ヘモグロビンC症
【ヘモグロビンC症とは】
β鎖の6番目のアミノ酸が、グルタミン酸からリジンに変化している異常ヘモグロビン症の1つです。同じアミノ酸がバリンに変化したものが鎌状赤血球症/HbSです。

【遺伝形式】
ヘモグロビンC症そのものは常染色体優性遺伝形式をとります。しかし臨床上問題となるような症状を呈する可能性があるのは、ホモ接合体のみすので、臨床症状の表現形としては常染色体劣性遺伝のように見えてしまいます。
いわゆる黒人に高頻度に検出される異常ヘモグロビンで、米国における黒人のヘモグロビンC保有率は約2〜3%と言われています。

【臨床症状】
ヘテロ接合体では,症状がみられませんが、ホモ接合体では、脾腫や慢性溶血性貧血が認められます。また溶血性貧血にしばしば認められる胆石症も認められます。ヘモグロビンC症のホモ接合体の頻度より、複合ヘテロ変異の一種となるヘモグロビンSC症の方が多く認められます。

【検査所見】
ホモの異常症の場合、血液塗抹標本は正球性を示し、高頻度の標的赤血球や球状赤血球が認められます。まれに結晶様物質を含んだ赤血球がみられます。有核赤血球がみられることもあります。同じ部位の変異ではありますが、鎌状の赤血球は認められません。電気泳動で異常が認められます。ヘテロ接合体では中央部が標的状になった赤血球が認められる唯一の異常です。

【治療】
貧血の重症度は輸血が必要になる例は稀で、多くの場合経過観察で良いとされています。