■がん転移Q&A - 回答
Q3 がんの転移はいつ起こるのですか?

A 矢野聖二
(金沢大がん研・腫瘍内科・教授)
 がんは、細胞にいくつかの遺伝子異常が起こった結果発生します。さらに、遺伝子異常が積み重なり、急速に増殖したり血管やリンパ管に浸潤する能力を獲得し、悪性度の高い(性格の悪い)がんとなり、転移するようになると考えられています。(下の図を参照)
 がんが発生してから転移が起こるまでの期間は、がんの種類や悪性度によって異なるので一概には言えません。原発巣が数cmの大きな腫瘍になっても転移がないこともあります。一方で肺小細胞がんのように、原発巣が1cm程度でもリンパ節や脳、肝臓、骨、副腎にたくさん転移ができることもよくあります。
 転移は1個の細胞が原発巣から離れて他の臓器に着床し起こるものです。診断能力の高いCT(コンピュータ断層検査)やPET(陽電子断層撮影)検査をもってしても、がんが5mm〜1cmにならないと発見できないため、厳密な意味でがんの転移がいつ起こったかをはっきりと知ることはできません。