変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)
【変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)とは】
変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(Variant Creutzfeldt-Jakob disease ; vCJD)はプリオンにより「感染」するとされる脳疾患です。ウシ海綿状脳症(BSE、いわゆる狂牛病)に感染した牛の特定部位(脊髄等)の摂食と関連すると考えられる疾患です。1990年代後半から2000年代にかけて、特に英国を中心に流行しました。現在は牛への対策(餌に牛骨片処理飼料を使わないなど)や適切な食肉処理の結果、現在新規感染者はほとんど報告されていません。プリオンを構成する蛋白質(プリオン蛋白質)自体は、健康なヒトや動物の全身に存在しています。しかしvCJDや狂牛病などの原因となるプリオン(異常プリオン蛋白質)は、正常なプリオン蛋白質と立体構造が異なっており(アミノ酸配列は同じです)、非常に厄介なことに、この異常プリオンが生体内の正常なプリオン蛋白質の立体構造を変化させ異常プリオンにします。その連鎖反応により異常プリオン蛋白質が蓄積し発症すると考えられています。異常プリオンは蛋白質であり、生命体とは呼べないものではありますが、自身を複製(?)し増殖(?)するため感染性があると考え同様の対応を行なっています。
輸血による感染が疑われる症例が英国で報告されていることや、英国以外でも重症血友病患者で血漿分画製剤使用患者でvCJD患者が認められたことから、輸血による伝播の可能性が否定できないため、現在本邦では献血時の問診において、英国等リスクのある国の滞在歴を確認し(該当国ごとにリスクを考え、複数の国に滞在歴がある場合には重み付けののち合算しています)、該当者からの献血は行なっていません。