目的:未熟児における予防的なサーファクタント投与の効果を,呼吸窮迫症候群となった児に対するサーファクタント療法と比較すること.検索方法:以下の検索を行った.Oxrford Database of Perinatal Trials,MEDLINE(MeSH terms: pulmonary surfactant; age groupsをnewborn infantsに限定),文献リストを含む過去の総説,要約,カンファレンスやシンポジウムの予稿集,専門的な情報提供者,英文誌のハンドサーチ.
選択基準:未熟児における予防的サーファクタント投与と,呼吸窮迫症候群となった児に対するサーファクタント療法を比較したランダム化比較試験を分析に含めた.
データ収集と解析:判定者は臨床試験報告から以下の臨床的結果に関するデータを抜粋した.気胸の発生率,間質性肺気腫,動脈管開存,壊死性腸炎,脳室内出血(出血の有無と重症脳室内出血),気管支肺異形成,死亡率,気管支肺異形成または死亡,未熟児網膜症.データの分析はコクラン新生児レビューグループの標準的方法によった.
主な結果:含まれた研究の大部分では予防的サーファクタント投与を受けた児において初期の呼吸状態の改善と呼吸窮迫症候群の発生率の減少をみた.メタ・アナリシスでは予防的サーファクタント投与に関連して気胸,間質性肺気腫,死亡率,気管支肺異形成または死亡の頻度が減少することが支持される.予防的サーファクタント投与の明らかな悪影響はみられない.
結論:呼吸窮迫症候群を発症するリスクがあると判断された児(在胎30-32週以下で挿管された児)に対する予防的サーファクタント投与により,臨床的結果が改善することが示された.予防的サーファクタント投与を受けた児では気胸,間質性肺気腫の頻度と死亡率が減少する.しかし予防的サーファクタント投与が必要となるリスクのある児の判定にどの基準を用いるべきかは正確にはまだ明らかではない.
Citation: Soll RF, Morley, CJ. Prophylactic surfactant vs treatment with surfactant. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.
(日本語翻訳:廣瀬美智代/佐藤孝道)