血小板濃染顆粒
【血小板濃染顆粒とは】
δ顆粒とも呼ばれる血小板の顆粒のひとつで、アデノシン二リン酸(ADP)やATP、セロトニン(5-hydroxytriptamine)、カルシウムイオンなど比較的小いさな分子が含まれています。もう一つの顆粒であるα顆粒フィブリノゲンフォンビルブランド因子など大きな分子が含まれている点と対照的です。直径0.2〜0.3μmの球状体で、ひとつの血小板内に数個あります。血小板濃染顆粒を欠く疾患では、皮膚の色素異常を伴うことがあり、Hermansky-Pudlak症候群と呼ばれます。濃染顆粒と皮膚の色素顆粒は形成・分泌メカニズムの多くが共通しており、リソソーム関連小器官と呼ばれる構造に分類されます。またChédiak-Higashi症候群でも濃染顆粒の異常に伴う出血傾向を呈します。
濃染顆粒に取り込まれるセロトニンは、消化管で産生されたセロトニンが血小板が消化管を通過する際に取り込まれると考えられています。このためSSRIを使用している場合は血小板へのセロトニンの取り込みが阻害され、その結果血小板機能の低下が起こり出血傾向を呈すると考えられています。