関節リウマチ:中期間低用量副腎皮質ステロイド

Rheumatoid Arthritis (RA): Moderate-term Low Dose Corticosteroids

Criswell LA, Saag KG, Sems KM, Welch V, Shea B, Wells G, Suarez-Almazor ME

最終更新日:27/05/1998


目的:関節リウマチ治療のための中期間低用量副腎皮質ステロイドの有効性のシステマティック・レビューを行う.

検索方法:キーワード”corticosteroids(副腎皮質ステロイド)”と” rheumatoid arthritis(リウマチ性関節炎)”を使い1966年から1998年までのMEDLINEを検索した.又,創刊から1994年までのArthritis and ReumatismとScandinavian Journal of Rheumatologyのすべての文献のハンドサーチも行った.さらに,1994年以前の15年間のすべてのArthritis and Reumatismの要約を調べた.同定されたすべての研究は,関連する試験のために調査された.未発表原稿の著者に連絡をとった.

選択基準:研究は前もって定められた基準に従い,二人の独立したレビュアーによって選択された.とりわけ,ランダム化され,あるいは,クロスオーバーされた試験で量的に次のアウトカム,関節圧痛 ,関節腫大,握力あるいは赤血球沈降速度の少なくとも一つを報告することを条件とした .又,少なくとも三ヶ月間の観察期間と,15mg/day以下の投与量のプレドニゾン使用(あるいは匹敵する副腎皮質ステロイド薬)を条件とした.また,プラセボあるいは実薬コントロールのうちどちらかを利用した研究を用いた(すなわち比較試験).

データ収集と解析:連続データに対しては,固定効果モデルを用いて,プラセボあるいは実薬コントロールに対するプレドニゾンの効果を比較した.同質性(homogeneity)の検定に関して,カイ二乗検定を行い,同質ではない(heterogeneity) 場合は,ランダム効果モデル を用いた.Outocome Measures for Rheumatology Trials(OMERACT)によって推奨されているすべての入手可能なアウトカムの結果を報告した.これらには,圧痛(JT)や腫脹(JS)のある関節の数,疼痛,機能的状態(FS),血沈の総数が含まれる.握力(GS)も,評価された.

主な結果:リウマチ性関節炎治療のための副腎皮質ステロイドの有効性を直接的に評価した研究はほとんどなく,多くは,方法論的な質が貧弱であった.34の研究の内,7つだけが組込み基準に合い,調査,検索によって同定された.結果は,副腎皮質ステロイドは,評価された6つアウトカムのうちの4つにおいて,プラセボ対照群より有意に効果があることを示した[標準化平均差(SMD):JT=-0.37(95%CI:-0.59,-0.14)JS=0.41(-0.67,-0.16),疼痛=-0.43(-0.74,-0.12),FS=-0.57(-0.92,0.22)].GSとESRに関する結果は,有意ではなかった[GS=+0.30(-0.19,+0.80),過重平均差(WMD ): ESR=-7.03(-18.06,+4.01)].4つのアウトカムを扱った,プレドニゾンとアスピリンを比較した一つの試験では,これら2つの治療薬間に統計学的有意差は示さなかった.[SMD for JT=+0.23(-0.30,+0.75),JS=+0.43(-0.11,+0.96),FS=-0.27(-0.80,+0.26),WMD for ESR=-16.00(ー30.58,-1.42)].

結論:限られた利用可能なデータに基づき,いくつかの通常のリウマチ性関節炎の活動性測定の改善において,リウマチ性関節炎の中期間プレドニゾン治療はプラセボより優位であり,アスピリンやクロロキンの治療と匹敵することが示された.


Citation: Criswell LA, Saag KG, Sems KM, Welch V, Shea B, Wells G, Suarez-Almazor ME. Rheumatoid Arthritis (RA): Moderate-term Low Dose Corticosteroids. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:亀井陽子/八森 淳)