ピルビン酸キナーゼ欠乏症(ピルベートキナーゼ欠損症)
【ピルビン酸キナーゼ欠乏症(ピルベートキナーゼ欠損症)とは】
赤血球はミトコンドリアがないため、エネルギー産生(ATP産生)は解糖系(Embden-Meyerhof(エムデン-マイヤーホフ)経路)に依存しています。ピルビン酸キナーゼ(ピルベートキナーゼ)はホスホエノールピルビン酸をピルビン酸に変換する酵素で、Embden-Meyerhof経路の最終段階に位置しています。ピルビン酸キナーゼにはIからIV型の4種のアイソザイムが存在します。成熟赤血球の主要なアイソザイムはピルビン酸キナーゼ-Iです。ピルビン酸キナーゼ欠乏症では、ATP供給が低下し、赤血球は機能を維持することができなくなり、早期の崩壊(すなわち溶血反応)が起こります。基本的には形態維持などできなくなった赤血球が脾臓などの網内系に取り込まれるので血管外溶血です。赤血球酵素異常症の中でG6PD異常症の次に頻度が高疾患で。遺伝形式は常染色体潜性(劣性)遺伝形式で、臨床症状を呈するのはホモ接合変異、ないしは複合ヘテロ接合変異です。まれにヘテロ接合変異でも軽度の貧血を呈することがあると報告されています。

【遺伝形式】
常染色体潜性(劣性)遺伝をとります。

【臨床症状】
他の先天性溶血性疾患と同様に、貧血、黄疸、脾腫と共に胆石症となどの症状を示します。新生児黄疸のため交換輸血が必要な例や頻回の輸血を必要とする例から、成人になって初めて発見される例まで、貧血の程度は様々です。

【検査所見】
溶血性貧血の検査結果を呈します。

【治療】
輸血が基本となりますが、鉄過剰状態になる場合もあり、除鉄剤が必要な場合もあり注意が必要です。脾摘が有効である場合もありますが、重篤な血栓傾向を合併することもあるため重症例のみが適応となります。