コクラン共同計画に関する頻出質問集(FAQs)

Ver. 4.4, 30 September 1997

津谷喜一郎


注:暫定的にQ19についてのみ最新の情報に更新されています。(1 Dec. 1998)

目次


Q1.コクラン共同計画を一口であらわすと?

 コクラン共同計画(The Cochrane Collaboration: 以後、CCと略す)は、1992年にイギリスの国民保健サービス(National Health Service: NHS)の一環として始まり、現在世界的に急速に展開している医療テクノロジーアセスメントのプロジェクトである。無作為化比較試験(randomized controlled trial: RCT)を中心に、世界中のclinical trialのシステマティック・レビュー (systematic review; 収集し、質評価を行い、統計学的に統合する)を行い、その結果を、医療関係者や医療政策決定者、さらには消費者に届け、合理的な意思決定に供することを目的としている。Evid ence-based medicine (EBM)の情報インフラストラクチャーと位置付けられる。


Q2.コクランの名前の由来は?

 1970年代に、すべての医学的介入についてRCTが必要で、その情報が要約され、最新化され、必要な人に伝えられるべきと力説した、アーチー・コクラン(Archiebald Cochrane, 1909-1988)の名を冠している。Archiebaldを縮めてアーチーと呼ぶことが多い。このプロジェクトを、Archie Cochrane's dreamと呼んだりする。コクランの検定の統計学者のコクラン(William G. Cochran)とは別人物、こちらはスペルの末尾のeがない。

 彼の代表的な著作は、

 また彼の自伝が出版されている。

Q3.CCの特徴は?

  1. 医学情報の爆発的増大(information explosion)に対する意志決定支援システム。Systematic reviewの反意語はunsystematic review, informal review。
  2. 対象とする領域は、すべての治療・予防など多岐にわたっており、とてつもなく広く、ヒトゲノム計画にも例えられる。
  3. 最新の情報システムを駆使しており、また展開が早い。種々の情報がインターネット、CD-ROMなどにより入手できる。迅速でかつ英語での理解を望まれる方は、カナダのコクランセンターにあるCanadian serverに直接アクセスされることをおすすめする。(http://hiru.mcmaster.ca/cochrane)
  4. NHSの一環として始まったが、参加している人は世界中に及び、ボランタリー・スピリットで働いていることが多い。
  5. 社会的受容は各国の医療サービス・システムの形態に依存することが多い。

Q4.日本語による紹介文献は?

  1. コクランセンターのこと.The Informed Prescriber,9(2):11-13,1994.
  2. 別府宏圀:コクランセンター−医薬品情報の新しい変革.メディカル朝日,1994年6月号:67- 69.
  3. 浜六郎.コクラン共同研究−あらゆる治療法を世界的観点で、徹底的に系統的レビューする試み−第2回コクランコロキウムに参加して.The Informed Prescriber,9(10):94-95,1994.
  4. 津谷喜一郎:無作為化比較試験のコンセプトの普及とその実施の必要性−第2回コクランコロキウム記−.The Informed Prescriber,9(11):101-103,1994.
  5. 津谷喜一郎:情報の質の確保.臨床と薬物治療,14(7):593-597,1995.
  6. 山本美智子:コクランセンターについて.月刊薬事,37(7):1615-1618, 1995
  7. 科学的根拠に基づく医療(Evidence-Based Medicine):21世紀における医療の選択−ミュア・グレイ博士講演会より−.The Informed Prescriber,11(6):59--63,1996.
  8. 津谷喜一郎:MEDLINE収録の日本発行雑誌をハンドサーチしよう.The Informed Prescriber,11(9):189-91,1996.
  9. 津谷喜一郎:コクラン共同計画とシステマティック・レビュー.薬理と治療,25(1):11-24,1996
  10. その他
 現在、これらをまとめた『コクラン共同計画資料集』の制作が進行中。1997年中に、(株)サイエンティスト社から出版の予定


Q5.コクラン・ハンドブック(Cochrane Handbook)とは?

   CCの基本的理解には不可欠なものであり、CCのバイブルという人もいるが、書いた人はこう呼ばれることを嫌う。しょっちゅう改訂しているためバイブルとは言えないだろう。

 以下に示すようにほぼ年に1回のペースで改訂されている。

第1版:1994年3月30日発行

 全約300頁

第2版:1996年9月30日発行

 第1版についていた6つのAnnexが簡略化された。全約300頁。構成は以下の通り。  この内、はじめにからSection 5までの内容は1995年7月14日の改定。Section 6は1994年3月30日付けの内容、つまり第1版と同じまま。Hypertext versionの説明は1996年1月20日付けの内容。

第3版:1996年12月版 (1997年1月発行)

 ハンドブックの各sectionの内容の重なりやversion upに関する混乱などの問題が生じ、一方CD-ROMやInternetによる情報の普及がなされたため、ハンドブックの見直しが必要となり、1996年2月27日に編集委員会(Editorial Board)が設立され、調整が行われた。

 第3版は第2版のsection 6が拡充された形となった。全体で約160頁で、構成は以下の通り。

 この第3版はレビューの方法論についての解説が中心となったため、かえってコクラン共同計画の全体像が見えなくなってしまった感がある。

 このコクラン・ハンドブックの入手法の説明をしよう。このハンドブックは基本的には電子媒体のものである。紙媒体で刊行されていないのは、コンピューターや通信に慣れていない人にとっては悩ましいこととなる。電子媒体として、print version と hypertext version がある。

(1) print version
  1. Canadian CenterのFTP serverに登録されている文書ファイルをダウンロードし、プリントする。A4版とレターサイズ版の両方が収録されている。現在MS Word用のみ。
  2. CD-ROM版 Cochrane Libraryに併録されている文書ファイルをプリントする。Cochrane Library 1997 Issue 1では、"HANDBOOK"ディレクトリーの中に、本文 (hdbook)、glossary (gloss)、appendix (append)に分かれて入っている。A4版とレターサイズ版の両方が収録されている。現在MS Word用のみ。
  3. 上記1)か2)でプリントしたものをさらにコピーする。
(2) hypertext version
  1. Canadian serverのホームページからのものをオンラインでディスプレイ上で読む。
  2. CD-ROM版 Cochrane Libraryの中にあるものをディスプレイ上で読む。
 しかし、非英語圏の日本人にとって、コンピューターのディスプレイ上で読むhypertext versionは、どうしても読むスピードと理解の面で遅れをとるようだ。一度はprint versionをプリントした紙媒体のものを入手し、手元に置いて一通り目を通しておくのがよいと思われる。そうすれば改訂されたところはhypertext versionで見ても理解が容易である。

 なお、このコクラン・ハンドブック第3版の内部を一部詳しくし例題などを付けて、ワークショップや自習用に使えるようにしたものが、Cynthia D. Mulrow and Andy Oxmanの編により"How to Conduct a Cochrane Systematic Review"と題して米国のSan Antonio Cochrane Centerから1996年10月に出版された。コクラン共同計画関連のhandbookやmanualとしては珍しく紙媒体で出たもの。この日本語抄訳はQ4の日本語文献(9)にある。


Q6.コクラン・ライブラリー(Cochrane Library)とは?

 ハンドブックを、システマティック・レビューにおけるいわばinputのためのツールとすれば、できあがったoutputとなるのが、CDSR(The Cochrane Database of Systematic Reviews)である。このCDSRをメインとしたCD-ROMが、Cochrane Libraryとよばれるものである。定期的に改訂されている。

 その歴史的な発展経過をたどると、まず1995年4月に、最初のCDSRが、CD-ROMとフロッピーディスクとでreleaseされた。当時、releaseは年2回で、1995年11月に1995 Issue 2のreleaseがなされた。1996年からは形式が変り、1996年4月に、CDSRの他に関連する情報を含んだCochrane Libraryという形となり年4回のreleaseとなった。この最初のものが、Cochrane Library 1996 issue 1とされるものだが、使いにくくて評判が悪く余り普及しないうちに、同年7月にCochrane Library 1996 issue2、また同年10月にCochrane Library 1996 issue3がreleaseされた。その都度画面の構成が変わりユーザーは混乱したが、内容は着実に発展した。結局1996年は3回のみreleaseされた。1997年9月の時点で最も新しいものは、1997年7月にreleaseされた、Cochrane Library 1997 issue3である。

 現在のCochrane Library 1997 issue 3 の構成は、

 The Cochrane Database of Systematic Reviews (CDSR)
Cochrane Libraryの中心となるもので、共同レビューグループ(Collaborative Review Group:CRG)によってなされたレビューの結果が、meta-analysisのグラフとともに示される。具体的な中身はQ10参照。

 Database of Abstracts of Reviews of Effectiveness (DARE)
英国のYork大学のCenterでfilterされたレビュー約300件を中心とする。構造化抄録 (structured abstract)の形をとっている。ACP Journal Clubのレビュー論文の構造化抄録約40件、INATHA(International Network of Agencies for Health Technology Assessment)によるレビュー約300件、その他のレビューの書誌情報など約1,100件も含む。全体で約1,700件。

 The Cochrane Controlled Trials Register (CCTR)
コクラン共同計画によって登録された Randomized Controlled Trial(RCT)ないしはControlled Clinical Trial (CCT)の書誌情報。現在、約130,000 trial。なお、世界中には約500,000のRCT/CCTがあると予測されている。

 The Cochrane Review Methodology Database (CRMD)
Systematic review に関する方法論の論文の書誌情報のdatabase。

 About the Cochrane Collaboration
Cochrane Collaboration
Collaborative Review Groups - CRGs
Fields
Methods Working Groups - MWGs
Networks
Cochrane Centers
Sources of Support
  -などの解説。
 このうち、About the Cochrane Collaboration の CRGsをclickするとtopにでてくる Summary of CRG outputは、終了した[Review]や現在進行中の[Protocol]のlistで、一度目を通しておくとよい。Search 機能を使うのもよいが、このlistから入っていったほうが、browsingができて全体の理解が深まる。

 なお、Cochrane Libraryの入手方は、Q19参照。


Q7.コクランセンター(Cochrane Center)とは?

 現在、世界中に13ヶ所にある。その内訳は、北米に5ヶ所(米国4ヶ所、カナダ1ヶ所)、ヨーロッパ5ヶ所、オーストラリア1ヶ所、南米1ヶ所、アフリカ1ヶ所である。

 以下abc順に、Director、所在地、tel/fax/e-mail、 URL、開設年、coverする地域、啓蒙や教育などの他にそのセンターの特に強い点や役割分担などを記す。

1. Australasian Cochrane Center
Director: Dr. Chris Silagy
Flinders Medical Center, Bedford Park, SA, 5042, Australia
tel: +61 8 8204 5399, fax:+61 8 8276 3305, e-mail: cochrane@flinders.edu.au
http://som.flinders.edu.au/fusa/cochrane/default.html
1995年7月開設。アジア・太平洋地域をcover。日本も今の所このCenterの管轄区域である。
Newsletterの発行と、CC関係者のdirectoryの管理。

2. Baltimore Cochrane Center
Director: Dr. Kay Dickersin
University of Maryland School of Medicine, Baltimore, USA
tel:+1 410 706 0546, fax:+1 410 328 0110, e-mail: cochrane@umabnet.ab.umd.edu
http://hiru.mcmaster.ca/cochrane/centres/baltimore/default.htm
1993年秋開設。米国で最初のCenter。米国東部をcover。
RCTのregistry。Journalの handsearchの coordination。

3. Brazilian Cochrane Centre
Director: Dr. Alvaro Atallah and Dr. Jair de Jesus Mari
Universidade Federal de Sao Paulo, Sao Paulo, Brazil
tel: +55 11 570 0469, fax: +55 11 549 2127, e-mail: unifesp@epm.br
http://hiru.mcmaster.ca/cochrane/centres/brazilian
1996年10月開設。中南米をcover。
中南米のtrialのsearch。

4. Canadian Cochrane Center
Director: Dr. Brian Haynes
McMaster University, Hamilton, Canada
tel: +1 905 525 9140, fax: +1 905 546 0401, e-mail: cochrane@fhs.mcmaster.ca
http://hiru.mcmaster.ca/cochrane/centres/Canadian/default.htm
上記URLは、狭い意味でのCanadian Cochrane Centerの活動を示す。全世界を対象としたhomepageは http://hiru.mcmaster.ca/cochrane
1993年開設。カナダをcover。
Softwareの開発。Reviewの配布と使用。

5. Dutch Cochrane Center
Director: Dr. Jos Kleijnen
Academic Medical Center, Amsterdam, Netherlands
tel: +31 20 566 5602, fax: +31 20 691 2683, e-mail: cochrane@amc.uva.nl
http://www.amc.uva.nl
1994年10月開設。北ヨーロッパをcover。
Placebo研究のcoordination。

6. French Cochrane Centre Italian Cochrane Center
Director: Dr. Jean-Pierre Boissel
Service de Pharmacologie Clinique, Lyon, France
tel: +33 4 78 78 28 36, fax: +33 4 78 78 28 38, e-mail: ccf@upcl.univ-lyon1.fr
1996年2月開設。南ヨーロッパをcover。
Reviewの配布と使用。

7. Italian Cochrane Centre
Director: Dr.Alessandro Liberati
Mario Negri Institute, Milano, Italy
tel: +39-2-39014-327, fax: +39-2-33200231, e-mail: cochrane@imimnvx.irfm.mnegri.it
http://hiru.mcmaster.ca/cochrane/centres/Italian/default.htm
1994年7月設立。イタリア、スペイン、東欧、北アフリカをcover。
個人のデータにもとづくreview。

8. New England Cochrane Center
Director: Dr.Alexia Antczak-Bouckoms and Dr. Joseph Lau
New England Medical Center, Boston, USA
tel: +1 617 636 5133, fax 1: +1 617 636 8023, e-mail: cochrane@es.nemc.org
http://polaris.nemc.org/medicine/ccr/cochrane.htm
米国New England地方と北東部を管轄
統計学の方法論グループへの関与。

9. Nordic Cochrane Center
Director: Dr. Petre Gotzsche
Rigshospitalet, Copenhagen, Denmark
tel: +45-35-45-55-71, fax: +45-35-45-70-07, e-mail: cochrane@inet.uni-c.dk
http://hiru.mcmaster.ca/cochrane/centres/nordic/default.htm
1993年10月開設。北欧をcover。
Handbookの管理。RevManの管理。Placebo研究のcoordination。

10. San Antonio Cochrane Center
Director: Dr. Cinthia Mulrow
Audie L. Murphy Memorial Veterans Hospital, San Antonio, USA
tel: +1 210 617 5190, fax 1: +1 210 617 5234, e-mail: cochrane@merece.uthscsa.edu
http://hiru.mcmaster.ca/cochrane/centres/sanant~1/default.htm
1995年3月設立。米国中部、西部、メキシコ、中南米をcover。
Training material の開発。

11. San Francisco Cochrane Center
Director: Dr. Lisa Bero
Institute for Health Policy Studies, University of California, San Francisco, USA
tel: +1 415 476 1067, fax 1: +1 415 476 0705, e-mail: bero@cardio.ucsf.edu
http://hiru.mcmaster.ca/cochrane/centres/SanFrancisco/default.htm
1995年1月設立。米国西部をcover。
Review の品質保証。Peer reviewの研究。

12. South African Cochrane Centre
Director: Dr. Jimmy Volminik
Medical Research Council, Tygerberg, South Africa
tel: +27 21 938 0438, fax 1: +27 21 938 0342, e-mail: cochrane@eagle.mrc.ac.za
http://hiru.mcmaster.ca/cochrane/centres/SouthAfrican/
1996年11月設立。南部アフリカをcover。
中・低所得層の保健改善。

13. The UK Cochrane Center
Director: Dr. Iain Chalmers
NHS Research and Development Programme, Oxford, UK
tel: +44-1865-516300, fax 1: +44-1865-516311, e-mail: general@cochrane.co.uk
http://hiru.mcmaster.ca/cochrane/centres/UK/default.htm
1992年12月設立。最初のCenter。英国・アイルランドをcover。
Softwareの開発。Parent databaseの管理。
現在、スペインと中国でセンターを設立する準備が進んでいる。

Q8.コクラン・コロキウム(Cochrane Colloquium)とは?

  第1回:1993年10月15-16日 イギリス・オックスフォード 参加者  75人
  第2回:1994年10月 1- 4日カナダ・ハミルトン参加者425人
  第3回:1995年10月 4- 8日ノルウェー・オスロ参加者175人
  第4回:1996年10月19-23日オーストラリア・アデレード参加者412人

 と開催されている。

 次回は以下のように予定されている。

  第5回:1997年10月19-23日 オランダ・アムステルダム

 問い合わせ先は以下の通り。  コロキウムでは各種の個々のsystematic reviewの演題発表や、ポスターセッションもあるが、メインは、CCの組織運営についての討議や、教育を目的とした各種ワークショップ、またこの期間内に行われる多くのCRG、フィールドの打ち合わせが主体。CC全体の動きが早いため、これにでてないと今何が起きているのかが分からなくなるような側面もある。ちなみに第3回のオスロの会は約1/3が地元のノルウェーを中心とした初参加者、第4回のアデレードの会は半数がオーストラリアからの参加。地元の参加者からは参加して初めてCCがどういうものか分かったとの声が多い。それぞれのプログラムや、発表の抄録などは、Q3で紹介したCanadian serverで見ることができる。

 なお、Cochrane Collaboration, Cochrane Center, Cochrane Colloquiumを略すと、すべてがCCとなり、まぎらわしいとの意見もある。


Q9.共同レビューグループ(Collaborative Review Group: CRG)とは?

 具体的にclinical trial の収集、評価、解析を行うものである。

 以下のリストは、1997年7月発行のCochrane Library 1997 issue 3 による。全部で42グループある。  CRGは時々名前が変わったり、合併したりする。例えば、当初のMalariaは、Parasitic DiseasesとなりさらにInfectious Diseasesとなった。OsteoporosisやRheumatoid Arthritis は、Cochrane Musculoskeletal Group(CSMG)のsubgroupとなった。なお1995年10月のオスロの第3回コクラン・コロキウムでnetworkなる用語は紛らわしいためすでにあるConsumer Networkを除いて公式には使わないこととなった。(Q20のJANCOCの説明にあるが、JANCOCは JApanese informal Network for the COchrane Collaboration)の略であり、networkの単語が入っているが、informalなnetworkであるためこれはこのまま使うこととなった。)

 各CRGは、全体の運営を担当するAdministrator、具体的なreviewのeditingを行うEditor(複数のことも多い)さらにSecretaryなどを入れたEditorial Team からなる。これに Handsearchers、 Statistician、 Computer programmer、External reviewer、が協力する形を採る。Editorの数が、今のところ英国に偏っており、international representationが必要との声が強い。

 またProbable CRGとして、1997年7月現在準備中のものが以下の9つある。

Q10.どんなレビューがなされているのか?

 現在どのようなレビューがおわっているのかまたは進行中なのかを知るには、Cochrane LibraryのAbout the Cochrane CollaborationのなかにあるCollaborative Review Groups(CRGs)をみると、そのトップにSummary of CRG outputがあり、ここに全体のレビューのリストがCRG毎に載っている。[review]とあるのはreviewが終了しているもの、[protocol]とあるのはreviewのためのprotocolはできているがまだ進行中でreviewが終わらないもの、を示す。

 1997年7月のCochrane Library 1997 issue 3で reviewが228件、protocolが253件、計481件である。

 なおこのリストと、reviewが済んだものについてはそのAbstractsをInternetでも見ることができる。Q19を参照。

 CRGと各レビューの関係について少し解説を加えると、CRGはそれぞれ保健問題毎にTitleに細分化され、それぞれのレビューがなされる。たとえば、StrokeのCRGでは、Review が終わったものが22件、まだreviewのためのprotocolを用いて進行中のものが16件ある。それぞれshort title とfull title をもつ。例を2つ以下に示す。( )の中がfull title。

 こうしたそれぞれのtitleについてレビューが行われる。

 通常はそれぞれのtitleについて複数のアウトカムoutcome (endpointともoutcome variableとも称される)について、meta-analysisがなされる。たとえば、Antiplatelet therapy in acute strokeでは、Death、Pulmonary embolism、Recurrent strokeなどのoutcomeについてそれぞれmeta-analysisがなされる。こうしたoutcomeはさらに細分化されることもある。

 この例でいうと、

−のように分けられていく。

 なお、こうした複数のoutcomeに対する解析は、多重推論や多重比較として統計学的に問題になるものであるが、これに対する配慮はまだなされておらず、3群比較への対応法なども含め、現在開発中とのことである。

 また、介入(intervention。input variableとも称される)側からは、異なるdose、異なるが類似の薬物、併用療法(薬)の有無、術式の違い、ケアのなされる状態、などがそれぞれsubcategoryとなりうる。たとえば、上記のAntiplatelet therapy in acute strokeのtitleで、Aspirin vs control と Ticlopidine vs control とは、別のsubcategoryとなる。meta-analysis一般で問題になるところであるが、こうした場合、まとめて取り扱うか別にして取り扱うかには慎重な対処が必要となる。医学的な判断と、得られたoutcomeそのものにもとづく判断がなされるが、CDSRでは後者について、subgroup間の交互作用についての検討ではなく、trial全体としてのhomogeneityについてのカイ2乗検定の結果が示されている。

 Meta-analysisにおける、オッズ比、オッズ比の併合、信頼区間の求め方、併合オッズ比の正規検定(z-test),homogeneityについてのカイ2乗検定などの具体的計算方法は、下記の記述が分かりやすい。

 さらに、1997年4月にreleaseされたCochrane Library 1997 issue 2から、CDSRの各reviewに対して、Comments and Criticismsを送る機能が付加された。


Q11.フィールド(Field)とは?

 CRGは、いわば疾患カテゴリーでの分類であるのに対し、Fieldは別の切り口となっている。たとえば、介入による分類(complementary medicine, vaccineなど)、ヘルス・サービス対象者による分類(老人など)、ケアがなされる状況による分類(primary health careなど)などがある。Reviewの前段階となるhandsearchを行ったり、CRGに対して各種アドバイスを行ったりする。またFieldに参加するメンバーは各自のテーマについては、個々のCRGにも属して活動を行うことになる。

 以下のリストは、1997年7月のCochrane Library 1997 issue 3 による。全部で7つある。

 またProbable fieldとして、現在準備中のものが以下の3つある。


Q12.方法論作業グループ(Methods Working Group: MWG)とは?

 以下のリストは、1997年7月のCochrane Library 1997 issue 3 による。全部で9つある。

 MWGの作業の1例を示すと、CDSRでは当初、eventありなしの2値データに対するfixed effect modelのみを用いた解析が可能であったが、Statistical Methods MWGの作業によりCochrane Library 1997 issue 1 からは、連続量に対する解析やrandom effect modelによる解析も可能となってきた。Q10に述べた多重比較の問題や生存時間解析などについての作業も徐々になされていく模様。

 またProbable MWGとして、現在準備中のものが以下の5つある。


Q13.RevManとは?

 Cochrane Libraryをユーザーが情報を使うほうとすれば、CRGのメンバーとして自分でレビューを行い情報を生みだすため強力なtoolとなるのが、Review Manager (RevMan)である。データの入力からmeta-analysisの作図まで行うソフトである。1994年7月にVer. 1としてDOS版がreleaseされ、1995年10月にver. 2 としてWindows版がreleaseされ使いやすくなり、さらに、1996年10月にver.3がreleaseされた。1996年12月にMac版もreleaseされた。ここで出来たレビューがEditorを経てCochrane Libraryに収録されることになる。

 Canadian center のFTP serverからdownload する。RevManのManualも同じくdownloadして使うこととなる。


Q14.ハンドサーチとは?

 レビューを行うためには、RCTを探してこなければならない。ところがMEDLINEにおいてすら、RCT のMesh(Medical Subject Heading)やPublication typeへのindexingが不十分であることが知られている。MEDLINE収録雑誌を対象にすると、そのなかに実際に存在するRCTの約77%のみがMEDLINEでRCTとindexされているとされる。またMEDLINE非収録雑誌も含んで対象とすると、実際に存在する約50%のみがMEDLINEでindexされているとされる。

 そこで、各雑誌単位で、実際の雑誌をめくりながら、RCTやCCTを手探しで見つけだそうというのがハンドサーチ(handsearch)である。1997年2月の時点で、約700種の雑誌がハンドサーチが完了ないし現在進行中である。

 同じ雑誌を複数の人が別個にハンドサーチを行うと無駄になるので、Baltimore Cochrane Centerでそのリストづくりとcoordinationをおこなっている。現在のハンドサーチの現状はCanadian serverのRegistriesからみることができる。またハンドサーチ用のHand Search Manual(約160頁)はFTP Serverからdownload する。

 ハンドサーチについては、Q4の文献(8)参照


Q15.全体の組織運営は?


 CCの具体的作業は、コクラン・センター、CRG、フィールド、MWGによるが、これを統括するのが世話人会(Steering Group)。

 当初、Steering Groupは、CCの関係者、特に各コクラン・センターのDirectorを中心として構成されていたが、1995年10月のオスロでの第3回コクラン・コロキウムで、各sector別に代表を参加させる形態にすべきだと言うことになり、memberが決まり、年2回Steering Group meetingを開催している。任期は特に決まっていなく1〜3年。現在のメンバーは以下のとおり。

 消費者(consumer)代表が入っているのがこの組織の特徴。消費者は、systematic reviewに積極的に参画すべき(例えば、評価のための適切な outcomeの設定など)で、またsystematic reviewの結果を活用し、そこから利益を得るべき存在と考える。


Q16.経済的基盤は?

 コクラン・センター、CRG、フィールド、MWGとも自立自助が基本。英国、北欧、カナダ、オーストラリアのセンターは、一部政府の援助がある。CRGなどの資金源は、それぞれ、政府、大学、財団、基金などさまざま。資金の出所をそれぞれ公表するのが原則。


Q17.コクランニュースレターとは?

 Australasian Cochrane Centerが発行しており、2種類ある。なかなか楽しくできている。なんのかんのといっても、コンピューターのディスプレイで情報を探すより、紙媒体のほうが読みやすく、最新の情報が手に入る。ただまだ西洋的な見方が多いのが難点。手作りのためニュースレターの号の番号などが不揃いなのは御愛敬。

(1) Cochrane News

 世界中を対象としたもので以下の号が発行されている。

(2) Australasian Cochrane Center News

 Australasian Cochrane Center がcoverするオセアニアとアジアの読者を対象にしている。内容はオーストラリアとニュージーランドの読者を対象としたnewsが多い。日本を含めてアジアからの投稿が望まれる。以下の号が発行されている。

 上記Cochrane News、Australasian Cochrane Center Newsとも、Australasian Center (Q7参照)へ申し込むと無料で送ってくる。

(3) CRGやFieldなどが発行しているニュースレター


Q18.CC関係のmailing listは?

 立ち上がりの時期の混沌に近い状態は一応落ち着いてきたが、なおコクラン共同計画に関する情報は混乱することが多い。こうした状況を改善するため、真に必要で質の高い情報のみをinternetで送るCcinfo mailing listが1996年のアデレードでの第4回コクラン・コロキウムの時からスタートした。
 以下のアドレスへe-mailを送る。
listproc@fhs.mcmaster.ca
 メッセージの内容はつぎのとおりで、firstname lastmameにはそれぞれ自分のものをいれる
subscribe ccinfo firstname lastmame

 Australasian Cochrane Centerのcoverする地域のみを対象とした OZ_CC e-mail discussion groupもある。

 以下のアドレスへe-mailを送る。
listserv@flinders.edu.au
 メッセージの内容はつぎのとおりで、firstname lastmameにはそれぞれ自分のものをいれる
subscribe oz_cc firstname lastname
 両方とも届けられるe-mailはそれぞれ情報に富み、数はそれほど多くはない。


Q19.CC関係のデータベースやソフトウェアなどの入手法は?


 1992年から、周産期(妊娠・出産)領域を対象にしたCCPC(The Cochrane Collaboration Pregnancy and Childbirth)がフロッピーディスク版としてreleaseされていた(1995年5月から、The Cochrane Pregnancy & Childbirth Databaseと名前が変わったが、略称はCCPCのまま)。1995年4月からは、周産期領域のみならず、すべての医学領域を含むCDSR(The Cochrane Database of Systematic Reviews)が発行され、さらに1996年からは、CDSRが Cochrane Libraryの中に組み込まれた。

 Cochrane Libraryは、CD-ROM版とフロッピーディスク版が出ている。なお1995年にCDSRが独立していた時には、Windows版、Mac版、DOS 版それぞれあったが、1996年のCochrane Libraryとなってからは、Windows版のみとなってしまった。日本のみならず世界各国からも不満がでたが、予算の関係で今のところMac版は出せないとの由。

 注文先は下記の通り;

 1997年1月からは、Cochrane LibraryのCD-ROMを制作しているUpdate Software社とBMJ Publishing Groupとの専属契約が切れて、Update Software社に直接注文もできるようになった。  価格は以下の通り。  クレジットカード番号と、その有効期限を書いて航空便で送ってくれるようにfaxで注文すると約1週間で入手できる。なお、E-mailにクレジットカード番号を書き込むのは危険ともいわれる。別に送料と保険料として15ポンド(約3,000円)かかる。

 日本で買いたいとか、公的機関などで公費購入で日本の代理店が必要な方は、BMJ Publication Group の日本代理店となっている(株)南江堂に注文する。日本円で買える。それほど高くない。

 また、reviewの済んだものについては、Internetを介してAbstractsを読むこともできる。Australasian serverにありレスポンスが遅く読みづらかったが、Q20に記すように、日本にmirror siteができ使いやすくなった ( http://www.nihs.go.jp/acc/default.html )。画面中程にある黄色の"Cochrane Review Abstract"をクリックする。JANCOCのhomepageの「どんなレビューがなされているか」から入れば日本語のリストもあり、そこからもAbstractsを読める。

 また、CDSRそのものがInternet上で使えるようにもなっている。有料で、Providerが2つある。
Synapse Publishing ( http://www.medlib.com ), Health Communication Network( http://www.hcn.net.au)。 ただしCochrane LibrayのセールスポイントともいえるMetaViewのグラフ機能の使用が快適ではないため使う人はあまりいない。Update Software社では、Cochrane LibraryのIntranet版の制作も進んでいる。

 今のところは、CD-ROMを購入するのが、最も快適に、ストレスなく、CDSRを使える方法である。


Q20.日本の動向−JANCOCについて−

 毎年、11月ないし12月にJANCOC会議が開かれている。以下そこで計画され、実行され、報告された事項を主に、経時的に記す。

(1)第1回JANCOC会議 (1994.11.5.(日))

 有志によって関係者に呼びかけがなされ13人が参加し、1994年11月5日に、JANCOC(JApanese informal Network for the COchrane Collaboration)が設立された

 日本における、日本語を主体とした潜在的医学情報の膨大さ、日本独特の医療文化などの状況下で、世界的なネットワークを構成する正式なセンターとして対応していくには、現時点では人的・経済的なリソースが不足している。またflexibleな活動が期待されるところから、とりあえず当分はインフォーマルなネットワークとして啓発活動を中心とすることとし、関係者はパソコン通信によって連絡を取り合うこととなった。

 その後1年間の具体的活動としては;

1)啓発活動
 各種の雑誌やニュースレターに紹介記事を書いた(Q4に他の年も含めてリストされている)。各種学会や研究会で、CCPCやCDSRのデモンストレーションを含めてコクラン共同計画の紹介をおこなった。さらに一般・医学メディアへの働きかけも行われ、朝日新聞の社説(1995.6.18)に取り上げられるなどの動きがあった。

2)対外関係の強化
 JANCOC関係者が、世界各地のCochrane Centerを訪問し、現状調査とnetworkの強化を行った。また、英国の厚生大臣 Ms.Virginia Bottomleyが"Prescribe UK Campaign"で訪日した折りに、1995年3月15日に東京の英国大使館で会談を持ち、協力を依頼した。同席した今井澄参議院議員にも協力を要請した。

3)コミュニケーションの強化
 1995年10月27日に、NiftyServeの電子会議室のFDRUGに、Cochrane Collaboration[コクラン共同計画]の会議室をオープンした。


(2)第2回JANCOC会議 (1995.11.5.(日))

 あわせて約40人がこれまでにJANCOCにコンタクトがあり、このうち12人が参加した。

 コクラン共同計画の動向の紹介、過去1年のJANCOCの活動報告、将来計画が検討された。JANCOC代表として、津谷喜一郎が選任された。

  その後1年間の具体的活動としては;

1)啓発活動
 各種のメディアで、一層の啓発活動がなされた。下記の記念講演会とワークショップの折に『コクラン共同研究資料集 Version 1.0』が300部印刷発行され、関係者に配布された。

2)システマティック・レビュー・ワークショップの開催
 1995年12月3日(日)に「正しい治療と薬の情報」(The Informed Prescriber: TIP) 創刊10周年記念講演会が開催された折、これとリンクする形で午後から、第1回のSystematic Review Workshopが、UK Center からDr. Andrew HerxheimerとAustralasian CentreからDr. Caroline Crowtherを講師に呼んで行われた。27人が参加した。TIP紙に丁元鎮、古川壽亮、ゴールドバーグ公子の3氏によってワークショップ参加記が報告された(『コクラン共同計画資料集 Version 2.0』参照。Nifty/FDRUGの電子会議室にも収録)。また津谷によりCochrane NewsとAustralasian Cochrane Centre Newsに、日本のコクラン共同計画関連の動きを含めてワークショップの報告がなされた。
 またこの前日1995年12月2日(土)に国立公衆衛生院で開催された日本薬剤疫学研究会の第1回研究発表会の後、同所で、上記Dr. HerxheimerとDr. Crowtherによりコクラン共同計画の紹介が行われた。

3) コミュニケーションの強化
 1995年12月1日に、JANCOCのWWWのhome pageが開設された。アクセス先は;

  http://www.cph.mri.tmd.ac.jp/JANCOC/HomePage.html


(3)第3回JANCOC会議 (1996.12.1.(日))

 1996年12月までにJANCOC関係の会議やワークショップに参加したり、コンタクトのあった人数は約80人となった。これらの人々の名簿のdatabase化がなされた。第3回JANCOC会議にはこの内26人が参加した。参加者は昨年と同じく、全体として医師が約半数で、ついで薬剤師が多く、他に統計学、保健学など、という構成。参加者の情報環境として1996年はInternet使用者が80%近くになり、一方NiftyServe使用者は減少している。コクラン共同計画関連では、Handbookの利用者は増えたが、CDSR/Cochrane Libraryの利用者、共同レビューグループ(CRG)参加者は横ばいである。「正しい治療と薬の情報」(TIP)購読者は約30%であった。八重ゆかり氏による第3回JANCOC会議のレポートがNifty/FDRUGの電子会議室に収録されている。以下その要点をその後の経過と計画とともに記す。

1)啓発活動

 a) 講演会
 1997年2月27日にTIPとJANCOCの共催で、Dr. J.A. Muir Grayによる「科学的根拠に基づく医療(evidence-based medicine: EBM) - 21世紀における医療の選択 - 」の講演会を東京医科歯科大学で開催した。Dr. Grayは英国Anglia and Oxford 地域の保健局研究開発担当directorで、UK Cochrane Centreの設立に関りコクラン共同計画の予算責任者である。なお彼はその後、3月2日に大阪大学医学部公衆衛生学教室セミナーでも講演した。講演のまとめは TIP, 11(6): 59-63, 1997に収載されている(『コクラン共同計画資料集 Version 2.0』参照)。その後、下記の本が、英国で出版されている。

Gray, J A Muir: Evidence-based Healthcare - how to make health policy and management decisions - . London: Churchill Livngstone, 1997

 b) 第1回医薬ビジランスセミナーの共催
 1997年9月20-22日に、TIPとJIP(医薬ビジランスセンター)の主催で大阪大学で開かれた第1回医薬ビジランスセミナーに共催し、program作成やセミナーの運営に協力した。約500人の参加者があった。

2)出版project
 a)"Systematic Review"の日本語訳
6人による分担とチェックシステムで、翻訳の進行中である。翻訳はやや遅れ気味。

 b)『コクラン共同計画資料集 Version 2.0』
1995年12月3日のTIP創刊10周年記念講演会と第1回システマティック・レビュー・ワークショップで配布された日本語資料集の『コクラン共同計画資料集 Version 1.0』が好評のため、加筆補強したもの。その後の日本語文献などを組み込む作業を行っている。

 c)Archiebald Cochrane著 "Effectiveness and Efficiency"の日本語訳
結核研究所の森亮氏によりすすんでいる。
 上記3つの本とも(株)サイエンティスト社より出版の了承を得ている。1997年中の発行を目指す。

3)ハンドサーチ

 a) JANCOC関係者により1996年11月1日の時点で下記の雑誌のハンドサーチが進行中である。

  MEDLINE収録誌
   In Japanese
    感染症学雑誌
    癌と化学療法
    日本外科学会雑誌
    日本胸部疾患学会雑誌
    脳神経外科
    脳と神経

   In English
    Bulletin of Tokyo Medical and Dental University
    Japanese Journal of Cancer Research

  MEDLINE非収録誌
   In Japanese
    呼吸と循環
    全日本鍼灸学会雑誌
    日本化学療法学会雑誌
    日本東洋医学雑誌
   In English
    Japanese Journal of Primary Care

 b) ハンドサーチワークショップの開催
 1996年12月1日に第3回JANCOC会議 に引き続いて1st Handsearch Workshopが開催された。37人が参加した。福井直仁氏による報告が、TIP 12(3): 26-27, 1997 に報告された(『コクラン共同計画資料集Version 2.0』参照。Nifty/FDRUGの電子会議室にも収録)。

4)Cochrane Library関係
 a)Cochrane Libraryの日本代理店さがし。
公的機関は公費で支払いするために日本代理店が必要。その後、Q19に記したように(株)南江堂が代理店となった。

 b)Cochrane Review Listのupload
Cochrane Review Listはコクラン共同計画の現状が具体的にわかるものであり、NiftyServe/FDRUGとJANCOCのhomepageに原文をまずuploadして人々に知ってもらう。ついでその日本語訳をつけて、同じくuploadする。1997年9月中旬に、英語と日本語のlistをpairにした形で試行版ができあがり、JANCOCのhomepageからlinkがはられた。

 c)各Reviewのabstractの日本語訳
Reviewの一部はそのabstractの部分のポルトガル語訳ができており、Cochrane Libraryに組み込まれている。日本語訳についても検討する。
5)コミュニケーションの強化
 a) JANCOC Contact Directory の管理
 1997年8月末日で、JANCOCにコンタクトがあった人は101人となり、八重ゆかり氏が、JANCOC Contact Directoryとして管理している。JANCOCによるworkshopなどの案内を希望される方は下記へ連絡されたい。事務作業を低減化するためe-mailでの連絡が望まれる。

 b) mailing list の開設
 Internetの普及にともない、従来のNifty/FDRUGの電子会議室から mailing list への移行を検討する。

 c) 日本国内にmirror を設置
 より快適なアクセスを得るため、Canadian server とAustralasian serverのmirrorを日本に設置するための準備を始める。1997年9月初旬に国立医薬品食品研究所 (旧・国立衛生試験所)に、Australasian serverのmirror siteが開設された。JANCOCのhomepageからLink がはられている。

(4)日本における今後の課題と展望

 日本でのCochrane Libraryの使用の普及と、日本からの医学情報のCCへのfeedingが今後の課題。後者については、実際のCRGやFieldに入って活動をする日本人が増えることと、日本発行雑誌、特にMEDLINE収録雑誌のhandsearchが望まれる。

 日本の医薬品の分野でのCCとの関わりは、

 −などが、鍵となろう。

 内外の状況を注意深く見て、Japanese Cochrane Centre (JCC)設立の計画を練る。



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