を持つため、イチョウ葉エキスはアレルギー症状の改善にも有効と考えられています。
 以上のように、イチョウ葉エキスには薬理作用を有する物質群が含まれ、興味深い作用をもつことは確かなようです。しかしながら、米国で頭部外傷のない 33 才の女性に硬膜下血腫が生じ、2年間にわたって毎日摂取したイチョウ葉エキス(120mg/day)がその原因ではないかという症例(Nurology, 46 1775-1776, 1996)が報告されており、自己判断で多量に摂取することは危険と思われます。

 米国医学会誌(JAMA)2002年8月21日号に、健常者に対するプラセボ比較臨床試験では、イチョウ葉エキスに記憶・学習能力に関する効果がなかったとする論文が掲載されました。これが事実だとすれば、健康な方がボケ防止を期待してイチョウ葉エキスを摂取するのは意味がないことになります。しかし、メーカー側はこの臨床試験に対して、記憶判断基準の評価に誤りがある、用量が低すぎる、二重盲検が確実に実施されていたか等の問題点があると反論しています。