目的:WHO group 2の卵巣機能障害をもつ女性に対するhMGあるいはFSH単独投与に比べて,GnRHアナログによる前治療の上でFSHあるいはhMGを投与した場合,臨床的な妊娠率の増加かつ/または自然流産率の減少がみられるかどうかを評価すること.検索方法:このレビューは全体としてコクラン生殖能力低下グループのために開発された検索方法を用いた.同グループの比較臨床試験特別レジスターから関連する試験を同定した.詳しくはレビューグループの詳細を参照.
選択基準:関連する出版または未出版のランダム化比較試験を選択した.上記の2方法を比較した3つのランダム化比較試験が確認された.
データ収集と解析:データの抽出:1966年から現在までの主要な43雑誌のハンドサーチ,関連する研究の文献目録,MEDLINEデータベース,北米と欧州における学会の予稿集,関連する研究の著者との連絡,といった多様な検索方法がとられた.関連するデータは標準化されたデータ抽出用紙を用いて,2人の判定者によって別々に抽出された.ランダム化の方法,追跡調査の完全性,クロスオーバー法や副研究の有無に関して妥当性を評価した.データの生成:すべての関連する結果に関する2x2表を作成した.マンテル・ヘンツェル法のピート変法を用いてオッズ比を計算した.統計学的な不均一性はカイ2乗検定を用いて評価した.
主な結果:各研究は臨床的・統計学的に等質であった.治療周期あたりの妊娠,中等症ないし重症卵巣過剰刺激症候群(OHSS)に対する共通のオッズ比はそれぞれ1.50(0.72-3.12),1.40(0.5-3.92)であった.
結論:3研究は小規模なため,2つの治療法による妊娠率には臨床的意義のある明らかな相違は示されない.しかし,IVF研究のデータからはGnRHaの使用に関連してOHSSのリスクは増加する可能性が示唆される.PCOSをGnRHaによって増強することの利点を示す証拠はなく,この患者群に対する標準的治療としては推奨されるべきではない.生児分娩率とOHSS発症率を評価したさらなる研究が必要である.
Citation: Hughes E, Collins J, Vandekerckhove P. Gonadotropin releasing hormone analogue as an adjunct to gonadotropin therapy for clomiphene-resistant PCOS. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.
(日本語翻訳:田中恵美子/佐藤孝道)