エジプト住血吸虫症の治療

Treating schistosomiasis haematobium

Squires N

最終更新日:27/02/1997


目的:エジプト住血吸虫症の薬物治療の有効性について,寄生虫学的治癒をはかり,病気の伝播及び感染による罹患率を減少させるか調査する.

検索方法:MEDLINEを用いて1989年から1996年までエジプト住血吸虫症について検索,1966年から1996年までのコクラン感染症グループの比較臨床試験特別レジスター,エジプト住血吸虫症についての参考文献,および,WHOのDivision of Control of Tropical Diseasesで現在進行中の試験についての連絡.

選択基準:エジプト住血吸虫症に対して,メトリホナート,または,プラジカンテルで治療する群とプラセボによる対照群とのランダム化比較試験.他の薬剤による治療が,メトリホナートあるいはプラジカンテルによる治療と比較されているものも,このレビューの中に含めた.

データ収集と解析:すべての研究の方法論的な質は,査定され,評価される.寄生虫学的治癒と他の疾患死亡率の集積オッズ比について解析した.

主な結果:プラジカンテルを単回投与する治療法と,2週間間隔でメトリホナート10mg/kgを3回投与する現在の標準的な治療法との適当なランダム化比較試験は存在しなかった.プラジカンテルを40mg/kg投与した場合,寄生虫学的治癒が得られ,メトリホナート10mg/kgを単独投与するより効果的であった.プラジカンテルとメトリホナートを罹患率のアウトカムで比較すると,プラジカンテルおよびメトリホナートの単独投与のどちらともが,罹患率を減少させるのに有効であることが示され,この2つの薬物の有効性にほとんど違いは見られなかった.

結論:寄生虫学的治癒の点からいえば,プラジカンテル(単回投与)がメトリホナート(分割投与)よりもより効果的である.しかし,再感染する確率はどちらの場合でも高い.患者に関連するアウトカムを調査している研究は数少ないが,両剤とも患者の栄養状態および体力を回復させている.プラジカンテルも欠点といえば,わずかにコストが高いということぐらいである.


Citation: Squires N. Treating schistosomiasis haematobium. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:矢野 礼/吉村 学,鶴岡優子)