ヘモグロビンE症
【ヘモグロビンE症とは】
βグロビン鎖の26番目のグルタミン酸がリジンに変異している異常症です。

【遺伝形式】
ヘモグロビンE症そのものは常染色体優性遺伝形式をとります。しかし臨床上問題となるような症状を呈するのは、ホモ接合体のみすので、臨床症状の表現形としては常染色体劣性遺伝のように見えてしまいます。
主に東南アジア人に認められる変異です。

【臨床症状】
ホモ接合体は軽度の溶血性貧血を引き起こしますが、ヘテロ変異は症状が認められません。主に東南アジア人に認められる変異です。ヘモグロビンEは,世界で3番目(ヘモグロビンAおよびヘモグロビンSの次)に多くみられるヘモグロビンです。ヘテロ接合体(ヘモグロビンAE)では、貧血を伴わない小赤血球症がみられ標的赤血球が末梢血塗抹標本で観察できます。ホモ接合体では、著明な標的赤血球を伴う軽度の小球性貧血が認められます。ヘモグロビンEとβサラセミアのヘテロ接合体の患者は(東南アジアでは遺伝子頻度が高いため、合併の可能性は十分あります)、βサラセミアやホモ接合体のヘモグロビンE症より重度の溶血性疾患を呈し、脾腫を伴います。

【検査所見】
小球性貧血が認められます。
ヘモグロビンE症の診断はヘモグロビン電気泳動によります。

【治療】
ほとんどの患者は治療を必要としません。脾腫は通常みられません。重症の患者では長期的な輸血または脾臓摘出が必要な場合があります。